⑥「AIが仕事を奪った、その先──最後に世界を支配するのは『AI企業』なのか?」最後に問われる『富の分配』
更新日:9月4日

AI時代の本当の勝負は「仕事」ではなく「分配」になるのか
AIによって仕事が減り、さらにロボット化が進み、製造・物流・建設・農業、そして食料生産まで自動化されるようになったら、その先にあるのは「どんな仕事が残るか」という問題だけではないと思います。
もっと大きな問題は、
AIが生み出した莫大な富を、誰が所有し、誰にどう分配するのか。
ということです。
AIが進めば「働く→給料→消費」の仕組みが弱くなる
現在の社会は、
働く↓給料をもらう↓商品やサービスを買う
という循環で成り立っています。
しかしAIとロボットが人間の仕事を大量に代替するようになると、企業は少ない人数でも大量の商品やサービスを生産できるようになります。
さらに将来、
農業工場物流販売建設エネルギー
まで自動化されれば、人間が生産に参加する割合そのものが大きく下がる可能性があります。
そうなると問題になるのは、
商品は作れるのに、それを買うための所得を持つ人が減る
ということです。
AI企業にとっても、国民に所得がなくなってしまえば商品やサービスを売る相手がいなくなります。
つまりAIによる生産性向上が極端に進むほど、今度は富を社会に戻す仕組みが必要になります。
今のビッグテックを見ると、その入口にはすでに入っている
現在のAI競争を見ると、私は少し気になることがあります。
AIを動かすためには、
半導体クラウドデータセンター電力通信網巨大なAIモデル大量のデータ
が必要です。
これらをすべて持てる企業は多くありません。
その結果、AIの中心部分が少数の巨大企業へ集まりやすい構造になっています。
今はまだ「巨大IT企業」ですが、今後AIとロボットが社会のあらゆる部分へ入ってくれば、
単なる企業ではなく、社会を動かすインフラ企業
になっていく可能性があります。
AI企業が国家より強くなる可能性
もちろん、国家には今後も強い力があります。
法律を作る。税金を取る。通貨を管理する。警察や軍を持つ。企業を規制する。
このため、単純に「企業が国家を超える」とまでは言い切れません。
しかし問題は、
その企業が止まったら社会そのものが止まる
という状態になることです。
例えば一部の巨大企業が将来、
AI↓クラウド↓ロボット↓工場↓農業↓物流↓決済
まで握るようになったらどうでしょう。
国家側も、その企業を完全には無視できなくなります。
形式上の権力は政府が持っていても、実際の社会を動かす力の一部を巨大AI企業が持つという状況は十分考えられます。
20世紀は石油、21世紀はAI
過去を見ると、国の力を左右するものは時代によって変わってきました。
20世紀には、
土地工場石油鉱物資源
を持つことが大きな力でした。
現在は、
データ半導体クラウドプラットフォーム
の重要性が高まっています。
そして2030年代以降は、
AI+計算資源+ロボット=生産能力そのもの
を誰が持っているかが非常に重要になる可能性があります。
つまり、AIそのものが新しい「資源」のような存在になるのかもしれません。
最終的な問題は「AI企業からどう恩恵を受けるか」
もしAI企業が社会の大部分の生産を担うようになれば、一般の人にとって重要なのは、
「AI企業に就職できるか」
ではなくなります。
むしろ、
AI企業が生み出した利益の恩恵を、自分たちの社会がどう受け取れるのか。
こちらのほうが重要になります。
例えば、
AI企業への課税国家によるAIインフラへの出資国民ファンド社会配当ベーシックインカム負の所得税公共AIサービス生活必需品の低価格化
など、さまざまな方法が考えられるでしょう。
私は「現金を配ればいい」だけではないと思う
ここは特に重要だと思っています。
AIによって生産コストが大幅に下がるのであれば、
月30万円を国民全員に配る社会
だけが答えではありません。
むしろ、
食料電気暖房通信交通住宅
など、生きるために必要なものそのものを安くする。
その結果、
少ない所得でも安心して生活できる社会を作る。
こちらのほうが現実的な可能性もあります。
AIによって豊かになったのに、生活費が高いままでは意味がありません。
AI時代の勝ち組国家とは何か
私は最終的に、AI時代の国家の強さは、
世界的なAI企業を持っているか
だけでは決まらないと思います。
もっと重要なのは、
AIが生み出した富を、どれだけ国民全体へ戻せる仕組みを持っているか。
です。
AI企業が莫大な利益を生んでも、その利益がごく一部の株主だけに集中すれば、国民の生活は豊かになりません。
逆に、AI企業から得られる税収や配当、生産性向上の恩恵を社会全体へ戻すことができれば、仕事が減っても生活水準を上げられる可能性があります。
AI時代の最大の格差
これまでは、
高学歴か低学歴か。高収入か低収入か。資産家か労働者か。
という格差が大きな問題でした。
しかしAI社会が本格化すると、さらに大きな格差が生まれる可能性があります。
それは、
AIという生産手段を所有し、その利益を受け取れる側と、そこから切り離される側の格差
です。
AI時代の本当の問題は、AIに仕事を奪われることだけではないのかもしれません。
AIによって人類全体の生産力が何倍にも増えたとき、
その豊かさを誰が持つのか。誰に分配するのか。国家がどこまで国民へ取り戻せるのか。
こちらのほうが、はるかに大きな問題になる可能性があります。
私は最終的に、AI時代の国家間競争は、
技術競争の次に「分配制度の競争」へ移っていく
のではないかと思っています。
そして今のビッグテックの成長と集中を見る限り、その流れは遠い未来の話ではなく、すでに少しずつ始まっているように感じます。
「この記事を読んだ人におすすめ」→ 関連記事
件





コメント