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100歳、今も毎朝5時半に公園を掃除する――中国で捕虜となり、カラガンダ抑留を経験した男性の記憶

9 時間前
読了時間: 4分


私は毎朝5時半から6時ごろにかけて、犬の散歩をしています。


最近の私の周りには、なぜか高齢の方が集まってきます。


そして皆さん、本当に親切です。


時には少しおせっかいと思うくらい、こちらのことを気にかけてくれます。


でも、今の私は、そんなおせっかいが嫌いではありません。


その中に、100歳になるおじいさんがいます。


この方は今でも毎朝5時半ごろになると公園へ来て、ほかの方々と一緒にゴミを拾ったり、掃除をしたりしています。


101歳とは思えないほど元気です。


先日、私がモンゴルから日本へ帰り、久しぶりにいつもの時間に犬の散歩へ行ったときのことです。


そのおじいさんが私を見つけると、後ろから私の背中をポンポンとたたき、とても嬉しそうに声をかけてくれました。


どうやら私がしばらく公園に姿を見せなかったので、


「どうしたのだろう」


と心配してくれていたようです。


近所の方から、私がモンゴルへ行っていたことを聞いたようでした。


そして「モンゴル」という言葉を聞いたとき、どこか懐かしそうな表情をしていました。

なぜだろう。


そう思いながら話を聞いていると、私は初めて、この方が若いころに経験した話を知ることになりました。


日本が戦争に負けたあと、中国で捕虜となり、その後、旧ソ連へ送られたそうです。


行き先は、現在のカザフスタンにある炭鉱の街、カラガンダ。


そこでカラガンダ で抑留され約2年間生活し、炭鉱で働いたそうです。


私は、


「つらかったでしょう」


と聞きました。


しかし、返ってきた言葉は、私が想像していたものとは少し違いました。


外はマイナス40℃ほどになることもあり、とても寒かったそうです。


ところが、


「炭鉱の中は暖かかったから、仕事そのものはそれほど苦ではなかった」


と言うのです。


私は少し驚きました。


私たちは戦争や抑留という言葉を聞くと、どうしても「すべてがつらかったのだろう」と考えてしまいます。


もちろん、実際には大変な生活だったと思います。


しかし、実際にその時代を生きた本人の記憶は、私たちが想像するものとは少し違うこともあるようです。


さらに印象に残ったのが、当時のロシア人についての話でした。


戦争に負け、捕虜となり、遠い土地へ送られた。


それだけを聞けば、ロシア人に対して悪い印象を持っていても不思議ではありません。


ところが、この方はそうではありませんでした。


「ロシア人の方が扱いとしては良かった」


と話していました。


誰と比べてそう感じたのかは、もう少し詳しく聞いてみたいと思っています。


そして食事についても聞きました。


本人の話では、炊いたご飯を茶碗に一杯。


そこへ白湯をかけて食べていたそうです。


おかずは一切なかった。


しかも、自分だけではなく、みんな同じだったそうです。

私は、


「それはかなりつらかったでしょう」


と思いました。


しかし本人は、


「それほど苦にはならなかった」


と話していました。


この言葉も、とても印象に残りました。


外はマイナス40℃。


炭鉱で働き、食事はご飯と白湯。


今の私たちの生活から考えれば、かなり厳しい環境です。


それでも、この方が昔の話をするとき、恨みや怒りを強く口にすることはありませんでした。


「炭鉱の中は暖かかった」


「ロシア人の方が扱いは良かった」


「食事も、それほど苦にはならなかった」


そんな言葉が出てきます。


私はその話を聞きながら、


「この人は、この101年間をどんな気持ちで生きてきたのだろう」


と思いました。


80年ほど前には、遠いカラガンダで炭鉱に入り、極寒の中で生活していた。


そして101歳になった今は、毎朝5時半に公園へ来て、地域のために掃除をしている。


そして、しばらく姿を見せなかった私のことまで心配してくれていた。


それを考えると、この方が歩いてきた人生そのものに、私はとても興味を持ちました。


次に会ったときには、もう少し詳しく聞いてみようと思っています。


中国のどこで捕虜になったのか。


カラガンダまでどうやって移動したのか。


炭鉱ではどんな仕事をしていたのか。


食事は一日何回だったのか。


なぜロシア人の方が良かったと感じたのか。


そして、なぜ100歳になった今でも、毎朝公園を掃除しているのか。


聞いてみたいことは、まだたくさんあります。


これは歴史の本で読んだ話ではありません。


毎朝、私が犬の散歩で会っている100歳のおじいさんが、自分の口で話してくれた記憶です。


そして、その100歳のおじいさんは今日もまた、朝早くから公園をきれいにしてくれています。



協同組合かけはし/KAKEHASHI  HUMAN  MONGOL  LLC  後藤友亮/GOTO YUSUKE 

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