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浜松市 バス無料化を考える――高齢化と渋滞、これからの街

24 時間前
読了時間: 13分
浜松市のバス無料化を考える遠鉄バス|高齢化・渋滞・公共交通と街づくり

浜松市 バス無料化は現実的なのか

浜松市のバス無料化について考えてみると、これは単に「運賃を無料にする」という話だけではありません。

高齢者の移動手段の確保や渋滞の緩和、車の利用が減ることによるガソリン消費の削減、さらに人口減少を見据えたこれからの街づくりまで、さまざまな問題につながっています。


バスをもっと利用しやすくすることで、人の移動がどう変わり、浜松の街そのものがどう変わるのか。今回は、自分自身が実際に遠鉄バスを利用して感じたことも含めて考えてみました。


浜松市は、かなりの車社会です。

私自身も普段の移動はほとんど車ですが、ときどき遠鉄バスを利用します。

実際に乗ってみると、遠鉄バスには低床で乗り降りしやすい車両が導入されていて、高齢になって車を運転しなくなったときの移動手段としても、よく考えられていると感じます。

ただ、私の地域を走るバスを見ていると、ほとんど人が乗っていないことがあります。

せっかく大きなバスが走っているのに、乗客がほとんどいない。

では、なぜ乗らないのか。

自分が実際に利用してみると、その理由も少し分かる気がします。

私が一番感じるのは、運賃と待ち時間です。

一人ならまだよいのですが、夫婦二人で往復すると、それなりの金額になります。

買い物なら荷物もあります。

バス停まで歩き、バスを待ち、帰りも荷物を持って同じことを繰り返す。

行き先によっては、

「ここまで払うのなら、もう少し出してタクシーでもいいかな」

と思ってしまうことがあります。

まして自分の車を持っていれば、どうしても車を選んでしまいます。

浜松の場合、駅周辺でも比較的利用しやすい料金の駐車場があり、場所によっては1日打ち切り800円~1,000円程度で利用できるところもあります。


青い壁に掲示された料金案内看板。大きく800円、時間貸し4時間500円、泊まり無料、営業時間7:00~深夜0:00と書かれている。

二人でバスを往復する料金と比べると、車なら荷物をそのまま積めて、待ち時間もなく、出発する時間も自由です。

駐車料金までそれほど高くないとなれば、どうしても、

「車で行こう」

となってしまいます。

これは、浜松で公共交通の利用を増やすうえで、かなり大きな壁だと思います。

そこで、ふと思いました。

「それなら、思い切ってバスを無料にしたらどうだろう」

無料なら、話はかなり変わります。

少なくとも私は、急がない日や荷物の少ない日なら、今よりバスを利用する機会が増えると思います。

「今日は車を置いて、バスで行こう」

という選択肢が出てくるからです。

もちろん、これは一つの意見です。

全面無料化がよいのか、100円程度の低料金にするのか、高齢者だけを対象にするのか、鉄道駅までの区間だけ安くするのか。

いろいろな方法が考えられます。

そこで、現在の浜松市がバスに対してどのような取り組みをしているのか、少し調べてみました。


調べて驚いた、浜松市はすでに年間最大1億円を支援

調べてみると、浜松市はすでにかなり踏み込んだ取り組みを始めていました。

浜松市は遠州鉄道と協定を結び、2025年4月1日から2028年3月31日までの3年間、遠鉄が現行のバス路線を維持する一方、市は年間1億円を上限として運行経費の一部を支援しています。しかも目的は、単に赤字を補うことだけではありません。

市と遠鉄が協力して、バスの利便性、生産性、持続可能性を高める取り組みを検討・実施し、「路線バスの利用者増加策」についても考えることになっています。

2025年度には、既存の鉄道を有効活用した効率的なバス交通網について調査し、2026年度以降は、その結果を踏まえた実証運行も検討するとされています。

さらに2026年度予算を見ると、「公共交通網維持支援事業」として1億円、「バス交通等対策助成事業」として約3億5,200万円が計上されています。

もちろん、約3億5,200万円がすべて遠鉄バスに使われるわけではなく、地域バスなどを含む別の事業です。


それでも、ここまで調べてみて分かったのは、浜松市ではすでに、

「公共交通は民間会社だけに任せておけばよい」

という段階ではなくなっているということです。

人口減少や運転手不足が進むなか、行政と交通事業者が一緒になって、地域の足をどう残していくのかを考えています。

しかも、「利用者をどう増やすか」というところまで踏み込んでいる。

これは、私は評価したいと思います。


「維持する」だけでなく、「もっと乗ってもらう」へ

そこで私は、さらに一歩進めて考えてみてもよいのではないかと思いました。

バス路線を残すことはもちろん大切です。

しかし、せっかく公費を投入するのであれば、

「どうしたらもっと多くの人がバスに乗るのか」

というところまで考えてもよいと思います。

実際、浜松市自身もすでに利用者増加策を検討しています。

その選択肢の一つとして、私は無料化や大幅な低料金化を試してみても面白いのではないかと思います。

もちろん、無料にすれば運賃収入がなくなります。

利用者が大幅に増えれば、車両や運転手をさらに確保しなければならない可能性もあります。

ですから、いきなり浜松市内のバスをすべて無料にする必要はありません。

例えば、高齢者から始める。

特定の曜日や時間帯だけ無料にする。

住宅地から最寄りの鉄道駅までを無料または100円にする。

特定の地域で半年ほど実証して、本当に利用者が増えるのかを調べる。

いろいろな方法があります。

大切なのは、無料にすること自体ではありません。

車を持っている人にも、「今日はバスにしよう」と思ってもらえる理由をつくれるかどうか。

そこが一番重要だと思います。


これから浜松駅周辺には、さらに人が集まってくる

そして公共交通を考えるうえで、もう一つ注目したいのが、浜松駅周辺、特に駅南側の変化です。

常葉大学は2028年4月、現在の浜名区都田から、浜松駅南口から徒歩7分の中央区寺島町へ浜松キャンパスを移転する予定です。

さらに、浜松を代表する企業であるスズキも、中央区海老塚二丁目の自社所有地に「駅南事務所棟」を建設する計画を公表しています。

なお、スズキ本社そのものが駅南へ移転するわけではありません。

現在の高塚町の本社敷地には、新しい本社事務所棟を建設し、2029年の竣工を予定しています。そのうえで、駅南にも新しい事務所拠点を設ける計画です。

大学が来る。

企業の新しい事務所ができる。

マンションも増えている。

こうした動きを見ていると、浜松駅周辺に人や機能が集まる流れは、これからさらに強くなっていくように感じます。

しかし、ここで一つ問題があります。

人が中心部に集まり、その人たちがみんな車で移動したらどうなるのか。

浜松はもともと車への依存が大きい街です。

私自身も車を運転していて感じますが、時間帯によっては渋滞がひどく、到着時間が読めなくなることがあります。

人を中心部へ集めるのであれば、

人だけでなく、車まで一緒に集めてしまわない方法

も考える必要があります。

そこで、公共交通の役割が今まで以上に重要になってくると思います。

浜松駅周辺に人や機能を集めるのであれば、同時に、そこへ車を使わなくても行ける仕組みをつくる必要があります。

そして浜松には、すでにそのために使える大きな財産があります。

JR東海道本線と遠州鉄道です。


よかったです(笑)。では前半は一切変更せず、「JR東海道本線と遠州鉄道です。」の直後から後半です。


鉄道を「幹」にして、バスを「枝」にする

私は、これからの浜松では、鉄道を街の「幹」にして、そこへバスという「枝」をつなぐ形が合理的なのではないかと思っています。

例えば、天竜川駅から浜松駅までは電車でわずか数分です。

隣の磐田市になりますが、豊田町駅からでも浜松駅までは10分かからない列車があります。

遠州鉄道についても同じです。

浜松駅から距離が離れていても、駅まで歩いて行ける場所なら、車を使わず中心部へ向かうことができます。

つまり、すべての人が浜松駅の近くに住む必要はありません。

浜松駅を大きな中心としながら、JR東海道本線や遠州鉄道の主要駅周辺にも人が暮らす拠点をつくる。

そこにスーパー、病院、学校など、日常生活に必要なものをできるだけ集める。

そして、それぞれの拠点を鉄道で結ぶ。

鉄道駅から離れた住宅地については、バスで最寄りの駅へつなぐ。

イメージとしては、

JR東海道本線・遠州鉄道=街を支える「幹」

路線バス・地域バス=住宅地まで伸びる「枝」

です。

この形なら、浜松駅から多少離れていても、駅の近くであれば車に頼りすぎず生活できます。

そして鉄道には、道路の渋滞の影響を受けにくく、移動時間を比較的読みやすいという大きな利点があります。

高齢になって車を運転しなくなったとき、

「自分で歩いて駅やバス停へ行き、時間を読んで目的地まで移動できる」

ということは、今以上に大きな価値を持つのではないでしょうか。


だからこそ、バスをもっと使いやすくする

ここで、最初の「バスを無料にしたらどうだろう」という話に戻ります。

いくら鉄道という便利な「幹」があっても、自宅から駅まで行く方法がなければ利用できません。

その最後の部分をつなぐのが、バスです。

しかし、バスの運賃が高く、待ち時間も長ければ、車を持っている人は、

「それなら最初から車で行こう」

となってしまいます。

だから私は、バスの無料化や大幅な低料金化を、単なる高齢者への福祉政策としてだけではなく、浜松の交通そのものを車中心から少しずつ変えていくための方法として考えてもよいのではないかと思います。

例えば、住宅地から最寄りの鉄道駅までのバスを無料、あるいは100円程度にする。

そこから鉄道へ乗り換えて、浜松駅周辺へ向かう。

そんな使い方が定着すれば、

「家から目的地まで全部車」

だった浜松の移動を、

「家から駅まではバス、そこから鉄道」

へ少しずつ変えられる可能性があります。

もちろん、料金だけではありません。

バスの本数、待ち時間、鉄道との接続、運転手不足なども一緒に考える必要があります。

それでも、すでにある鉄道とバスをもっと上手に組み合わせることができれば、新しい道路を次々につくることとは違う方法で、浜松の渋滞や高齢化に対応できるかもしれません。


人口が減る時代は、「分散」より「集約」

そして、ここまで考えていくと、これはバスだけの問題ではなく、これから浜松という街をどういう形にしていくのかという話につながります。

人口が増え続けていた時代は、住宅地を郊外へ広げ、道路を造り、スーパーや病院、学校などを各地域に配置していくことができました。

しかし、人口が減り、高齢者が増えていくこれからは、同じやり方を続けるのは難しくなると思います。

人が広い地域に少しずつ分散して住めば、道路、水道、公共交通、病院、スーパーなども広い範囲で維持しなければなりません。

利用する人が減っているのに、維持する範囲だけは変わらない。

これでは、どうしても一人あたりの社会的な負担が大きくなっていきます。

だから私は、今必要なのは、人をさらに分散させることではなく、生活しやすい場所へ少しずつ集約していくことではないかと思っています。

ただし、浜松駅周辺だけにすべてを集めるという意味ではありません。

浜松駅を大きな中心としながら、JR東海道本線や遠州鉄道の主要駅周辺など、それぞれの地域に生活の拠点をつくる。

そこに人が住み、スーパーや病院などが集まり、それぞれを鉄道やバスで結ぶ。

こうすれば、限られた人口でも公共交通や生活サービスを維持しやすくなります。

これは単に、

「便利な場所に住みましょう」

という話ではありません。

人口が減る時代に、街そのものをどうすれば合理的に維持できるのか。

という問題だと思います。

人がある程度集まれば、スーパーも病院も成り立ちやすくなります。

バスや鉄道にも人が乗ります。

行政サービスも提供しやすくなります。

反対に、人が広い地域に薄く住み続ければ、利用者が減ったスーパーや病院、ガソリンスタンド、バス路線などから、少しずつ維持することが難しくなっていく可能性があります。


調べてみると、浜松市も同じ方向を考えていた

今回、バスの無料化について考えたことから始まり、浜松市の取り組みをいろいろ調べてみました。

すると、少し意外だったことがあります。

浜松市もすでに、人口減少や高齢化を前提として、街の形そのものを変えていこうとしています。

浜松市が目指しているのは、すべてを浜松駅周辺だけに集める一極集中ではなく、**「拠点ネットワーク型都市構造」**です。

公共交通の結節点や鉄道沿線などに、人が暮らす場所や生活に必要な機能をある程度集め、それぞれの拠点を公共交通で結んでいくという考え方です。

調べてみると、私が考えていた、

「人を広く分散させるより、生活しやすい場所へ集約する」

「鉄道を幹にして、バスを枝にする」

という方向と、かなり重なる部分がありました。

私は、この方向は評価したいと思います。

人口が減っていくこと自体を止めるのは簡単ではありません。

しかし、人口が減るのであれば、その人口でも維持できる形に街を変えていくことはできます。


高齢者対策、渋滞対策、環境対策を一つにつなげる

そして、公共交通を充実させる意味は、高齢者対策だけではありません。

車を使う人が少しでも公共交通へ移れば、道路を走る車の数を減らせる可能性があります。

浜松では時間帯によって渋滞がひどく、車でも到着時間が読めなくなることがあります。

車が少し減れば、渋滞の緩和につながるかもしれません。

ガソリンの消費量も減ります。

排ガスの削減にもつながります。

中心部で必要になる駐車場の数も、将来的には抑えられるかもしれません。

つまり、

高齢者の移動手段

渋滞対策

環境対策

駅周辺の活性化

人口減少に合わせた街の集約

これらを別々の問題として考えるのではなく、

「車がなくても移動できる街をつくる」

という一つの考え方でつなげることができるのではないでしょうか。


「車がなくても暮らせる浜松」へ

もちろん、バスを無料にすれば、すべての問題が解決するわけではありません。

無料がよいのか。

100円程度がよいのか。

高齢者だけを対象にするのか。

鉄道駅までの区間だけ安くするのか。

まず一部の地域で試してみるのか。

実際にやってみて、利用者がどれだけ増えるのか、必要な費用はいくらなのか、車からバスへ乗り換える人が本当に増えるのかを確認する必要があります。

もし思ったほど利用者が増えなければ、別の方法を考えればよいと思います。

大切なのは、最初から「できない」と決めることではなく、人口減少と高齢化が進む街に合った交通の形を試していくことだと思います。

今回調べてみて、浜松市もすでに公共交通の維持や利用者増加、そして拠点を公共交通で結ぶ街づくりに動いていることが分かりました。

私は、これはとても良い方向だと思います。



そのうえで、もう一歩進めて、


「車がなくても暮らせる浜松」

を目指してもよいのではないでしょうか。

若いうちは車を運転する。

しかし、年齢を重ねて車を手放しても、自分でバスに乗り、鉄道に乗り、買い物にも病院にも街中にも行ける。

そんな街なら、安心して長く住み続けることができます。

そして私は、これからの浜松に必要なのは、

「人口が減っても今までの街をそのまま残すこと」ではなく、「人口が減っても暮らしやすい形に街を組み替えること」

だと思っています。

バスの無料化や大幅な低料金化は、そのために考えてみる価値のある、一つの方法ではないでしょうか。



協同組合かけはし/KAKEHASHI  HUMAN  MONGOL  LLC  後藤友亮/GOTO YUSUKE 

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