まるで子どもの頃に見たアニメや絵本の中に出てくる世界。なぜモンゴルの自然はこんなに美しいのか?──人の手が入っていないのに「整っている」不思議
- 後藤 友亮

- 4 日前
- 読了時間: 6分
モンゴルの草原や森、川の写真を見ると、日本人ならどうしても「単に日本の山や高原、きれいな川のような感じかな」と想像すると思います。

私自身も、実際に訪れるまではそう思っていました。
しかし、現地で実際にその自然の中へ入ってみると、印象はかなり違いました。
簡単に表現すると、まるで子どもの頃に見たアニメや絵本の中に出てくる、美しい草原や森、川が、そのまま現実の世界に現れたような景色です。
しかも、夏は気候まで心地よく、目で見る美しさだけでなく、実際にその場にいる体感まで含めて完成度が高いと感じました。
広い草原がどこまでも続き、その中を川が流れ、

森の中も不思議なくらいすっきりしています。
日本の自然の中に入ったときとは、空気感そのものが少し違います。
日本では夏の山や川へ行けば、蚊や小さな虫も多く、スズメバチのような攻撃性の強い蜂や、場所によっては蛇にも注意が必要です。
植物も非常に勢いよく成長し、ツル性の植物や下草が絡み合い、人が手を入れなければ短期間で鬱蒼とした景色になっていきます。
ところが、私が実際に見て、触れて、歩いたモンゴルの自然は、ほとんど人の手が入っていないはずなのに、まるで毎日誰かが手入れしている公園のように整って見えました。
特に印象に残ったのが、ツル性の植物をほとんど目にしなかったことです。
日本の山では、木や草にツルが絡みついている光景は珍しくありません。しかしモンゴルでは、そのような景色をほとんど見かけませんでした。
これは、モンゴル特有の乾燥した空気や気候、植生の違いが大きく関係しているのだと思います。
日本は高温多湿のため、植物の成長が非常に早く、雑草やツル植物、コケなども一気に広がります。
一方、モンゴルは空気が乾燥しており、冬は非常に寒く、植物が大きく成長できる期間も限られています。
そのため、日本のように植物同士が絡み合い、自然が一気に鬱蒼としていくような景色になりにくいのでしょう。
だからこそ、草原も森も非常にすっきりして見えます。

もちろん、モンゴルに虫がいないわけではありません。地域や季節によっては蚊などもいるでしょう。
ただ、私が実際に訪れた場所では、日本の夏の山や川のように蚊に刺されたり、虫を気にしながら自然の中を歩いたりすることは、ほとんどありませんでした。
さらに意外だったのが、牛や馬、羊、ヤギなどの家畜のふんです。
モンゴルの草原には多くの家畜が放牧されています。当然、草原には動物のふんも落ちています。
それでも、実際に歩いていて、日本で想像するような強いふんの臭いをあまり感じませんでした。
これも、乾燥した気候が関係しているのではないかと思います。
日本のように湿度が高い環境では、ふんや草、土などに水分が残りやすく、臭いも強く感じやすくなります。
一方、モンゴルでは空気が乾燥しているため、家畜のふんも比較的早く乾燥し、臭いが残りにくいように感じました。
たくさんの家畜がいるにもかかわらず、思ったほど「動物臭さ」がありません。
これも、モンゴルの自然を歩いていて心地よく感じる理由の一つでした。
そして、私がモンゴルの自然で一番不思議だと感じたことがあります。
それは、山や草原の地面です。
私が訪れた場所では、山の斜面が比較的なだらかで、地表に大きな岩や石がむき出しになっている場所が意外なほど少なく感じました。
しかも、草原もかなり平らな場所が多く、道路がなくても車でそのまま走れてしまう場所が珍しくありません。
日本の山を想像すると、石や岩、段差、木の根、深い草などがあり、「道がなければ車では進めない」という感覚があります。
ところがモンゴルでは、場所によっては、山や草原そのものが巨大な自然の道のように感じられます。
もちろん、モンゴル全土がそうというわけではなく、岩山や険しい地域もあります。
それでも、私が実際に訪れた草原地帯では、地形が比較的なだらかで、岩や石が少なく、車で自由に移動できる場所が非常に多いことに驚きました。
遠くから見ると、ただの広い草原です。
しかし実際にその中へ入ってみると、
「なぜこんなに自然のままなのに、地面まで整っているように見えるのだろう」
と不思議になります。
人間が造成したわけでも、道路を作ったわけでもない。
それなのに、そのまま車で走れる場所がある。
私にとっては、これがモンゴルの自然で最も不思議に感じた部分でした。
そして、こうした特徴を全部合わせて考えると、私がモンゴルの自然を「ハイクオリティ」と感じた理由が見えてきます。
人の手がほとんど入っていないのに、自然そのものが整って見える。
日本では、きれいな景観を維持しようと思えば、草刈りをしたり、木の根元や周囲の雑草を刈ったり、伸びすぎた枝やツルを切ったりと、定期的な手入れが必要になります。
ところがモンゴルでは、そうした人間による管理とはほとんど無縁に見える場所でも、草原や森が自然のままで美しく整っています。
草刈りもしない。
木の周りや根元の草を刈ることもしない。
ツルを切る必要もほとんどない。
家畜がたくさんいても、強い臭いをあまり感じない。
場所によっては道路すら必要なく、そのまま車で走れてしまう。
そして夏は、気温や空気まで心地よい。
それでも景色全体が、不思議なくらいすっきりしています。
ここが、日本の自然との大きな違いだと感じました。
もちろん、日本には日本らしい高温多湿で生命力の強い自然の美しさがあります。
一方、モンゴルは、乾燥した空気、短い夏、厳しい冬、広大な土地、そして日本とは異なる植生や地形が組み合わさることで、まるで最初から景観として設計されたかのような自然を作り出しています。
さらに、虫をあまり気にしなくていいこと、家畜が多いのに強い臭いを感じにくいこと、草原や山の地面まで自然に整っているように見えること、そして夏の気候そのものが心地よいこと。
つまり、モンゴルの自然は見た目だけが美しいのではありません。
空気、気温、匂い、歩きやすさ、開放感まで含めて、その場所にいること自体が心地よい。
私がモンゴルの自然を見て、単に「きれい」ではなく、あえて**「ハイクオリティだ」**と感じた理由は、そこにあります。
写真だけを見ると、ただの「広い草原」に見えるかもしれません。
しかし、実際にその場所に立ってみると、
「アニメや絵本の中にしか存在しないと思っていた自然が、本当に現実に残っていた」
そんな感覚に近いものでした。
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