浜松には17.5kmの巨大防潮堤がある――人口減少時代、「水害にも強い街」で移住先に選ばれる都市へ

浜松市の水害対策は、これから人口減少が進む中で、移住先として選ばれる都市になるためにも重要だと感じています。
日本全体で人口減少が進むこれからの時代、私はすべての都市が同じように人口を維持できるとは思っていません。
人が減れば、これからは自治体にとっても、
「どこに住むか」「どこに家を買うか」「どこで老後を暮らすか」
という選択の中で、選ばれることがますます重要になると思います。
では、その時に何が街の価値になるのでしょうか。
仕事、交通、医療、買い物、住宅価格、自然環境。
いろいろあります。
しかし最近の私は、そこにもう一つ、
「災害に強く、安心して暮らせること」
が非常に大きな条件として加わってくるのではないかと感じています。
「明日は自分の街かもしれない」と思うようになった
このところニュースを見るたびに、全国各地で大雨による水害を目にすることが増えました。
以前なら「大変な災害だ」と見ていたものが、最近は違って見えます。
「明日は自分の住んでいるところかもしれない」
そんな恐怖を感じるようになりました。
特に怖いのが河川の氾濫です。
住宅や車が水につかり、道路が寸断され、時には人命まで失われる。
これだけ各地で大きな水害を見るようになると、河川氾濫への備えは、防災だけでなくこれからの街の価値を左右する重要な要素になるのではないでしょうか。
昔の私は、川が氾濫することなど、ほとんど想像していませんでした。
むしろ川のそばは景色がよく、水が身近にあり、風も通る。
「川の近くは良い場所だ」
と思っていたくらいです。
ところが今は、その感覚が大きく変わりました。
以前は魅力だと思っていた川が、大雨の日には怖い存在に見えるようになりました。
もちろん、現在の馬込川が氾濫したという話ではありませんし、これからいつ氾濫するのかを私に予測できるわけでもありません。
私が心配しているのは、全国各地でこれまで想定していなかったような大雨や水害を目にする機会が増え、
「過去に大丈夫だったから、これからも大丈夫」
とは考えにくくなってきたことです。
馬込川についても、必要以上に危険をあおりたいわけではありません。
むしろ、大きな被害が起きていない今だからこそ、現在の雨の降り方を前提に、河川や堤防、排水能力を改めて確認していただきたいと思っています。
そして、必要な場所があれば、できる対策から先回りして進めていただきたい。
災害が起きてから対策を求めるのではなく、何も起きていないうちに備えてほしい。
それが、今の私が浜松市に一番お願いしたいことです。
街に近い馬込川だからこそ、被害が心配
特に私が気になるのが馬込川です。
馬込川は浜松の中心市街地を流れる河川です。
静岡県自身も、馬込川について河川整備を進めてきたものの、「治水安全度は未だ十分ではない」としています。また、松江観測地点では過去に3年連続ではん濫危険水位を超えたことも報告されています。
これだけ街に近い川で大規模な氾濫が起きれば、住宅だけの問題ではありません。
店舗、会社、道路、車、設備など、街の経済活動そのものにも影響します。
実際、私はガレージを造ることをためらっている
これは私にとって単なるニュースではありません。
私は車が好きなので、本来ならきちんとしたガレージを造りたいと思っています。
しかし最近の水害を見ると、正直なところ、怖くて今は造る気になれません。
数百万円をかけてガレージを造り、大切な車や工具を置いても、一度浸水すれば大きな被害になります。
これは小さな例ですが、同じことは住宅や店舗、工場にも言えると思います。
人は安心できない場所には、大きなお金をかけにくい。
逆に、
「この街なら安心して家を買える」「ここなら安心して設備に投資できる」
と思えることは、街の経済にとっても大きな価値になるはずです。
浜松にはすでに「安心をつくった」成功例がある
だからこそ私が期待するのが、浜松にはすでに大規模な防災事業を実現した経験があることです。
浜松市沿岸域防潮堤です。
浜名湖今切口東岸から天竜川西岸まで約17.5kmにわたって整備され、2020年3月に本体工事が完成しました。
私自身、この防潮堤ができたことで、以前よりかなり安心感が増しました。
さらに馬込川河口では水門整備も進められており、防潮堤と水門によって大きな津波減災効果が期待されています。
つまり浜松には、
「災害が起きてから対応するのではなく、先に大きな備えをする」
という実績があります。
浜松市の水害対策を「街の価値」に
次は「水害にも強い浜松」へ
だから私は、次は河川氾濫や豪雨への備えを、浜松のもう一つの強みにできないかと思っています。
堤防の強化だけではありません。
河道掘削、堆積した土砂の除去、排水設備、ポンプ、遊水機能など、専門家がその場所に最適な方法を判断すればいいと思います。
大切なのは、
「現在の雨の降り方を前提として、今の河川能力で十分なのか」
を継続して確認し、危険度の高い場所から先回りして対策することです。
浜松は、もともと「選ばれる都市」になれる条件が揃っている
私は浜松という街は、もともと非常に恵まれた環境にあると思っています。
静岡県内でも最大規模の都市でありながら、少し移動すれば自然がすぐそばにあります。
西へ行けば浜名湖。
南には遠州灘と、広大な日本3大砂丘の1つの中田島砂丘。
そして北へ向かえば、天竜区をはじめとする山や川に囲まれた大自然があります。
つまり浜松では、都市としての生活をしながら、
海、湖、山、川という全く違う自然環境に、比較的短時間で触れることができます。
これは人口が集中した大都市にはなかなかない魅力だと思います。
仕事や買い物、病院など都市生活に必要なものがありながら、休日になれば浜名湖へ行くことも、海を見ることも、山へ入ることもできる。
私自身、街中と天竜の自然の両方を行き来しているからこそ、この環境の良さを感じます。
だからこそ「安心して住める」をもう一つの強みに
人口減少が進めば、これからは単に人口を維持しようとするだけではなく、
「なぜこの街を選ぶのか」
という理由を持った都市が強くなると思います。
浜松にはすでに、
都市機能がある。仕事がある。浜名湖がある。海がある。砂丘がある。山と川がある。
これだけの材料があります。
そして沿岸部には、約17.5kmにわたる大規模な防潮堤も整備されました。
ここにもう一つ、
「大雨や河川氾濫にも強い街」
という安心感が加わればどうでしょうか。
私は、それが人口減少時代に浜松が移住先として選ばれる大きな理由の一つになり得ると思っています。
防災にお金を使うことは、単に災害を防ぐためだけではありません。
安心して家を買える。安心して子育てができる。安心して老後を暮らせる。
安心して事業や設備に投資できる。
その安心感をつくること自体が、これからの浜松への投資ではないでしょうか。
人口減少時代だからこそ、防災を「街の価値」に
これから人口が減っていけば、すべての地域が今と同じように維持されるとは限りません。
人はより便利で、暮らしやすく、安心できる場所へ集まっていく可能性があります。
だから私は、浜松市の水害対策を単なる公共工事として考えるのではなく、人口減少時代に浜松が「選ばれる都市」になるための投資として考えてほしいと思っています。
浜松には仕事があり、交通の利便性もあり、海も山もあります。
そこへ、
「津波に備えている」「河川氾濫にも備えている」「大雨にも強い」
という安心感が加わる。
そうなれば、
「これからどこに住もうか」
と考えている人にとって、浜松を選ぶ理由の一つになるのではないでしょうか。
「災害に強い街」を浜松のブランドに
防災工事は、何も起きなければ成果が見えにくいものです。
しかし私は、
「何も起きなかった」ことこそ、防災の一番の成功
だと思います。
浜松市沿岸域防潮堤によって私自身が感じた安心感を、今度は河川についても感じられるようになってほしい。
そして将来、
「浜松は災害に強く、安心して暮らせる街だから選んだ」
と言って移住してくる人が増える。
水害対策には、そんな可能性もあると思っています。
津波に強い浜松から、水害にも強い浜松へ。
人口減少時代だからこそ、安心して住めることを浜松の大きな強みにしていただきたい。
これは、これからも浜松で暮らしていきたい一市民としてのお願いです。
別枠|浜松市沿岸域防潮堤は、どれほどの津波を想定しているのか
浜松では最大約14.9mという津波まで想定してシミュレーションし、17.5kmの防潮堤を整備している。
浜松市の資料では、沿岸部のレベル2津波高として、
9.2m、10.1m、11.6m、12.5m、13.3m、14.4m、14.5m、最大14.9m
などが示されています。
つまり、場所によっては約15m級の最大クラスの津波まで想定したシミュレーションが行われています。 浜松市ホームページ
一方、防潮堤そのものは全長約17.5kmで、現在の県資料では高さT.P.+13~15m。2014年から整備が始まり、2020年3月に本体工事が完成しました。 静岡県公式サイト
ここで重要なのは、
「15mの防潮堤だから15mまでの津波なら絶対に防げる」
という意味ではないことです。
最大クラスのレベル2津波については、完全に防ぐことだけを前提とせず、浸水範囲や浸水深を大幅に減らし、避難時間を確保して被害を小さくする「減災」という考え方です。 静岡県公式サイト
馬込川水門まで完成すると、さらに強くなる
そして現在、防潮堤が途切れている馬込川河口には馬込川水門が建設されています。
水門本体は幅90m、30m幅のゲート3基、上端標高8m。左右の堤防や防潮堤とつないで津波の遡上を防ぐ構造です。右岸側では標高8~18mの防潮堤へ接続します。 静岡県公式サイト
静岡県の想定では、防潮堤と馬込川水門が一体となることで、最大クラスのレベル2津波に対して、
宅地の津波浸水面積:89%低減浸水深2m以上の宅地面積:98%低減
が期待されています。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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