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中国・ロシア主導の上海協力機構から考える――世界が多極化したとき、日本と円はどうなるのか?




2026年9月1日、上海協力機構(SCO)の首脳会議が開かれました。


中国、ロシアを中心に、インド、イラン、パキスタン、ベラルーシ、中央アジア諸国などが参加する大きな枠組みです。


ニュースでは、

「中国・ロシア主導で対米結束」

という表現も使われています。


しかし私は、このニュースを単純な「反米」という視点だけで見ると、本当に重要な部分を見落としてしまうのではないかと思っています。


私が注目しているのは、

「米国やドルに依存しなくても経済活動ができる仕組みを、各国が少しずつ作り始めていること」

です。


ドルが突然終わるわけではない

まず誤解してはいけないのは、ドルが突然、基軸通貨ではなくなるという話ではありません。


米国には巨大な経済力、金融市場、軍事力があります。


ドルに代わって、人民元が明日から世界の中心になるという話でもありません。

しかし、

「国際取引をするなら、とにかくドルが必要」

という世界は、少しずつ変化しています。


中国とロシアだけではありません。


インド、中東、中央アジアなどでも、自国通貨による貿易決済を増やそうという動きがあります。

SCOでも自国通貨決済の拡大が議論され、さらに独自の開発銀行構想まで進められています。


これは非常に重要だと思います。


政治的な声明よりも、

決済、銀行、融資、貿易という実際のお金の流れが変わるかどうか。

私はここを見ています。



世界は「米国対中国」だけではなくなる

これからの世界は、

「米国側か、中国側か」

という単純な二つの陣営にはならないと思います。


インドは中国と協力する部分もあれば、対立する部分もあります。


中東諸国も米国、中国、ロシアのすべてと関係を持とうとしています。


つまり、

米国圏中国圏インド圏中東圏ロシア・中央アジア圏

などが重なり合う、多極化した世界になっていく可能性があります。


各国は一つの陣営だけに所属するのではなく、自国に有利な相手とそれぞれ取引する。


私は、こちらの世界の方が現実的だと思っています。


日本にとって本当に怖いのは「ドルの崩壊」ではない

ここから日本を考えてみます。


私は、日本にとって一番怖いシナリオは、

ドルが暴落することではない

と思っています。


むしろ、

ドルは依然として強い。人民元の存在感も大きくなる。インドや中東も力を持つ。しかし円だけが相対的に小さくなる。


こちらの方が気になります。


例えばイメージとして、

ドルの力が100から80になる。


一方で、

人民元が30から60、ルピーが10から30、その他の通貨圏も拡大する。


ところが円だけが20から10になる。


そんな世界です。


これは十分考えておく必要があると思います。


2030~2035年を3つのシナリオで考えてみる

将来を正確に当てることは誰にもできません。


そこで私は、2030~2035年を3つのシナリオで考えてみます。


① 世界の多極化がゆっくり進む

私が現在、最も現実的だと考えているシナリオです。


ドルは依然として世界最大の基軸通貨。


しかし以前ほど圧倒的ではなくなり、中国、インド、中東などで自国通貨決済が増えていく。


この場合、

米ドル――依然として強い人民元――存在感が徐々に上昇円――相対的な存在感が低下する可能性金――世界的な分散需要が続く

という状態が考えられます。


世界の中心が一つから複数になるということです。


② 日本が復活する

もちろん、日本がこのまま弱くなり続けると決まったわけではありません。


AI、ロボット、半導体、エネルギー、製造業などへの投資が成功し、日本の生産性が大幅に上昇する可能性もあります。


日本は人口減少と人手不足が深刻だからこそ、AIやロボットを導入する必要性が非常に高い国でもあります。


これが逆に日本の強みになる可能性があります。


生産性が上がり、賃金も上がり、経済が成長する。


さらに財政への信頼が維持されれば、円が再評価されることも十分あり得ます。

私は、

「日本は絶対にダメになる」

と決めつけるのも危険だと思っています。


③ 日本と円がさらに弱くなる

反対に怖いのはこちらです。


円安によって物価が上がる。


インフレを抑えるため金利を上げる。


しかし金利を上げると、国の利払い負担が増える。


高齢化によって社会保障費も増える。


それでも経済成長が弱い。

こうなると、

円安↓物価上昇↓金利上昇↓国債利払い増加↓財政への不安

という悪循環になる可能性があります。


この場合には、円の価値がさらに下がることも考えておかなければなりません。


金が注目される理由もここにある

世界が多極化すると、

「どの国の通貨を信用するのか」

という問題が出てきます。


ドルにもリスクがある。


人民元にも政治や資本規制のリスクがある。


円にも日本固有の問題がある。


そこで、

「どこの国の負債でもない資産」

として金が注目されます。


だから私は、金価格の上昇を単純な投機だけでは見ていません。


世界の中央銀行が外貨準備を分散しようとしていることも、その背景の一つだと思います。


そしてモンゴルを見ると面白い

ここで、私が実際に関わっているモンゴルを考えると非常に面白くなります。


モンゴルは中国とロシアという二つの大国に挟まれています。


SCOの正式加盟国ではありませんが、地理的には中国・ロシア・中央アジア経済圏のすぐそばにあります。


もし今後、

中国―モンゴル―ロシア

という物流・資源・金融の流れがさらに太くなれば、人口の少ないモンゴルでも地理的な重要性が高まる可能性があります。


ただし、ここでも注意が必要です。


私は、

「モンゴルトゥグルグが大幅に強くなる」

とは考えていません。


新興国では、

経済が成長することと、通貨が強くなることは別だからです。


例えば、

経済成長 +7%物価上昇 +8%不動産 +12%銀行金利 +15%通貨価値 -5%

ということも十分あり得ます。


それでも日本円から見て最終的に利益が残れば、投資としては成立します。


つまり私が注目しているのは、

トゥグルグそのものより、モンゴルの不動産、企業、鉱物資源などの実物経済

です。


「どこの国が勝つか」を当てなくてもいい

ここまで考えて、私が最も重要だと思うのはこれです。


これからの世界で、

「米国が勝つ」「中国が勝つ」「日本はダメになる」

と一つに賭ける必要はないのではないでしょうか。


むしろ、

円だけに集中しない。


ドルだけにも集中しない。


一つの国の不動産だけにも集中しない。


通貨、金などの実物資産、株式、海外資産など、性質の異なるものへ分散しておく。


つまり、

「どこの国が勝つかを当てる」のではなく、「どの国が強くなっても、ある程度対応できる状態を作っておく」。


これからの時代には、この考え方がより重要になるように思います。


今後、私が注目したい3つの数字

世界が本当に変わっているのか。


ニュースの見出しだけでは判断できません。


そこで今後、私は特に次の3つを継続して見ていきたいと思います。


① 世界の外貨準備に占める米ドルの割合

本当にドル離れが進んでいるのかを見る数字です。


② 中国・ロシア・インド・SCO圏での自国通貨決済比率

政治的な発言ではなく、実際のお金がどう動いているのかを見るためです。


③ 日本の国債利払い費と税収の関係

日本の財政が金利上昇に耐えられるのかを見るためです。


この3つを毎年確認していけば、

「脱ドルが進んでいる」

「日本はもう危ない」

といった言葉だけに振り回されず、現実の変化を追うことができると思います。


今回のSCO首脳会議を見て感じたこと

今回の上海協力機構首脳会議を見て、

私は「反米勢力が集まった」ということ以上に、

世界が一つの中心だけで動く時代から、複数の中心を持つ時代へ移り始めている

ことの方が重要だと感じました。


ドルが明日なくなるわけではありません。


中国が明日世界を支配するわけでもありません。


日本が必ず衰退するとも限りません。

しかし、

世界のお金の流れが少しずつ変わり始めている。


これは事実として見ておいた方がよいと思います。


そして将来を一つに決めつけるのではなく、

変化を観察しながら、自分の判断も変えていく。

私は今の時代、それが一番大切なのではないかと思っています。

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