海外で稼ぎまくる日本企業、なぜ国内企業は豊かにならないのか――1000記事を目標に調べて見えたこと

日本企業の海外投資は、国内経済にどう影響したのか
私は、1000記事を書くことを目標に、さまざまなことを調べてきました。
AIが進化し、海外の情報や公的な統計を以前より短い時間で確認できるようになったことで、これまで見えていなかったことが少しずつ見えてきます。
その一つが、噂では聞いたことあった日本の金融資産の大きさでした。
2024年の国会答弁 第213国会 財務金融委員会 第14号(令和6年4月5日) では、家計に加えて国と企業の金融資産を合わせた「国内全体の金融資産」は、約9704兆円と説明されました。約1京円という規模までふくれあがってます。
企業が国内で稼いだ利益の一部が、海外へ向かってきたことは国会でも議論されています。
企業の利益が、現預金として積み上がるだけでなく、海外直接投資やM&Aに使われてきたという認識が、国会答弁で示されました。
国内より海外の方が、収益面で魅力的だったのではないかという指摘も出ています。
そこで、私は考えるようになりました。
日本企業は海外で利益を伸ばしてきたのに、その成果は国内の賃金や暮らしに、どれほど戻っているのだろうか。
グローバル日本企業の株主も、海外の成長から利益を得る
ここで比べたいのは、海外株と日本株ではありません。
日本のグローバル企業は、日本に本社を置きながら、海外で事業を展開しています。
海外の市場で利益を伸ばせば、その成果は企業の業績や資産に反映され、株主は配当や株価の上昇を通じて利益を得る可能性があります。
つまり、日本のグローバル企業の株を持つ人も、海外の成長から利益を得られるということです。
一方、国内で自ら事業を営む経営者は、人を雇い、設備を整え、税金を払い、資金繰りを続けます。
事業がうまくいくかどうかだけでなく、現場の問題や人手不足にも向き合わなければなりません。
株主と経営者では、背負うものも利益の受け取り方も違います。
だから単純に比べることはできません。
それでも、国内で事業の責任を負う人より、海外でも稼ぐ企業の株主の方が、資本に対する利益を得やすい場面が増えていたのではないか。
私はそう感じています。
企業の海外投資は、企業にとって合理的な判断だった
企業が海外へ投資するのは、特別なことではありません。
より大きな市場や高い収益が見込める場所を選ぶのは、経営者にとって自然な判断です。
内閣府の分析でも、日本企業は国内投資より期待収益の高い海外投資を拡大させ、その結果として対外資産を積み上げてきたと説明されています。一方、海外投資で得た利益が、国内の生産性向上や賃上げに明確につながっているとは限らないという課題も示されています。
企業の判断を責めるより、考えるべきなのは、なぜ国内より海外の方が投資先として魅力的になったのかということではないでしょうか。
もし国内で設備を増やすより海外に投資した方が高い利益を見込めるなら、企業が海外を選ぶのは合理的です。そこには金利や市場の成長性だけでなく、税や規制、労働力、将来の需要など、さまざまな条件が関わります。
経営者として実感した、利益と資金繰りのずれ
私自身、事業を続けるなかで、税金や会計の仕組みを十分に理解できていなかったと感じることがありました。
特に設備投資では、現金は先に出ていくのに、税務上の減価償却費は耐用年数に応じて複数年に分けて計上されます。
そのため、実際の資金繰りと、帳簿上の利益や税金の計算が一致しないことがあります。
設備を導入した年に支出した金額が、そのまま全額経費になるわけではありません。
帳簿上は利益が出ているように見えても、手元資金には余裕がなく、納税のために借入れが必要になる。私は、そうした状況を経験しました。
もちろん、減価償却は設備の価値が長期間にわたって使われることを会計に反映する仕組みです。
ただ、設備投資の多い会社では、帳簿上の利益だけで経営の実態を判断しにくいことがあります。
経営者には、利益だけでなく、現金の出入りや将来の納税資金まで見通す必要があります。
問題は、企業の海外進出そのものなのか
コロナ後、世界各国で大規模な金融緩和が行われ、資産価格の上昇が目立つようになりました。
その時期を振り返ると、海外でも稼ぐ日本企業の株を持つ人は、企業の成長や世界の資産価格上昇から利益を得てきたように見えます。
ただし、株価の動きが金融緩和だけで決まるわけではありません。
企業の業績、技術革新、為替、各国の政策なども影響します。
金融緩和がすべての原因だと断定することはできません。
また、海外投資が必ず国内に悪影響を与えるわけでもありません。
海外で得た利益が、国内の賃金や設備投資、研究開発、取引先への発注に回ることもあります。
問題は、海外で稼いだ利益がどれだけ国内に戻り、国内で暮らす人たちの所得や生活を支えているかです。
企業が利益を求めて海外へ向かうのは、経営判断として合理的です。
だからこそ、問いたいのは企業の姿勢だけではありません。
国内で事業をするより海外に投資した方が有利だと企業が判断する。
その仕組みをつくってきた政治や制度に、見直すべき点はなかったのか。
これから確かめたいこと
私は、自分の経営経験だけで日本の仕組みがすべて間違っていたと断定するつもりはありません。
ただ、国内で事業を営む経営者として感じてきた資金繰りの難しさと、日本企業が海外で利益を伸ばしてきたという公的データを重ねると、疑問が浮かびます。
日本のグローバル企業は海外で成長し、その株主も利益を得てきた。では、国内で事業を営む人や、そこで働く人たちは、その成長の恩恵を十分に受けられてきたのだろうか。
そして、国内の事業より海外投資を選びたくなる環境をつくったのは、企業の経営判断だけだったのでしょうか。
これから、税や減価償却、低金利、企業の投資先、海外利益の国内還流について、データと自分の経験の両方から考えていきたいと思います。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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