なぜ「人と接せず、責任の少ない仕事」が選ばれるのか――日本人の働き方の変化が映す経済の壁

昭和から令和にかけて起きた日本人の働き方の変化は、個人の価値観だけでなく、日本経済の成長にも大きな影響を与えているように感じます。
現在の日本では、「できるだけ人と接しない仕事」を希望する人が増えているといわれています。
昭和を生きてきた私には、以前はその感覚がよく分かりませんでした。
しかし、長年続けてきた経営から引退し、社会との距離を少し置いてみたことで、その理由がようやく理解できるようになりました。
昭和の時代は、高級車やマイホームを手に入れること、会社で出世すること、自分で事業を始めることなどが、多くの人にとって分かりやすい目標でした。
周囲から認められることが励みとなり、仕事を趣味のように楽しむ人も少なくありませんでした。
取引先や勤務先を自分の会社のように感じ、その成長を願いながら働くことに、喜びや充実感を見いだせる時代でもありました。
当時の社会や政策も、努力して働き、収入を増やし、物を所有するという生き方を後押ししていたように思います。
しかし、令和になり、社会の仕組みも人々の価値観も大きく変わりました。
真面目に働いても収入が思うように増えず、税金や社会保険料などの負担が重く感じられることもあります。
努力が必ずしも暮らしの豊かさにつながらないと感じる人が増えれば、仕事や人間関係と距離を置きたくなるのも、自然な流れなのかもしれません。
私も引退して初めて、外からの評価を求め続ける生き方だけが、幸せではないと気づきました。
これから大切になるのは、他人や社会の評価に振り回されない「精神的な自立」だと思います。
必要以上に人と比べず、自分にとって本当に必要な物や時間を見極める。外部への依存を少しずつ減らし、自分らしい暮らしを整えていく。
その先に、経済的な自由だけでは得られない、心の自由や満足感があるのではないでしょうか。
「人と接しない仕事」が選ばれる背景には、単に人付き合いを避けたいという理由だけではなく、自分の時間や心を守りながら生きたいという、新しい価値観があるのだと思います。
昭和の生き方が間違っていたわけでも、令和の若者が努力をしなくなったわけでもありません。社会が変われば、幸せの形や働き方も変わります。
これからは、周囲からどう見られるかではなく、自分がどのように生きたいのかを、自分自身で選ぶ時代なのだと思います。
一方で、社会全体がこのような方向へ進むと、経営者にとっては難しい問題も生まれます。
働く人が自分の時間や心を守ることは大切です。
しかし、会社や組織を動かすためには、誰かが責任を引き受け、周囲と協力しながら仕事を前へ進めなければなりません。
近年は、失敗を恐れたり、少しでも責任を負うことを避けたりする人が増えているようにも感じます。経営者の立場から見ると、責任を持って仕事を任せられる人を見つけ、育てていくことが、以前より難しくなっているのではないでしょうか。
もちろん、これは働く人だけの問題ではありません。責任ばかりが増え、それに見合った評価や待遇が得られなければ、責任を引き受けたいと思う人が減るのも当然です。
会社側にも、責任と報酬のバランスを整え、失敗してもやり直せる環境をつくる努力が求められます。
こうした日本社会の変化を深く考えると、現在の日本は、経済成長が非常に難しい局面に入っていると感じます。
働く人は、負担や責任をできるだけ減らし、自分の生活と心を守ろうとする。
一方、経営者は、責任を持って会社を支えてくれる人材を確保することが難しくなっています。
さらに、真面目に働いたり、新しい事業に挑戦したりしても、その努力に見合う成果を得にくい社会になれば、あえてリスクを引き受けようとする人は減っていきます。
新しい会社や産業を生み出すためには、失敗を恐れず挑戦する人と、その挑戦を支える人の存在が欠かせません。
個人が自分らしく生きることは大切です。しかし、誰もが責任や人間関係を避ける方向へ進めば、社会全体を成長させる力は弱くなってしまいます。
働く人の自由や心の安定を守りながら、努力や責任、挑戦が正当に報われる仕組みをつくれるかどうか。
これは、これからの経営者だけでなく、日本社会全体にとって避けて通れない大きな課題だと思います。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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