これから10年で社会はどう変わるのか(モンゴル編)──AI/AGI・資源・中国・住宅・仕事・格差、そして「政府の使い方」
- 後藤 友亮

- 8月15日
- 読了時間: 11分
更新日:6 日前

これから10年、モンゴル社会もAI、ロボット、自動化によって大きく変わっていく可能性があります。
ただし、モンゴルの場合は日本や欧米とまったく同じ形では進まないと思います。
モンゴルには、
豊富な資源広大な土地中国と国境を接する立地若い社会急速なデジタル化そして遊牧という独自の生き方
があります。
そのため、モンゴルは単純に「先進国の後を追う国」ではなく、場合によっては一部の分野で先進国を飛び越えて変化する可能性があります。
そして、この未来を考えるうえで最も重要なのは、
モンゴルの未来は、技術そのものよりも、政府がその技術と資源をどう使うかで大きく変わる。
ということだと思います。
① AI・行政DXはかなり速く進む可能性がある
モンゴルではすでにE-Mongoliaをはじめ、行政サービスのデジタル化がかなり進んでいます。
人口が少ないこともあり、大規模で古いシステムを抱える国より、
新しい仕組みを一気に導入しやすい
という強みがあります。
これからは、
行政手続き銀行契約翻訳会計問い合わせ対応情報検索
などにAIが入り、人間が行っていた単純事務はかなり減っていく可能性があります。
私の見立てでは、今後10年でモンゴルのAI・行政DXが大きく進む可能性は、
90%前後
とかなり高いと考えています。
② 仕事は「なくなる」というより、必要人数が減る
AI時代で重要なのは、
仕事が完全になくなるかどうか
ではありません。
もっと大きな問題は、
同じ仕事をするために必要な人数が大幅に減ること
です。
例えば今まで10人必要だった事務が、
AIによって3人で済むようになる。
企業は生産性が上がりますが、残った3人の給料が3倍になるとは限りません。
むしろ、
企業が人を取り合う社会から、人が仕事を取り合う社会
へ変わる可能性があります。
モンゴルでも、
事務翻訳広告簡単なWeb制作会計補助カスタマーサービス
などは、比較的早くAIの影響を受けるでしょう。
③ 建設も「ロボットが職人になる」とは限らない
建設業では、人手不足だからロボットが職人の仕事をそのまま真似すると思われがちです。
しかし実際には、もっと合理的な方向へ進む可能性があります。
例えば足場。
足場職人が足りないから、
足場を組むロボットを作る
のではなく、
そもそも足場を必要としない建築方法へ変える。
大工が足りないから大工ロボットを作るのではなく、
構造壁床浴室キッチン配管空調電気設備
などを標準化して、工場で作る。
そして現場では、
運んで組み立てるだけ
にする。
つまり、これからのものづくりは、
「自動化する」のではなく、「最初から自動化できるように作る」。
という考え方が基本になっていくと思います。
④ モンゴルでは小型トレーラーハウスとの相性が非常にいい
この変化は、住宅で特に分かりやすく表れる可能性があります。
中国ではすでに、小型のプレハブ住宅やトレーラーハウス、モジュール住宅が大量生産されています。
モンゴルでは、こうした住宅との相性が非常にいいと思います。
理由は、
土地が広い人口密度が低い中国が隣にある冬の現場施工が難しい移動する生活文化が残っている
からです。
実際、遊牧生活の中でも、小型トレーラーハウスのような設備を利用する姿が見られるようになっています。
将来は、
中国の工場で完成↓トラックでモンゴルへ輸送↓現地へ設置↓電気・水・暖房・通信を接続↓生活開始
という住宅が普通になる可能性があります。
今のように、
「住宅=土地に長期間かけて建てるもの」
ではなく、
「住宅=工場で作って持ってくるもの」
へ変わっていくわけです。
⑤ 壊れたら「修理」ではなく「交換」になる
住宅が工業製品化すると、リフォームの考え方まで変わります。
今までは、
配管を直す壁を補修する外壁を塗装する設備を分解修理する
という仕事がありました。
しかし将来は、
浴室ユニット交換キッチンユニット交換空調ユニット交換外壁パネル交換電気設備ユニット交換
という形になる可能性があります。
つまり、
直すより交換した方が安い
社会です。
これは住宅を「巨大な家電」に近づけます。
住宅だけではなく、
車農業機械工場設備店舗設備
でも、同じ考え方が広がると思います。
⑥ 住宅は二極化する可能性がある
モンゴルでも住宅は大きく二極化する可能性があります。
富裕層向けは、
大型自由設計高級素材良い立地
が残るでしょう。
しかし内部は、
構造浴室キッチン空調配管
などが標準化され、工場で生産される。
つまり、
見た目は注文住宅、中身は工業製品。
です。
一方、一般家庭向けは、
小型トレーラーハウス完成ユニット住宅規格住宅
が中心になる可能性があります。
例えば、
30㎡40㎡60㎡
などの数種類。
内装、キッチン、浴室も数種類から選ぶだけ。
選択肢を減らす代わりに、価格を大幅に下げる。
この場合、
安い住宅=質の悪い住宅
ではありません。
むしろ工場生産によって、品質は安定しやすくなります。
将来の安い住宅とは、
品質が低い住宅ではなく、選択肢が少ない住宅
になる可能性があります。
⑦ 建物が安くなるほど、土地・立地が重要になる
住宅ユニットが大量生産できるようになると、
同じ住宅はどこでも買えるようになります。
すると価値の差を生むのは、
建物ではなく「どこに置くか」
です。
ウランバートル中心部。
交通が便利。
渋滞を避けられる。
学校が近い。
商業施設が近い。
空気が比較的良い。
景色がいい。
こうした土地は大量生産できません。
そのため、
建物価格 ↓建物の希少性 ↓土地・立地の希少性 ↑
ということが起きる可能性があります。
将来的には、Eco Tower Oneのような象徴的な高層建築が増えたとしても、その周辺や中心部の土地そのものは増えません。
モンゴルでも、
良い立地は最後まで残る希少資産
になっていくと思います。
⑧ 中国が隣にあることは、非常に大きな強み
モンゴルはすべての技術を自国で開発する必要がありません。
中国が、
EVロボット蓄電池太陽光住宅ユニットドローン建設機械家電
を大量生産して価格を下げれば、
モンゴルはそれを輸入できます。
つまり、
中国で完成した技術を、モンゴルはそのまま利用できる。
これが非常に大きい。
そのためモンゴルの変化は、
少しずつ進むというより、
中国製品の価格がある水準を下回った瞬間、一気に進む
可能性があります。
住宅ユニットもその代表になると思います。
⑨ そしてモンゴル最大級の強みは「資源国」であること
モンゴルには、
石炭銅金ウラン
などの豊富な地下資源があります。
AI・ロボット時代になると、鉱山そのものも、
自動運転無人重機ドローン遠隔操作AI管理
によって省人化されていきます。
すると、
少ない人数で大きな資源収入を生み出せる
可能性があります。
これは非常に大きな強みです。
極端に言えば、
人間が働いて稼ぐ国から、資源と機械が稼ぐ国へ
少しずつ変わっていく可能性があります。
⑩ AI時代には「エネルギーを持つ国」も強い
AI社会では電力がますます重要になります。
AIデータセンター。
ロボット工場。
EV。
自動化された鉱山。
住宅暖房。
すべて電力を必要とします。
モンゴルには地下資源だけでなく、
広大な土地風力太陽光
という可能性もあります。
もしエネルギーを安く大量に作れるようになれば、
単なる資源輸出国ではなく、
安いエネルギーでAIや製造業を動かす国
へ進める可能性もあります。
⑪ 食べ物も自動化されるが、遊牧は残る可能性がある
農業や牧畜にも、
ドローンAI自動運転衛星通信家畜管理センサー
が入っていくでしょう。
しかしモンゴルの場合、
「効率がいいから全員が工場型農業へ移る」
とは限りません。
ここが非常に面白いところです。
モンゴルでは今でも、遊牧・牧畜を中心とした暮らしが大きな文化として残っています。
おおむね人口の4分の1から3分の1程度が、何らかの形で牧畜・遊牧的生活と深く関係しているとみられています。
重要なのは、
それが必ずしも「遅れた生活」ではなくなること
です。
⑫ 「ハイテク遊牧」という生き方が生まれるかもしれない
AI時代になると、
自然の中に住むことの不便さそのものが減ります。
例えば、
ゲル+小型トレーラーハウス+太陽光+蓄電池+衛星インターネット+AI+ドローン+EV
という生活です。
家畜はドローンで確認する。
天候をAIが予測する。
銀行や行政はスマートフォン。
必要な物はオンラインで注文。
医療相談は遠隔。
それでも、
本人は草原で自然と共に暮らす。
これは昔へ戻ることではありません。
むしろ、
最新技術を使って、自然と生きる自由を守る。
という新しい生き方です。
モンゴルならではの未来だと思います。
⑬ 将来のモンゴルは「三つの社会」が共存するかもしれない
2036年頃のモンゴルを考えると、大きく三つの社会が共存している可能性があります。
① 超都市型
ウランバートル中心部。
AI金融鉱業本社富裕層高級住宅高級サービス
が集中する。
人によるサービスや良い土地は非常に高価になる。
② 低コスト自動化型
UB郊外や地方都市。
中国製の住宅ユニット、EV、家電、AIなどを利用し、
少ない生活費で便利に暮らす層。
大量生産品は安くなる。
③ ハイテク遊牧型
草原で、
自然家畜ゲル小型トレーラーハウス
と暮らしながら、
AI衛星通信太陽光ドローン
を使う。
都市へ移らなくても、現代的な生活ができる人たちです。
⑭ モノは安くなり、人が動くことは高くなる
AI・ロボット・大量生産が進むと、
住宅車家電衣類日用品
などは安くなる可能性があります。
一方で、
人が現地へ行く。
人が交渉する。
人が接客する。
人が責任を持つ。
人が個別対応する。
というサービスは高くなる可能性があります。
つまり、
モノは安くなり、人の時間は高くなる。
という社会です。
特に富裕層向けでは、
人間が自分のために時間を使ってくれること
そのものが高級サービスになる可能性があります。
⑮ 格差はかなり広がる可能性がある
ここには大きな問題があります。
AI・ロボットによる利益が、
土地所有者鉱山企業大企業投資家富裕層
へ集中すれば、
格差はさらに広がります。
UB中心部と地方。
資産を持つ人と持たない人。
AIを使える人と使えない人。
資源収入にアクセスできる人とできない人。
こうした差が拡大する可能性があります。
私の見立てでは、今後10年でモンゴルの格差が拡大する可能性は、
80〜85%程度
とかなり高いと思います。
そして最後に、一番重要なのが政府です
ここまでを見ると、モンゴルには非常に強い材料があります。
資源。土地。エネルギー。中国。AI。若い社会。遊牧文化。
しかし、これらを持っているだけでは国民全体が豊かになるとは限りません。
最大の問題は、
そこから生まれた利益を、誰が受け取るのか。
です。
資源収入が一部に集中すれば、
モンゴルは、
「資源も技術もあるのに、一部の人だけが豊かな国」
になる可能性があります。
逆に政府が、
資源収入を
道路水道電力暖房教育医療住宅通信
などへ回し、
AI・自動化による利益を広く社会へ還元できれば、
まったく違う未来になります。
住宅や生活コストは下がる。
働く時間は減る。
都市でも暮らせる。
草原でも暮らせる。
人間が、
「どこで、どう生きるか」
を選びやすくなる。
モンゴルの未来を決めるのはAIではない
私は、これから10年のモンゴルを見るうえで、
AIがどこまで進歩するか。
ロボットがどこまで安くなるか。
住宅ユニットがどこまで普及するか。
それ以上に重要なのは、
政府が、それらをどう使うか
だと思います。
モンゴルには未来を豊かにする材料は、すでにかなり揃っています。
だから最終的には、
モンゴルの未来を決めるのは、技術そのものではない。資源・AI・中国・土地・エネルギーから生まれる利益を、政府がどのように国民の豊かさへ変えられるかである。
ここが最大の分岐点だと思います。
政府がうまく使えば、
「資源とテクノロジーによって最低限の生活コストを下げ、都市でも草原でも自由に生き方を選べる国」
になる可能性があります。
逆に使い方を間違えれば、
「都市の一部だけが急速に豊かになり、資源を持ちながら格差だけが広がる国」
になる可能性もあります。
だからこれから10年、モンゴルを見るうえで一番注目したいのは、
AIでもロボットでもなく、それをどう国民の豊かさへ変えるかという政府の選択
だと思います。
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