「5年後、わざわざ飛行機に乗って商談へ行く理由は、残るのだろうか?」

Second Lifeを体験して、想像を超えた世界があることを知った
「自分のAIが会議に参加する時代」
5年後には、AIアバターを使った海外商談が、現在のオンライン会議と同じくらい身近になっているかもしれません。
最近、私はSecond Lifeという仮想空間を実際に体験しています。
最初は、自分のAI研究所を作り、そこにAIアバターを配置してみようという、ちょっとした好奇心から始まりました。
ところが、実際に中へ入ってみると、想像していた以上の世界が広がっていました。
高層ビル、住宅、海辺の別荘、マリーナ、大型クルーザー、鉄道、店舗、そして上空にまで広がる建物。
土地を購入し、建物を建て、家具を配置し、アバター同士で交流する。
そして、私が特に驚いたのは、仮想空間の土地を購入するだけでなく、決して安くない維持費を毎月支払いながら、長年所有し続けている人たちがいることです。
実際に海沿いの土地を探してみると、立地の良い場所には住宅やマリーナが並び、すでに多くの土地が利用されていました。
しかも、一等地と思われる場所では賃貸物件が目立ち、購入できる土地は意外なほど少なかったのです。
現実の不動産と同じように、立地によって価格が大きく違うことにも驚きました。
もちろん、売り物件が少ないからといって、必ずしも需要が高いとは限りません。
それでも、仮想空間の土地に継続してお金を使う人たちがいるという事実は、私にとって非常に興味深い発見でした。
私自身も土地を購入し、ビルを設置し、AIアバターを受付に配置するところまで体験しました。
正直なところ、ここまでできるとは思っていませんでした。
ただし、現在のSecond Lifeには大きな課題もあります。
それは、操作が非常に複雑なことです。
建物を設置するにも、位置や高さの調整、土地の設定など、覚えることがたくさんあります。
AIアバターを動かすだけでも、何度も試行錯誤しました。
さらに驚いたのは、仮想空間の海でクルーザーを楽しむ場合です。
現実世界と同じように、海には浅い場所と深い場所があり、船の種類や設定によっては、浅瀬で船底が引っかかり、座礁することもあるそうです。
私は大型クルーザーで航海してみたいと思い、海沿いの土地をいくつも見て回りました。
ところが、海が広がっているように見えても、実際にはその先へ進めない場所があったり、他人の所有する水域を通らなければ外海へ出られなかったりするのです。
仮想空間なのだから、もっと自由で簡単な世界だと思っていました。しかし実際には、現実世界に似た制約まで存在していたのです。
これには驚かされました。
今のままでは、誰もが簡単に利用できる世界とは言いにくいでしょう。
しかし、私はここで一つ考えました。
今のSecond Lifeを基準に未来を判断するのではなく、AIがさらに進化した5年後を想像したらどうなるのだろうか。
現在は人間が一つずつ覚えて操作していることを、AIが代わりに行ってくれるようになったら。
そのとき、仮想空間の可能性は一気に広がるのではないでしょうか。
操作の多くをAIが代行し、現実の建物を簡単に仮想空間へ再現できるようになったら。
そして、世界中の人が自分のAIアバターとともに、言語の壁を意識せずに交流できるようになったら。
そのとき、私たちの商談や会議、そして働き方そのものが、大きく変わるのではないでしょうか。
現実の会社や会議室を、そのまま仮想空間へ持っていく
例えば、現実に存在する会社の会議室を考えてみてください。
現在でも、LiDAR(ライダー)や写真測量という技術を使えば、建物や室内を3Dデータとして記録できます。
そのデータを加工すれば、仮想空間に現実の会議室を再現することも可能です。
今はスキャン後のデータ修正や軽量化などが必要ですが、AIが進歩すれば、こうした作業の多くが自動化される可能性があります。
5年後には、現実の会議室をスキャンし、仮想空間に再現するまでの手間が、現在より大幅に少なくなっているかもしれません。
そして、その会議室には世界中から人が集まります。
日本、モンゴル、スリランカ、アメリカ。
現実には何千キロも離れた場所にいる人たちが、同じ会議室にアバターとして参加するのです。
もちろん、仮想空間はSecond Lifeである必要はありません。
Second Life自体が進化する可能性もあれば、もっと簡単に利用できる新しい仮想空間が登場する可能性もあります。
また、Second Lifeには、長年利用している人たちや、すでに作られた建物、土地、コミュニティがあります。
今後、新しい技術が普及したとき、こうした利用者が新しい仕組みに移行していく可能性もあるでしょう。
重要なのは、特定のサービスではなく、現実世界と仮想空間を結びつける仕組みそのものです。
全員が自分の母国語で会話できる
私は、これが仮想空間の大きなメリットになると考えています。
例えば、日本人とモンゴル人が商談する場合、現在は通訳者を手配したり、翻訳アプリを利用したりすることがあります。
しかし、AIが組み込まれた仮想空間ならどうでしょう。
日本人は日本語で話す。
モンゴル人はモンゴル語で話す。
スリランカ人はシンハラ語やタミル語など、自分が使いやすい言語で話す。
それぞれのアバターが、相手に合わせた言語で話してくれる。
日本人には、全員が日本語で会話しているように聞こえる。
モンゴル人には、全員がモンゴル語で会話しているように聞こえる。
しかも、音声だけでなく、資料や画面上の文字まで、それぞれの言語で表示される。
通訳機を持つ必要も、翻訳アプリを操作する必要もありません。
現実世界でも自動翻訳技術は進むでしょう。
しかし仮想空間なら、音声、文字、資料、アバターの発言を一つの仕組みの中で処理できます。
私は、この違いは大きいと思います。
これまで国際的なビジネスでは、語学力が大きな強みでした。
しかし、言葉の壁が低くなれば、語学力だけではなく、その人が何を知っているか、何を考えているかが、より重要になるかもしれません。
表現することが苦手な人にも、新しい可能性が生まれる
先日、私は次のような記事を書きました。
「伝えたいのに、うまく表現できない――AIアバターが世界に届ける『埋もれた知恵』」
今回の構想は、その続きでもあります。
世の中には、豊富な経験や知識を持っていても、人前で話すことが苦手な人がいます。
頭の中には考えがあるのに、それをうまく言葉にできない。
会議では、必ずしも最も知識のある人が、最も多く発言するとは限りません。
話すことが得意な人、説明が上手な人の意見が目立つこともあります。
しかし、自分専用のAIアバターがあればどうでしょう。
本人がAIに考えを伝える。
AIがその内容を整理する。
必要であれば、図表や3Dモデルを使って説明する。
本人が内容を確認したうえで、AIが会議の参加者へ伝える。
これなら、これまで発言をためらっていた人にも、新しい参加の機会が生まれるかもしれません。
AIが人間の代わりに考えるのではなく、人間が持っている知識や経験を、相手に伝わる形にする。
私は、ここに大きな価値があると思っています。
商談中に、工場や製品をその場で見られる
さらに、仮想空間なら会議室だけで終わる必要はありません。
例えば、日本の製造会社が海外企業と商談しているとします。
製品について詳しい説明が必要になったら、会議室から仮想工場へ移動する。
そこには、現実の工場をもとに再現された設備が並んでいます。
製品を実物大で表示する。
内部構造を見せる。
部品を取り外して説明する。
必要なら、設計変更後の姿をその場で比較する。
こうしたことができれば、写真やカタログだけでは伝わりにくかった情報も、理解しやすくなるでしょう。
しかも、現実の機械や設備を海外へ運ぶ必要はありません。
もちろん、最終的な品質確認や実物の検査は現実世界で行う必要があります。
それでも、商談の初期段階や技術説明では、大きなメリットが生まれる可能性があります。
高価なロボットを連れて歩く必要もない
私は、AIロボットの進化にも関心を持っています。
ただ、今回の仮想空間を体験して、一つ考えが浮かびました。
情報を伝える仕事のために、必ずしも人型ロボットが必要なのだろうか。
現実のロボットには、機体、電源、保守、輸送、安全対策などが必要です。
一方、仮想空間のAIアバターには、物理的な身体が必要ありません。
世界中の仮想オフィスや展示場で、AIが案内や説明を担当できるようになれば、物理的なロボットを配置するより低コストで運営できる場合もあるでしょう。
もちろん、荷物を運ぶ、設備を修理する、実物を加工するといった仕事には現実のロボットが必要です。
しかし、会議、商談、説明、案内、教育など、情報を扱う仕事では、AIアバターの方が合理的な場面が増えるかもしれません。
移動にかかる時間、費用、危険も減らせる
例えば、日本からモンゴルへ商談に行くとします。
航空券、ホテル、現地での移動、通訳、そして移動に費やす時間。
商談の内容によっては、これだけの費用と時間をかける必要が本当にあるのか、考えることがあります。
もし、仮想空間で相手の会社や工場を確認し、AIによる翻訳を使って商談できるなら、現地訪問の回数を減らせるかもしれません。
海外への移動が減れば、交通事故や渡航に伴う危険も減らせます。
もちろん、現実に会うことで築ける信頼関係もあります。
すべての商談が仮想空間に置き換わるとは思いません。
しかし、最初の打ち合わせから何度も飛行機に乗る必要は、今より少なくなるのではないでしょうか。
そして、浮いた時間や費用を、本当に現地へ行く必要がある仕事に使えるようになります。
自分のAIが会議に参加する時代
さらに5年後を考えると、人間が毎回アバターを操作して会議に参加する必要さえ減るかもしれません。
自分の仕事、知識、過去の判断、会社の方針などを参照できるAIが、自分の代わりに会議へ参加する。
AIが相手の質問に答え、資料を説明し、議論を整理する。
重要な判断や契約については、本人に確認する。
会議が終われば、AIが議事録を作成し、必要な資料を整理する。
人間は、最終的な判断に集中する。
そんな働き方も考えられます。
ただし、AIが勝手に約束したり、本人の意図と異なる発言をしたりしないよう、権限や確認の仕組みは必要です。
それでも、人間が自分のAIを連れて世界のビジネスに参加する時代は、決して遠い未来だけの話ではないと感じます。
5年後、仮想空間を選ぶ理由は何になるのか
私は、仮想空間が普及する理由は、現実世界をそっくり再現できるからだけではないと思います。
むしろ、現実世界よりも便利になるから、人々が自ら仮想空間を選ぶようになるのではないでしょうか。
例えば、会議に参加するために移動する必要がない。
通訳を手配する必要がない。
資料を大量に持ち歩く必要がない。
現実の製品を輸送しなくても、3Dモデルで説明できる。
表現が苦手でも、AIが考えを整理して伝えてくれる。
しかも、AIアバターなら物理的なロボットを用意する必要もありません。
現在のオンライン会議でも、移動費用を減らすことはできます。
しかし、AIによる翻訳、表現支援、3D空間での製品説明などが一体化すれば、従来のオンライン会議とは違う価値が生まれます。
単に現実世界の代用品として使うのではなく、現実世界より合理的だから仮想空間を選ぶ。
私は、そこが大きな変化になると思います。
Second Lifeは、未来を考えるきっかけになった
ここまで書いてきたことは、すべてが現在のSecond Lifeで実現しているわけではありません。
現在は操作も複雑ですし、AIアバターとの会話にも不安定な部分があります。
私自身、AIを配置するだけでも何度も試行錯誤しました。
しかし、実際に仮想空間を歩き、土地を探し、建物を設置し、AIアバターと会話したことで、以前とは違う見方ができるようになりました。
Second Lifeには、すでに長年利用している人たちがいて、住宅、店舗、海、鉄道、さまざまなコミュニティが存在しています。
今後、Second Lifeそのものが進化するのか、別のサービスに利用者が移っていくのかは分かりません。
ただ、どちらにしても、仮想空間の技術が今後さらに発展していく可能性は十分にあると思います。
そして、その価値は、現実世界を美しく再現することだけではありません。
現実世界にある距離、費用、言語、表現力という制約を小さくできること。
そこに本当の可能性があるのではないでしょうか。
5年後、わざわざ飛行機に乗って商談へ行く理由は、今ほど残っているのだろうか?
私は、海外へ行くこと自体がなくなるとは思いません。
現地の人と直接会うこと、実物を見ること、その国の文化を感じることには、これからも価値があるでしょう。
しかし、情報を交換するためだけの移動は、今より大幅に減らせる可能性があります。
そして、さらに重要なのは、これまで国際的な商談や会議に参加しにくかった人たちにも、機会が広がることです。
語学力がなくても。
人前で話すことが苦手でも。
遠くまで移動することが難しくても。
自分の知識や経験を、AIの力を借りて世界に届けられるようになる。
私は、そんな未来に期待しています。
5年後、私たちは現実世界の不便を解消するために、あえて仮想空間を選ぶようになっているのかもしれません。
今回のSecond Lifeでの体験は、そんな未来を考えるきっかけになりました。
これからも実際に試しながら、その可能性を確かめていきたいと思います。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/




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