AIの進化スピードは想像以上――現実世界に本当の姿を現した瞬間、世界の人々考え方は一気に変わる

私は、この2か月足らずの間、実際にAIを使いながら、その進化を見てきました。
わずか2か月でも、できることが一気に増え、処理の速さや正確さも明らかに変わってきたと感じます。
しかも、一つの機能が少しずつ改善されているだけではありません。
次から次へと新しい機能が加わり、これまでできなかったことが、短期間のうちにできるようになっています。
私はこの変化を見ながら、今回のAI革命で最も大きな問題は、AIの性能だけではなく、AIの進化スピードにあると感じるようになりました。
AIの進化スピードを、多くの人が実感できなかった理由
これまでAIの進化は、主にパソコンやスマートフォンなど、画面の中で起きていました。
文章を作る、画像を作る、翻訳する、計算する、情報を整理する。
こうした能力が急速に向上しても、日常的にAIを使っていない人には、その変化が見えにくかったと思います。
毎日AIを使っている人にとっては大きな進化でも、使っていない人から見れば「少し便利なソフトが増えた」程度にしか感じられなかったのではないでしょうか。
そのため、
「AIは、まだ人間には及ばない」
「仕事がなくなるのは、まだ先の話」
「本格的な実用化には10年、20年かかる」
と考えていた人も多かったと思います。
しかし現実には、少し前まで「10年先の技術」と思われていたようなものが、すでに実用化され始めています。
もはや「あと何年で実現するのか」を考える段階ではありません。
すでに始まった変化が、これからどれほどの速さで広がるのかを考える段階に入ったのです。
AIの進化が仮想空間から現実世界へ出てくる
これまで画面の中にあったAIが、これからはロボットや自動運転車という機体を持ち、現実世界へ出てきます。
AIが頭脳となり、ロボットや自動車が身体になるのです。
世界の開発競争も、文章や画像を作る生成AIだけでなく、現実世界で移動し、物をつかみ、運び、組み立てる「フィジカルAI」へ広がり始めています。
私は、ここから人々の受け止め方が一気に変わると思います。
画面の中でAIが進化している間は、その速度を多くの人が共有できませんでした。
しかし、人型ロボットが工場で働き、無人のロボタクシーが人を乗せ、自動運転トラックが荷物を運ぶ姿を自分の目で見れば、誰もが変化を実感します。
仮想空間で起きていたAIの進化が、ロボットや自動車という機体を得て、現実世界に姿を現すからです。
人々がその姿を目にした瞬間、AIやロボットに対する世界の考え方は、一気に変わるのではないでしょうか。
そして社会が変化の大きさに気づいたときには、技術はすでに次の段階へ進んでいる可能性があります。
仮想空間では、現実と違うスピードで学習できる
AIやロボットは、現実世界だけで一つずつ練習する必要がありません。
仮想空間の中で膨大な数の設計を試し、現実では不可能な回数の動作を、短時間で繰り返しながら学習できます。
転倒、故障、事故など、現実世界では危険で費用のかかる失敗も、仮想空間なら繰り返し再現できます。
そこで得られた学習結果を、現実世界のロボットや自動車へ送り込むことができます。
さらに、現実の機体が経験した成功や失敗を仮想空間へ戻し、学習し直した結果を再び多数の機体へ配信できます。
一台が覚えたことを、何万台もの機体が同時に共有できる。
これは、人間の成長とは決定的に違います。
人間は、一人が10年かけて身につけた経験を、別の人へ完全に移すことはできません。
しかし機械は、学習結果を複製し、世界中の機体へ短時間で配ることができます。
この仕組みが、AIの進化スピードをさらに速めていくのだと思います。
格安で超優秀な「人」が無数に増えるようなもの
この変化を最も簡単に表現すれば、将来は人間より安く、休まず働き、しかも非常に優秀な「人」が、無数に増えるようなものです。
もちろん、実際には人間ではなく、AIとロボットです。
しかし企業から見れば、仕事を正確に行い、長時間働き、学習結果を共有できる存在です。
一台が新しい仕事を覚えれば、その能力をほかの機体にも移せます。
そのような存在と、人間が仕事の価格や速さで競争することになれば、新しく生まれる仕事よりも、なくなる仕事の方が多くなると考える方が自然ではないでしょうか。
だから私は、すぐに気づきました。
今回の産業革命は、これまでの産業革命とは別物だと。
以前の産業革命では、機械が人間の一部の作業を代わりました。
しかし今回は、AIが頭脳を持ち、ロボットが身体を持つことで、人間一人が担ってきた役割そのものを代わろうとしています。
当面は「AIを活用する仕事」が増える
もちろん、すぐにすべての仕事がなくなるわけではありません。
当面は、AIを活用する仕事が増えるはずです。
現在は、AIへの指示、結果の確認、顧客との調整、最終判断など、まだ人間にしかできない役割が残っているからです。
そのため、しばらくはAIを使える人と使えない人の間で、仕事の速さや収入に大きな差が生まれるでしょう。
しかし、この状態も長くは続かないと私は思います。
AIが人間の指示を待たず、自分で考え、複数の仕事を進められるようになれば、現在「AIを活用する仕事」と呼ばれている仕事の多くも、やがてAI自身が行うようになるからです。
AGIが完成する前から、人間の仕事はAIへ移る
人間のように幅広い仕事を理解し、自律的に進められるAIは、一般にAGI(汎用人工知能)と呼ばれています。
しかし、完全なAGIが完成するまで仕事がなくならない、という意味ではありません。
現在のAIでも、仕事を細かく分け、複数のAIを組み合わせて自動化すれば、人間が担当していた仕事のかなりの部分を代わることができます。
つまり、AGIが誕生した瞬間に変化が始まるのではありません。
AGIへ近づく過程ですでに、人間の仕事は少しずつAIへ移っていくのです。
私は、この2か月足らずで起きたAIの変化を見ただけでも、AGIの段階へ、私たちが考えているより相当早く到達する可能性があると感じています。
そして、このAIの進化スピードは、おそらくロボットにも当てはまるはずです。
人々が自分の目で見た瞬間、世界は変わる
これまでAIの進化は、仮想空間の中で進んでいたため、多くの人がその速度を実感できませんでした。
しかし、これからは違います。
AIがロボットや自動車という機体を持ち、現実の工場、道路、倉庫、店舗などで働き始めます。
人々がそれを自分の目で見た瞬間、AIは「便利な道具」から「自分の仕事を代わる可能性のある存在」へ変わります。
そのとき、企業、労働者、政府、投資家、そして一般の人々の考え方は、一気に変わるでしょう。
今回の最大の問題は、ロボットがいつか完成することではありません。
多くの人が気づかない間にも進化が続き、現実世界に姿を現した後は、想像以上の速さで普及する可能性があることです。
AIとロボットによる変化は、もう遠い未来の話ではありません。
私たちはすでに、その入口に立っているのだと思います。





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