自動操縦のまま、飛んでいませんか
- chise73
- 6 日前
- 読了時間: 4分

夕飯を何にするか、決められない日があります。
冷蔵庫を開けて、閉めて、また開けて。
たいした問題じゃないのに、決まらない。
前の記事で「頭のタブが開きっぱなし」の話を書きましたが、
今日はもう少し、その先の話をさせてください。
「ちゃんと考えて決める」が、贅沢になった
社会心理学者のチャルディーニという人が書いた
『影響力の武器』という本の中に、こんな話が出てきます。
現代の暮らしはあまりに速く、情報はあまりに多い。
だから私たちは、自分にとって大事なことについてさえ、じっくり考えてから決めるということが、だんだんできなくなっている。
目の前の問題は複雑で。
時間は足りなくて。
気を散らせるものは、そこらじゅうにあふれていて。
そうなると人は、手っ取り早いやり方を選ぶしかなくなる、と。
(出典:ロバート・B・チャルディーニ『影響力の武器[第三版]なぜ、人は動かされるのか』
社会行動研究会 訳、誠信書房、2014年。上記は原文の引用ではなく、要旨をわたしの言葉でまとめたものです)
自動操縦は、たったひとつの信号で動く
同じ本の第1章に、七面鳥の話が出てきます。
母鳥は、ヒナの「ピーピー」という鳴き声に反応して、世話を焼く。
逆に言うと、その音さえ聞こえれば世話を焼いてしまう。
天敵であるイタチの剥製に、その鳴き声を出す装置を仕込んで近づけると、母鳥はイタチを攻撃せず、抱きかかえるように世話を始めてしまうそうです。
音を止めると、また攻撃に戻る。
ひどい話に聞こえますが、笑えません。
わたしたちも、同じことをしています。
「高いから、いいものだろう」
「有名な人が言っているから、たぶん正しい」
「みんな選んでいるから、大丈夫だろう」
ぜんぶ、たいていの場合は当たっている判断です。
だからこそ便利で、だからこそ手放せない。
いちいち全部を検証していたら、生きていけませんから。
問題は、これが「自動操縦」だということです。
自動操縦は、決められたひとつの信号を拾って、決められた動きをします。
中身までは見ません。
値札と、肩書きと、行列の長さだけを見る。
そして――信号は、外から作れてしまいます。
値札は、つけかえられます。
肩書きは、名乗るだけならタダです。
行列は、演出できます。
余裕のあるときなら、
たぶん気づきます。
「ちょっと待って」と立ち止まって、中身を見ようとするはずです。
でも、疲れていて、急いでいて、情報が多すぎるとき。
そういうときほど、信号だけを見て、判断を任せてしまう。
いちばん危ないタイミングで、いちばん自動操縦になる。これが怖いところだなと思うのです。
減らさないと、戻らない。
じゃあどうすればいいのか。
「もっとよく考えよう」ではないんだと思います。
考える力が落ちているんじゃなくて、考える余白が埋まっているだけなので。
必要なのは、足すことではなく、減らすこと。
情報の断捨離、余計な思考の断捨離、みたいなことです。
とはいえ、これがいちばん難しい。笑
家にいれば通知は鳴るし、街に出れば、人が溢れ、時にキャパオーバーになったり、予期せぬことが起きて問題を抱えたり、、、。
「減らそう」と決意するだけで減るものではありません。
だから、環境のほうを変えてしまうのがいちばん早いと思っています。
Neila が、こんな場所にある理由。
Neila は、大自然の中にあります。
正直、便利な場所ではありません。
ふらっと寄れる場所でもありません。
でも、それでいいと思っています。
ここまで来る道のりそのものが、情報が減っていく時間だからです。
建物が減って、看板が減って、人の声が減って、
かわりに、美しい山々の絶景、エメラルドグリーンの川、風の音とか、鳥の声とか、そういうものが増えてくる。
着く頃には、たいていの方の顔つきが少し変わっています。
※私は途中で視力が鮮明になる感覚があります。
サロンでの時間は、何も足さない時間です。
自動操縦を、いったん切る時間。
今日のひと呼吸
もし今すぐここに来られなくても、ひとつだけ試せることがあります。
手元の画面をいったん伏せてみてください。
たった数十秒でも、入ってくる情報が減ると、頭が静かになり、
「自分は本当はどうしたいのか」が、優先順位が見えて、少しだけ心の声が聞こえやすくなります。
操縦官を、自分の手に戻す練習です.˖٭*
ここまでお読みいただきありがとうございました。
森の中でお待ちしております𖧧𖤣𖥧𖥣
阿多古整 Neila 千
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