第2回|高齢化と住宅の価値――かつて憧れだった高台の家が売れない理由

かつて憧れだった高台の家が売れない――高齢化で逆転する土地の価値
昔は人気だった住宅地でも値下がりしている
高齢化と住宅の価値の関係について、浜松の不動産屋さんとの会話から考えさせられました。
かつて憧れだった高台の家も、老後の暮らしやすさという視点では、評価が変わってきているようです。
不動産屋さんとの話のなかで、私が特に驚いたことがあります。
以前は人気があった住宅地でも、高低差のある場所は価格が下落し、売れにくくなっているそうです。
最初は、造成工事や擁壁などの費用が原因なのかと思いました。
ところが、理由はもっと身近で、切実なものでした。
「年を取ったときに住むのが大変だからです」
この一言には、高齢化社会の現実が凝縮されているように感じました。
駐車場の上に建つ立派な家が売れない
以前は、道路沿いに駐車場をつくり、そこから階段を上った高い場所に住宅を建てることが、一つの憧れでもありました。
道路より高い位置に立派な家があり、玄関へ続く階段がある。
見た目にも風格があり、私も昔なら魅力を感じたと思います。
ところが、今ではこうした住宅が特に売れにくいそうです。
若い頃は何とも思わなかった階段が、年齢を重ねると毎日の負担になるからです。
買い物から帰って荷物を運ぶ。
足腰が悪くなって通院する。
体調を崩す。将来、介護が必要になるかもしれない。
そんなことを考えると、道路から玄関まで階段を上らなければならない住宅には、
購入をためらう人が出てきます。
実際に住めなくなり、売りに出す高齢者も
さらに驚いたのは、こうした住宅を購入する人が減っているだけでなく、実際に高齢になって生活が大変になり、売却しようとする人も多いという話です。
長年暮らしてきた愛着のある自宅。
しかし、体力が衰えて階段の上り下りが難しくなる。
そこで平坦で便利な場所に移ろうと考えても、今度は自宅がなかなか売れない。
これは深刻な問題です。
しかも、室内はバリアフリーに改修できても、道路から玄関までの高低差は簡単には変えられません。
住宅そのものより、土地の構造が問題になっているのです。
高台は水害に強くても、老後には不便になる
今回の話で、もう一つ興味深いことを感じました。
水害リスクを考えると、高い場所に住みたいと思うのは自然です。
しかし、坂道が多い高台の住宅地は、高齢になると買い物や通院が大変になります。
一方、平坦で駅に近い住宅地は便利でも、水害リスクを抱えている場所があります。
つまり、安全性と暮らしやすさは、必ずしも一致しないのです。
だからこそ、将来の住宅購入では、土地の高さだけでなく、道路や玄関までの段差、周辺の坂道、交通機関、病院、買い物施設などを総合的に考える必要があるのでしょう。
高齢化と住宅の価値|土地の評価まで変わる理由
私は今回の話で、高齢化という言葉の意味を改めて考えさせられました。
高齢化社会と聞くと、年金、医療、介護などの問題を思い浮かべます。
しかし、それだけではありません。
高齢化は、住宅の形、土地の評価、街の人気まで変えてしまうのです。
昔は価値が高いと考えられていた土地が、今では敬遠される。
逆に、以前は特別な魅力がないと思われていた平坦で駅に近い住宅地が、再評価される。
そんな変化が起きているのかもしれません。
もちろん、高低差のある住宅地がすべて値下がりするとは限りません。
眺望や立地、災害リスクなどによっても評価は変わります。
今回の価格下落についても、具体的な地域の成約データで確かめる必要があります。
それでも、現場でこうした話が出ていることは見逃せません。
30年後も住める家なのか
これから住宅を選ぶときに重要になるのは、「今、快適に住めるか」だけではないと思います。
30年後、40年後も、同じ家で無理なく生活できるか。
この問いが、住宅選びの中心になっていくのではないでしょうか。
そして高齢化の影響は、住宅市場だけでは終わりません。
人が住みたい場所が変われば、街の人口分布も変わるからです。
次回は、人口減少によって行政が抱えるインフラ維持費の問題と、浜松市の街づくり、さらに馬込川の治水対策について考えてみたいと思います。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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