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  • ⑤AI時代、仕事はこう変わる──2027〜2031年、雇用・賃金・「人間に残る仕事」を考える

    5年後に本当に強い人 私は、2031年に本当に強い人は、単に「AIを使える人」ではないと考えています。 AIを使うこと自体は、5年後には特別な能力ではなく、今のスマートフォンやパソコンのように「使えて当たり前」になっている可能性が高いからです。 そのうえで、5年後に価値が高くなる人をランキングにすると、次のようになると考えています。 1位 自分で考えられる人 AIの答えをそのまま受け入れるのではなく、何が問題なのか、何を聞くべきなのか、どこが間違っているのかを自分で考えられる人。 2位 自分で判断できる人 AIから複数の選択肢が出ても、最終的にどれを選ぶのかを自分で決められる人。 3位 最後まで実行できる人 アイデアや知識だけで終わらず、実際に動き、問題を解決し、最後まで形にできる人。 4位 AIを使いこなせる人 AIに仕事を任せるだけではなく、自分の能力を何倍にも広げる道具として使える人。 5位 専門知識や実際の現場経験がある人 AIが答えを出しても、それが現実に使えるのかを判断するには、本物の経験や専門性が必要です。 6位 複数の分野をつなげられる人 一つの専門だけではなく、異なる知識や経験を組み合わせて、新しい価値を作れる人。 7位 人と交渉できる人 AIが進化しても、人を納得させる、信頼関係を作る、利害を調整するといった仕事は残ります。 8位 責任を取れる人 最後に「この判断でいく」と決め、その結果を引き受けられる人は、これからますます重要になります。 残る仕事ほど、仕事は複雑になる 私は、AI時代の大きな特徴の一つは、人間に残る仕事ほど複雑になっていくことだと考えています。 理由は、AIによって一つ一つの作業にかかる時間が大幅に短くなるからです。 これまでは、資料を作る、調べる、計算する、文章を書く、予定を組むといった作業だけで多くの時間が必要でした。 しかしAIがそれらを短時間で処理するようになると、人間は一つの作業だけを担当するのではなく、もっと広い範囲を一人で担当するようになります。 例えば、これまでなら 「調べる人」「資料を作る人」「分析する人」「説明する人」「判断する人」 と分かれていた仕事を、一人+AIで行うようになるかもしれません。 つまり、AIによって仕事が楽になる部分は確かにあります。 しかし同時に、 一人が考えなければならない範囲、判断しなければならない範囲、責任を持つ範囲はむしろ広がっていく。 私はここが非常に重要だと思います。 AIによって仕事の「量」が減っても、人間に残る仕事の「難易度」は上がる可能性があります。 これはホワイトカラーだけではありません。 身体を使う仕事でも、単純な計測、記録、診断、運搬、操作などがAIやロボットに置き換われば、人間には異常時の対応、複数の機械の管理、安全判断、顧客対応、故障対応など、より難しい部分が残ります。 つまり、 AIは仕事を簡単にする一方で、人間の仕事をより複雑にする。 という少し逆説的なことが起きるのではないでしょうか。 そして私は、これが5年後の働き方を考えるうえで、とても重要なポイントだと思います。 5年後に求められる力 つまり、5年後に求められるのは、 AI+思考力+判断力+実行力+専門性 です。 これからは「知識をたくさん持っている人」よりも、 AIを使いながら自分で考え、自分で判断し、最後まで結果を出せる人 の価値が高くなっていくと思います。 AIによって簡単な仕事が減るほど、人間に残る仕事は難しくなります。 さらに、一つ一つの作業に時間がかからなくなるほど、一人が担当する仕事の範囲は広がっていきます。 だからこそ5年後に本当に強いのは、AIに使われる人ではなく、 AIを使いながら、自分の頭で考え、複数の仕事をつなぎ、判断し、最後まで形にできる人 だと思います。 「この記事を読んだ人におすすめ」→ 関連記事件 ①②AI時代、仕事はこう変わる──2027〜2031年、雇用・賃金・「人間に残る仕事」を考える2027〜2031年はこう変わるかもしれない ③AI時代、仕事はこう変わる──2027〜2031年、雇用・賃金・「人間に残る仕事」を考える ④AI時代、仕事はこう変わる──2027〜2031年、雇用・賃金・「人間に残る仕事」を考える ⑤AI時代、仕事はこう変わる──2027〜2031年、雇用・賃金・「人間に残る仕事」を考える ⑥「AIが仕事を奪った、その先──最後に世界を支配するのは『AI企業』なのか?」最後に問われる『富の分配』 ⑦「AI・AGIで国は豊かになる。でも国民は貧しくなる?──高い確率で起きる可能性がある未来、『富の分配』を深掘りする」

  • これから10年で社会はどう変わるのか──AI・ロボット、自動化、住宅、仕事、格差、そして「人の価値」

    2027年以降、日本ではAIやロボットによる自動化が一気に進んでいくと考えられます。 最初は、多くの人が、 「人間の仕事をロボットが代わりにする」 というイメージを持つと思います。 しかし、ここまで深く考えていくと、本当の変化はそれだけではないことが見えてきます。 むしろ重要なのは、 人間がやっている仕事を自動化するのではなく、最初から自動化できるように、製品・建物・工場・社会の仕組みそのものを作り直す。 という流れです。 まず最初に起きるのは「仕事がなくなる速度」の問題 これまでの技術革新でも、古い仕事がなくなる一方で、新しい仕事が生まれてきました。 しかしAI時代で心配なのは、 新しい仕事が生まれる速度より、既存の仕事がなくなる速度の方が速くなること です。 さらに、新しく生まれる企業そのものがAIを使うため、以前ほど多くの人を必要としません。 昔なら100人必要だった会社が、AIを使えば10人、20人で成立する。 つまり、 新しい産業が生まれても、新しい雇用が同じ量だけ生まれるとは限らない。 ここがこれまでの産業革命との大きな違いです。 人手不足も永遠には続かない 今の日本では、多くの業界で人手不足が問題になっています。 そのため、 「人口が減るのだから、これからも人手不足で賃金は上がる」 という考え方があります。 しかし、本当にそうでしょうか。 働く人が20%減ったとしても、AI・ロボット・自動化によって必要な人数が40%減れば、 人手不足は解消するどころか、人余りになります。 すると、 企業が人を取り合う社会 から、 人が仕事を取り合う社会 へ変わります。 そうなれば、賃金が上がり続けるとは考えにくくなります。 建設業も「人手不足だから安全」とは限らない 建設は、人間にしかできない仕事が多いため、比較的最後まで残ると思われがちです。 しかし海外を見ていると、少し違う方向が見えてきます。 例えば足場。 足場職人が足りないから、 足場を組むロボットを開発する とは限りません。 むしろ、 そもそも足場を使わなくても建てられる工法に変える。 こちらの方が合理的です。 大工が不足したから大工ロボットを作るのではなく、 構造、壁、床、設備、浴室、配管、内装などを標準化し、 工場でロボットが作れるようにする。 そして現場では組み立てるだけにする。 つまり、 「今ある仕事を自動化する」のではなく、「その仕事自体を必要なくする」。 これが本当の自動化です。 これからのものづくりは「自動化できるように作る」 ここが、今回の話の中心です。 これまでの製品は、 人間が作り、人間が修理する ことを前提に設計されていました。 しかしこれからは、 ロボットが作り、ロボットが交換できること を前提に設計される可能性があります。 例えば住宅なら、 浴室キッチントイレ空調給湯設備外壁窓配管電気設備床壁 などを、最初からユニット化する。 そして故障したら、 修理ではなく交換。 浴室が壊れたら浴室ユニットを交換する。 空調が壊れたら空調ユニットを交換する。 外壁が傷んだら外壁パネルを交換する。 職人が現場で何日もかけて直すのではなく、 古い部品を外して、新しい部品を付ける。 住宅は、だんだん「巨大な家電」に近づいていくかもしれません。 中国製格安ユニットハウスは、その未来の入口かもしれない その点では、中国の動きが非常に参考になります。 今の中国製ユニットハウスやモジュール住宅を見ると、 住宅を現場で建てるものではなく、工場で作る製品として考える という発想がすでに見えます。 工場でほぼ完成させ、 工場で生産→ 現地へ輸送→ 基礎へ設置→ 電気・水道・通信を接続→ 完成 という形です。 今は簡易住宅のイメージが強いですが、本質はそこではありません。 重要なのは、 住宅を「建築物」から「工業製品」へ変えている流れこと です。 中国は、 標準化↓大量生産↓自動化↓価格低下 という流れを作ることが非常に得意です。 EV、電池、太陽光、ドローンなどで起きたことが、住宅でも起きる可能性があります。 住宅は二極化していくかもしれない 将来の住宅は、大きく二つに分かれていく可能性があります。 富裕層向けは、 大型・自由設計・高級素材 を維持する。 ただし内部は、 構造、壁、浴室、配管、空調などを標準化し、工場でロボット生産する。 つまり、 見た目は注文住宅、中身は工業製品。 一方、一般家庭向けは、 40㎡60㎡80㎡ など数種類の完成ユニットを大量生産する。 内装も数種類。 キッチンも数種類。 浴室も数種類。 選択肢を減らすことで価格を大きく下げる。 ここで重要なのは、 安い住宅=粗悪な住宅 とは限らないことです。 むしろ工場で大量生産すれば、品質は安定しやすくなります。 将来の安い住宅とは、 質が悪い住宅ではなく、選択肢が少ない住宅 になる可能性があります。 細かなリフォームは減っていく この世界になると、現在のリフォーム業も大きく変わります。 今は、 塗装クロスコーキング設備修理部分補修配管修理 など、細かな仕事が大量にあります。 しかし最初から交換しやすい住宅になれば、 直すより交換した方が安い という時代になります。 すると、細かな修理技術の市場そのものが小さくなります。 今まで100万円かけて直していたものが、工場製ユニットなら30万円で丸ごと交換できる。 そうなれば、多くの人は交換を選ぶでしょう。 中小企業も大きく変わる この流れが進むと、普通の中小企業もかなり厳しくなります。 大企業は、 AIロボット工場物流データ大量生産 を組み合わせることができます。 すると、 普通の物を普通に作る中小企業 は価格競争で勝てなくなります。 残りやすいのは、 大企業が大量生産できない特殊なものを作る会社 です。 特殊加工少量生産完全オーダー高級品地域独自の商品独自技術ブランド品 などです。 そしてもう一つ残るのが、 極端に少人数でAIを使い倒す会社 です。 昔なら50人必要だった会社を、 社長+数人+AI+ロボット で運営する。 つまり将来は、 人を増やす会社より、特殊性を増やす会社が強くなる。 そして「物」は安くなる可能性が高い ここまで自動化が進むと、物理的な商品はかなり安くなる可能性があります。 住宅車家電衣類家具日用品 などです。 大量生産できるものは、 AIロボット自動物流 によって、人件費が極端に小さくなります。 すると商品の価格は下げやすくなります。 食べ物も同じ方向へ進む 食料も基本的には同じです。 農業も、 自動運転農機ドローン自動収穫AI選別無人搬送 へ進んでいきます。 さらに重要なのは、 ロボットが農業しやすいように、畑や作物そのものを変える ことです。 これも住宅と同じです。 普通の米、小麦、野菜などは、大規模農場で大量生産され、価格が下がる可能性があります。 ただし食品は、天候、水、土地、病害などに左右されるため、工業製品ほど単純ではありません。 それでも、 一般食品は安く、希少食品は高くなる という二極化は起きやすいと思います。 普通の食品は自動化。 一方、 天然物ブランド牛希少魚特定産地手作り食品 などは高級品になっていく。 すると超格差社会でも「最低限の生活」は安くなる可能性がある ここが非常に重要です。 AIやロボットによって仕事が減れば、所得格差は拡大する可能性があります。 しかし同時に、 住宅食料車衣類情報サービス などが安くなれば、 最低限生きるために必要なお金そのものも下がる 可能性があります。 つまり超格差社会だからといって、必ずしも全員が食べるだけで精一杯になるとは限りません。 むしろ、 普通の生活は非常に安い。しかし贅沢は非常に高い。 という社会になる可能性があります。 最後まで高く残るものは何か そこで見えてくるのが、 大量生産できないもの です。 土地立地景色希少資源ブランド人間の時間信用体験 などです。 東京や世界の一等地はロボットでも増やせません。 海が見える土地も増やせません。 だから建物が安くなればなるほど、 土地・立地の価値が相対的に高くなる 可能性があります。 そして「人が動くこと」が贅沢になる ここまで考えると、将来もっとも高くなるものの一つが、 人間の時間 かもしれません。 物はロボットが作れる。 情報はAIが作れる。 配送も自動化できる。 しかし、 人があなたのために現地へ行く。 人があなたのためだけに料理する。 人があなたのためだけに家具を作る。 人があなたのために運転する。 人があなたのために相談に乗る。 こうしたサービスには、 人間の時間 が必要です。 つまり将来は、 物は安くなり、人が動くほど高くなる。 という社会になる可能性があります。 そして富裕層にとっては、 「人間がわざわざ自分のために何かをしてくれる」ことそのものが贅沢品 になるかもしれません。 では、これから何を持つべきなのか ここまでの話をつなげると、将来強いのは、 労働そのものを売る人 だけではありません。 土地資産事業ブランド顧客特殊技術知的財産工場物流AIを使った仕組み などを持つ人です。 特に、 AIを使えない富裕層の代わりにAIを使う という仕事も面白いと思います。 富裕層はAIの使い方を勉強したいのではありません。 欲しいのは、 結果です。 調査してほしい。 比較してほしい。 判断材料を作ってほしい。 予約してほしい。 管理してほしい。 そうした、 AI+人間の判断 を提供する仕事には、まだ大きな価値が残る可能性があります。 10年以内に起きるのは「ロボット化」ではなく「社会の再設計」 ここまで考えると、AI・ロボット革命の本当の姿は、 人間をロボットに置き換えること だけではありません。 もっと大きな変化です。 人間が働かなくても成立するように、製品・住宅・工場・物流・サービスそのものを作り直していく。 これが本質だと思います。 住宅は巨大な家電へ。 修理は交換へ。 建設業は製造業へ。 中小企業は特殊化へ。 大量生産品は安くなり、 希少な土地や希少品は高くなる。 そして人間の時間そのものが高級品になっていく。 おそらく、こうした変化のかなりの部分は、遠い未来ではなく、 これから10年以内に始まる変化 だと思います。 これからのものづくりは、 「自動化する」のではなく、「自動化できるように作る」。 そして、その先にある社会では、 「何を作れるか」以上に、「何を持っているか」「何を自動化できるか」「何を人間にしかできない価値として残せるか」 が重要になっていくのではないでしょうか。 これから10年で社会はどう変わるのか(モンゴル編)──AI/AGI・資源・中国・住宅・仕事・格差、そして「政府の使い方」

  • AI時代は「頭の良さ」の定義まで変えていくのではないか?

    AIと時間を過ごしていると、同時にいろいろなことを考えさせられます。 AI時代の面白さは、単に便利な道具が増えたことではないと思います。 これまでは、何かを形にするために、知識だけでなく、文章力、デザイン力、パソコンの技術、発信力など、いくつもの能力が必要でした。 頭の中では分かっていても、うまく表現できない。 経験はあるのに、文章にできない。 考えはあるのに、発信する方法が分からない。 そんな人は、どうしても表に出にくい時代でした。 しかしAIによって、その壁が一気に低くなりました。 分からなければ聞く。 すぐ作る。 実際に試す。 自分の目で確かめる。 違っていれば直す。 この繰り返しだけでも、これまで専門家に頼まなければ難しかったことを、個人でも形にできるようになってきています。 そして重要なのは、AIが何でも正しいわけではないことです。 AIは幅広い知識を持っていますが、現場の細かな事情や地域ごとの違い、実際の運用、最新の末端情報までは十分に把握できていないことがあります。 だからこそ、 AIで全体像をつかみ、最後は自分の目で確かめる。 この姿勢が、これからますます重要になると思います。 そして、もう一つ大きな変化があります。 これまで声を持てなかった人が、声を持てるようになることです。 正確に言えば、 「声がなかった」のではなく、「声にする手段がなかった」。 職人、個人経営者、海外で生活する人、長年一つのことを続けてきた人など、現場には膨大な経験や知恵があります。 しかし、それを文章や映像、ホームページなどにして発信するためのお金や技術がなければ、その多くは埋もれていました。 AIは、その経験や知恵を「情報」に変え、外へ伝える手助けをしてくれます。 その結果、これからは「頭の良い人」の見方そのものも変わっていくのではないでしょうか。 これまでは、 たくさん知っている人。 記憶力がいい人。 難しいことを説明できる人。 文章が上手な人。 こうした人が「頭の良い人」と見られやすかったと思います。 もちろん、これらの能力の価値がなくなるわけではありません。 しかしAIが知識や表現を補ってくれる時代では、それだけではなく、 何を聞くか。 どこを疑うか。 すぐ行動できるか。 自分で確かめられるか。 間違えたときに修正できるか。 こうした力の重要性が、これまで以上に高まっていくと思います。 つまりAI時代は、 「知っている人」の時代から、 「聞いて、動いて、確かめる人」の時代へ。 そして、 知識がある人だけでなく、経験した人、感じた人、考えた人が発信できる時代へ。 これは単なる技術の進化ではなく、人の能力をどう評価するか、その基準そのものが変わっていく大きな時代の転換なのかもしれません。

  • 自動操縦のまま、飛んでいませんか

    夕飯を何にするか、決められない日があります。 冷蔵庫を開けて、閉めて、また開けて。 たいした問題じゃないのに、決まらない。 前の記事で「頭のタブが開きっぱなし」の話を書きましたが、 今日はもう少し、その先の話をさせてください。 「ちゃんと考えて決める」が、贅沢になった 社会心理学者のチャルディーニという人が書いた 『影響力の武器』という本の中に、こんな話が出てきます。 現代の暮らしはあまりに速く、情報はあまりに多い。 だから私たちは、自分にとって大事なことについてさえ、じっくり考えてから決めるということが、だんだんできなくなっている。 目の前の問題は複雑で。 時間は足りなくて。 気を散らせるものは、そこらじゅうにあふれていて。 そうなると人は、手っ取り早いやり方を選ぶしかなくなる、と。 (出典:ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器[第三版]なぜ、人は動かされるのか』 社会行動研究会 訳、誠信書房、2014年。上記は原文の引用ではなく、要旨をわたしの言葉でまとめたものです) 自動操縦は、たったひとつの信号で動く 同じ本の第1章に、七面鳥の話が出てきます。 母鳥は、ヒナの「ピーピー」という鳴き声に反応して、世話を焼く。 逆に言うと、その音さえ聞こえれば世話を焼いてしまう。 天敵であるイタチの剥製に、その鳴き声を出す装置を仕込んで近づけると、母鳥はイタチを攻撃せず、抱きかかえるように世話を始めてしまうそうです。 音を止めると、また攻撃に戻る。 ひどい話に聞こえますが、笑えません。 わたしたちも、同じことをしています。 「高いから、いいものだろう」 「有名な人が言っているから、たぶん正しい」 「みんな選んでいるから、大丈夫だろう」 ぜんぶ、たいていの場合は当たっている判断です。 だからこそ便利で、だからこそ手放せない。 いちいち全部を検証していたら、生きていけませんから。 問題は、これが「自動操縦」だということです。 自動操縦は、決められたひとつの信号を拾って、決められた動きをします。 中身までは見ません。 値札と、肩書きと、行列の長さだけを見る。 そして――信号は、外から作れてしまいます。 値札は、つけかえられます。 肩書きは、名乗るだけならタダです。 行列は、演出できます。 余裕のあるときなら、 たぶん気づきます。 「ちょっと待って」と立ち止まって、中身を見ようとするはずです。 でも、疲れていて、急いでいて、情報が多すぎるとき。 そういうときほど、信号だけを見て、判断を任せてしまう。 いちばん危ないタイミングで、いちばん自動操縦になる。これが怖いところだなと思うのです。 減らさないと、戻らない。 じゃあどうすればいいのか。 「もっとよく考えよう」ではないんだと思います。 考える力が落ちているんじゃなくて、考える余白が埋まっているだけなので。 必要なのは、足すことではなく、減らすこと。 情報の断捨離、余計な思考の断捨離、みたいなことです。 とはいえ、これがいちばん難しい。笑 家にいれば通知は鳴るし、街に出れば、人が溢れ、時にキャパオーバーになったり、予期せぬことが起きて問題を抱えたり、、、。 「減らそう」と決意するだけで減るものではありません。 だから、環境のほうを変えてしまうのがいちばん早いと思っています。 Neila が、こんな場所にある理由。 Neila は、大自然の中にあります。 正直、便利な場所ではありません。 ふらっと寄れる場所でもありません。 でも、それでいいと思っています。 ここまで来る道のりそのものが、情報が減っていく時間だからです。 建物が減って、看板が減って、人の声が減って、 かわりに、美しい山々の絶景、エメラルドグリーンの川、風の音とか、鳥の声とか、そういうものが増えてくる。 着く頃には、たいていの方の顔つきが少し変わっています。 ※私は途中で視力が鮮明になる感覚があります。 サロンでの時間は、何も足さない時間です。 自動操縦を、いったん切る時間。 今日のひと呼吸 もし今すぐここに来られなくても、ひとつだけ試せることがあります。 手元の画面をいったん伏せてみてください。 たった数十秒でも、入ってくる情報が減ると、頭が静かになり、 「自分は本当はどうしたいのか」が、優先順位が見えて、少しだけ心の声が聞こえやすくなります。 操縦官を、自分の手に戻す練習です.‎˖٭* ここまでお読みいただきありがとうございました。 森の中でお待ちしております𖧧𖤣𖥧𖥣 阿多古整 Neila 千 合わせて読みたいブログ𓂃 𓈒𓏸 https://www.kakehasi.biz/post/頭が回らない日は、頭の中の席が埋まっているだけ。

  • 日本では「バカの印」扱いまで──なぜSDGsはここまで嫌われるようになったのか

    一時期の日本では、まさに**「猫も杓子もSDGs」**という状態でした。 企業、自治体、学校、銀行、政治家まで、あのカラフルなSDGsバッジやロゴを至るところで見かけました。 ところが今では、その反動からネット上でSDGsバッジを**「バカの印」**とまで揶揄する言葉が出ています。 もちろん、SDGsそのものが「バカ」という話ではありません。貧困を減らす、環境を守る、教育を充実させる、社会を持続可能にする。こうした理念そのものは、決して悪いものではないと思います。 問題は、日本ではいつの間にか、 「何をやっているか」より「SDGsをやっているように見えるか」 が前に出てしまったことではないでしょうか。 会社のホームページにSDGsのロゴを載せる。胸にバッジを付ける。昔からやっていた活動に「これはSDGsの○番です」と番号を付ける。 もちろん真面目に取り組んでいる企業もたくさんあります。 しかし、あまりにも多くの企業や団体が一斉に同じことを始めたことで、逆に、 「中身は本当にあるのか?」「ただのイメージ戦略ではないのか?」 と疑われるようになりました。 海外に行くと、この違いは意外と分かりやすく感じます。 海外でも環境問題、人権、再生可能エネルギー、地域貢献などへの取り組みは当然あります。 ただ、日本のように、 「とにかくSDGsのマークを付けましょう」 という雰囲気は、少なくとも私が見てきた範囲では、それほど強くありません。 むしろ必要なことを個別にやり、わざわざSDGsという看板を前面に出さないケースも多いように感じます。 そこで、ふと思うことがあります。 日本には世界に誇れる**「おもてなし」**という文化があります。 相手に不快な思いをさせない。気を配る。先回りして準備する。場をきれいに整える。 これは本当に素晴らしい日本文化だと思います。 しかし、その一方で日本人は、 「相手からどう見えるか」「恥ずかしくないか」「周りと違っていないか」「ちゃんとしているように見えるか」 を非常に気にする国民でもあります。 そう考えると、日本の「おもてなし」には、良い意味でも悪い意味でも、少し**「おもて向き」**の文化が含まれているのかもしれません。 これは言葉遊びのようですが、意外と本質を突いている気がします。 おもてなしが、いつの間にか「おもて向き」になっていないか。 SDGsも同じです。 本来大切なのは、 省エネをする。無駄を減らす。社員を大切にする。環境への負担を減らす。地域社会に貢献する。 こうした実際の行動です。 それを淡々とやれば、本来それで十分です。 ところが日本では、 行動そのものより、「私たちは取り組んでいます」と見せること が目的になってしまう場面が出てきました。 そして日本人は周囲に合わせる力も強い。 「あの会社がSDGsを始めた」「自治体もやっている」「銀行も付けている」「うちもやらなければ」 と、一気に広がる。 これが日本の強さでもありますが、流行が行き過ぎたときには弱点にもなります。 そして今、その反動が起きているのだと思います。 「SDGsを掲げている=立派」 だった時代から、 「それで、実際に何をしているの?」 と問われる時代へ変わった。 だからこそ、SDGsバッジが「意識高い系」、極端には「バカの印」とまで揶揄されるようになったのでしょう。 これはSDGsだけの問題ではありません。 もしかすると日本社会そのものが、 「中身より形式」「実態より看板」「本音より建前」「何をしているかより、どう見えるか」 を重視しすぎてきたことへの反動なのかもしれません。 SDGsが嫌われたというより、 「中身のないアピール」が嫌われ始めた。 私は、そのように見るほうが本質に近いと思います。 そしてこれから必要なのは、SDGsという言葉を大声で叫ぶことではありません。 本当に役に立つことを、普通にやる。 それで十分です。 日本の「おもてなし」が世界から評価されたように、本来は行動そのものが評価されるべきです。 「おもてなし」を「おもて向き」で終わらせない。 SDGsの騒動は、そんな日本社会の特徴を映した、一つの象徴だったのかもしれません。

  • はじめまして♪ひと呼吸、置きに来てください。

    はじめまして。阿多古整「Neila」の千です。 「息を吐く」と言うこと 1日を過ごしていると、いろんなものが自分の中に入っ てきます。 やらなきゃいけないこと、気にしなきゃいけないこと、考えなきゃいけないこと、うまくいかなかったこと... 入れる一方で、吐き出す時間がないまま、また次の朝が来る。 そう言う日が続くと、だんだん深く吸えなくなってきます。 Neilaは、森の中の小さなサロンです。 たくさんの方をお迎えする場所でもありません。 その分、1日1名様限定の特別な「あなた様だけの」空間をご用意してお待ちしております。 「何も考えなくて良い」 うまく力を抜く方法を思い出す場所。 吐ききってから、もう一度きちんと吸える身体に戻る 場。 最後に、ひとつだけ この文章を読み終わった今、一回だけ深呼吸をしてみてください。 吸うところからではなく、吐くところから。 肺の中の空気を、ゆっくり、最後まで。 「もう出ないな」と思ってから、あと三秒。 そのあとは、何もしなくて大丈夫です。 勝手に、すうっと入ってきますから。 それだけで、さっきより少し、肩が下がっているはずです。 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。 阿多古整 Neila 千

  • 頭が回らない日は、頭の中の席が埋まっているだけ。

    さっき自分がどこに鍵を置いたか、思い出せない。 簡単な計算を、間違える。 ポカミスをしてしまう。 そういう日、ありませんか。 わたしはあります。 しかもだいたい、 「他に気になっていることが山ほどある日」に限って起こります。 ちょっと有名な研究の話 2013年に、科学誌『Science』にこんな研究が載りました。 研究チームは、ショッピングモールで買い物客に声をかけて、「車が故障して修理代がかかる」という場面を想像してもらいました。 そのうえで、頭の回転を測るテストを受けてもらいます。 修理代が安い設定のときは、みんな普通にできました。でも、修理代が高い設定になったとたん、 経済的に余裕のない人たちのグループだけ、成績が下がったそうです。 もうひとつ、インドの農家の方たちを追った調査もありました。 同じ人が、収穫前(お金がない時期)と収穫後(お金が入った時期)で同じテストを受けると、収穫前のほうが成績が落ちていた、という結果でした。 論文では、この下がりかたを 「IQに換算するとおよそ13ポイントぶんに相当する」と表現しています。 ※出典:Mani, A., Mullainathan, S., Shafir, E., & Zhao, J. (2013). Poverty Impedes Cognitive Function. Science, 341(6149), 976–980. ここが大事なところ この話、「ストレスで頭が悪くなる」と紹介されがちなのですが、論文をちゃんと読むと、そう単純ではありません。 まず、これはそのときのテストの成績が下がったという話であって、その人の頭そのものが悪くなったわけではありません。 そして何より大事なのが、インドの農家の方たちの結果です。 収穫が終わってお金の心配が減ったら、成績は戻っていたのです。 (なお、この研究には統計の手法をめぐる批判論文も出ていて、著者たちがそれに反論する、というやりとりも残っています。 「完全に決着のついた話」ではない、というのは正直に書いておきますね。) 頭の中のタブ わたしはこれを、パソコンのタブみたいなものだと思っています。心配ごとがあると、頭の中でタブが開きっぱなしになります。 明日の予定。返せていない連絡。言われた一言。 まだ終わっていない用事。 一つひとつは小さいのに、開いたままだと、確実に動きが重くなる。そして本人は、「今日はなんだかダメだな」と自分を責めたりする。 でも、ダメなんじゃないんです。 席が全部、埋まっているだけ。 Neila でしていること だから、わたしがサロンでしているのは、施術を通して、その開きっぱなしのタブを、一枚ずつ閉じていく時間をつくることです。 頭が良くなる時間ではありません。 そんなことは起きません。 もともと持っていたぶんに、戻る時間です。 何も決めなくていいし、何も思い出さなくていい。 考えごとをしていることに気づいたら、そのまま置いていってください。 帰るときに持って帰らなくても、たぶん困りません。 (感じ方には個人差があります。眠ってしまう方もいれば、ずっとおしゃべりして帰る方もいて、それもぜんぶ正解です) 今日のひと呼吸 もし今、頭のタブがいっぱいだなと思ったら。 今日はゆっくり湯船に浸かって、深呼吸。 「寝る前のストレッチ」とYouTubeで検索して、一つだけ、やってみてください。 夜空を見て深呼吸もおすすめです。 閉じられるタブが、一枚くらいは見つかるかもしれません。 阿多古整 Neila 千

  • 政策金利、ついに「2.5%」浮上、その先は「3%?」──日米強調介入で見更に表に出た、日本の弱さ

    これまで私は、日本の政策金利は2%前後が円安を止める一つの着地点になるのではないかと考えていました。 しかし最近の動きを見ると、2.5%、さらにその先の3%?まで考える必要が出てきたように感じます。 大きな転換点が、今回の日米強調の円買い介入です。 日本だけでは円安を止められず、アメリカまで動いた。 さらに重要なのは、日米金利差が縮小しても円安が続いたことです。この事実は米財務省も指摘しています。 つまり現在の円安は、単純に「日米金利差」だけでは説明できなくなっています。 市場は、 「日本は本当にどこまで金利を上げられるのか?」 を見始めているのではないでしょうか。 日本は長期間の超低金利によって、政府、企業、住宅ローン、不動産など、経済全体が低金利に依存する構造になっています。 そのため世界から、 「日本は結局、大きく利上げできない」 と見透かされれば、多少金利差が縮小しても円は買われません。 そして、もう一つ無視できないのが日本の30年国債利回りが4%近くまで上昇していることです。 もちろん政策金利と30年国債利回りは別物ですが、市場金利はすでに大きく動き始めています。 私のイメージでは、 2.0% → 円安を止められるか試す水準 2.5% → 円安退治にはかなり強いが、国内の「借金経済」に本格的なダメージ 3.0%? → まだ市場の本命予想ではない。しかし、以前ほど非現実的とも言い切れなくなってきた水準 だと思います。 2.5〜3%まで上がれば、円には強力な支援材料になります。 しかし同時に、住宅ローン、企業融資、不動産、設備投資、そして将来的には政府の利払い負担にも大きな影響が出ます。 つまり日本はいま、 「円安による痛みを受け入れるのか、それとも金利上昇による痛みを受け入れるのか」 という難しい場所まで来ているのかもしれません。 今回の日米強調介入と、金利差が縮小しても止まらなかった円安。 そして30年国債利回り4%近辺。 これらを考えると、「2%が最終地点」という前提そのものを見直す時期に入ってきたように私は感じています。

  • “Finally! The Drone Footage from THE HU’s Live Concert Has Been Released!”

    「モンゴルが世界に誇るロックバンド『THE HU』おすすめPV」 「馬頭琴×ロックが凄い!モンゴルの世界的人気バンド『THE HU』」 「待ってました!THE HUライブのドローン映像が公開」 「待ってました!THE HUライブのドローン映像が公開」

  • A Large Ground Fireworks Display in the Middle of an Apartment District — The Night in Mongolia When I Seriously Thought, “Was That an Explosion… or Had a War Started?”

    English Translation Two days before returning to Japan, there was a huge live event very close to the apartment where I was staying in Ulaanbaatar. The first surprise came at around 8:00 p.m. Suddenly, enormous “BOOM!” sounds echoed through the area again and again. What made it even more shocking was the location. This was right in the middle of the city, surrounded by apartment buildings. Coming from Japan, it was hard for me to imagine such large-scale ground fireworks being set off in a place like this. My first thought was genuinely, “Did a fireworks factory or something just explode?” But that was only the beginning. At around 11:00 p.m., even louder explosions began going off one after another. They were so powerful that this time I actually wondered, “Has a war started?” I quickly looked outside and saw colorful fireworks lighting up the night sky. I could also see a large number of drones flying overhead. That was when I finally realized, “Oh, this is an event!” I immediately searched online and discovered that it was a concert by THE HU, Mongolia’s internationally famous rock band. What surprised me most, however, was the fact that such massive fireworks were being set off right in the middle of an area surrounded by apartment buildings. In Japan, I imagine it would be extremely difficult to do something on this scale because of safety regulations, noise concerns, and consideration for nearby residents. Of course, Japan has its own strengths, especially its strong emphasis on safety. But living in Mongolia, there are moments when I’m amazed by the country’s boldness and energy—moments that make me think, “Wow, they really go this far!” First, I thought there had been a massive explosion.Then I wondered if a war had started.And finally, I discovered it was a concert by a world-famous Mongolian band. It became one of those unforgettable nights that I probably could never have experienced without actually living in Mongolia. 「モンゴルが世界に誇るロックバンド『THE HU』おすすめPV」 「馬頭琴×ロックが凄い!モンゴルの世界的人気バンド『THE HU』」 「待ってました!THE HUライブのドローン映像が公開」 「待ってました!THE HUライブのドローン映像が公開」

  • 「馬頭琴×ロックが凄い!モンゴルの世界的人気バンド『THE HU』」

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  • 「モンゴルが世界に誇るロックバンド『THE HU』おすすめPV」

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