浜松市の人口減少――浜松(地方)から活気が消えた本当の理由、「2人に1人が50歳以上」


※2026年9月16日現在
浜松市の人口減少で街の活気はどう変わるのか
最近、地方を歩いていると、「以前より人が少なくなった」「街に活気がなくなった」と感じることがあります。
浜松市の人口減少は、すでに街の商店や住宅需要、地域の活気にも影響を与え始めています。
商店街の空き店舗が増え、郊外には更に空き家が目立つようになりました。人手不足で閉店する店や、後継者が見つからない会社も増えています。
これまでは、景気が悪いからだと思っていました。
しかし、浜松市の人口構成を詳しく調べてみると、それだけではないことが分かりました。
浜松市では、すでに人口の半数以上が50歳以上になっているのです。
浜松市は「2人に1人が50歳以上」
国立社会保障・人口問題研究所の2025年推計を、5歳ごとの人口から集計すると、浜松市の人口構成は次のようになります。
年齢 | 人口に占める割合 |
50歳以上 | 約50.8% |
15~49歳 | 約37.5% |
0~14歳 | 約11.8% |
総人口 | 約77.2万人 |
50歳以上の人が、浜松市の人口の半数を超えています。
もちろん、50歳以上だから働いていないという意味ではありません。50代や60代でも、現役で働き、地域や会社を支えている人は大勢います。
私自身も50歳を過ぎています。
ここで注目したいのは、働いているかどうかではなく、年齢とともに「お金の使い方」が変わることです。
若い世代は生活をつくるためにお金を使う
20代から40代は、結婚、出産、子育てなど、生活の土台をつくる時期です。
住宅を購入し、車や家具、家電をそろえ、子どもの教育にもお金を使います。家族が増えれば、外食やレジャー、衣類などの支出も増えます。
この世代が多ければ、住宅会社、自動車販売店、飲食店、小売店、学習塾、美容院など、地域のさまざまな商売にお金が回ります。
街に活気が生まれるのは、単純に人口が多いからだけではありません。
新しく家庭をつくり、生活を広げていく世代が多いことも、大きく関係しているのです。
私も50歳を過ぎて住宅への考え方が変わった
私自身、50歳を過ぎてから住宅に対する考え方が変わりました。
資産価値が上がる不動産であれば、資産として所有する意味があります。
しかし、値上がりが期待できず、固定資産税や維持費、修繕費だけがかかる不動産なら、「住むことができれば十分」と考えるようになりました。
若いころは、大きな家や広い土地、立派な車を持つことに魅力を感じることがあります。
しかし、年齢を重ねると、便利さや管理のしやすさを重視するようになります。将来の生活を考え、無理な住宅ローンや大きな買い物を避ける人も増えていくでしょう。
これは消費意欲がなくなったというより、必要なものがすでにそろい、お金の使い道が変化したということだと思います。
50歳以上になると、住宅の新規購入よりも、修繕やリフォーム、医療、介護、旅行、趣味などに支出が移りやすくなります。
地方に活気がないのは、誰かの努力不足ではない
地方に活気がなくなった理由を、「若者が努力しないから」「行政が何もしないから」「商店が時代遅れだから」と、誰か一人の責任にすることは簡単です。
しかし、人口構成を見ると、もっと大きな変化が起きていることが分かります。
住宅を買い、子どもを育て、車や家具を購入する世代そのものが減っているのです。
お店が努力しても、地域の消費者が毎年減っていけば、売上を維持するのは簡単ではありません。
行政が移住支援や子育て支援を進めても、全国で若い世代が減っている以上、すべての地域が同時に人口を増やすことはできません。
地方の活気が失われているのは、誰かの努力が足りないからではなく、日本全体の人口構成が変化している影響が大きいのです。
2050年には人口約65.7万人、50歳以上は約55.5%
同じ推計では、2050年の浜松市の総人口は約65.7万人まで減少します。
人口構成は次のように変わる見込みです。
年齢 | 2050年の推計割合 |
50歳以上 | 約55.5% |
15~49歳 | 約34.0% |
0~14歳 | 約10.6% |
総人口 | 約65.7万人 |
2025年から2050年までに、総人口は約11.5万人減少します。
さらに、人口が減るだけではなく、50歳以上の割合が一段と高くなります。
この変化は、住宅需要、自動車販売、地域の商店、学校、公共交通、医療や介護など、街のあらゆる部分に影響します。
外国人が増えても、すべての地方が救われるわけではない
今後、日本で暮らす外国人が増える可能性は高いと思います。
私自身、技能実習生や特定技能外国人に関わる仕事をしてきました。日本で長く生活し、結婚や永住を選ぶ外国人が増えていくことも考えられます。
外国人は人手不足を支え、地域の消費者にもなります。地方経済にとって大切な存在になることは間違いありません。
一方で、外国人が増えれば、すべての地方の不動産や商店が救われると考えるのは無理があります。
外国人も日本人と同じように、仕事があり、交通や買い物に便利で、同じ国の人とのつながりを持ちやすい場所へ集まります。
人口が減る山間部や、車がなければ生活できない地域へ、均等に住むわけではありません。
外国人の増加は一部の地域を支える可能性がありますが、日本全体に広がる人口減少を完全に埋めるものではないでしょう。
今後も価値が残りやすい場所
人口減少が進んでも、すべての地方不動産の価値がなくなるわけではありません。
今後も需要が残りやすいのは、
駅やバス停に近い
病院やスーパーへ行きやすい
車を使わなくても生活できる
小さく管理しやすい
修繕費や維持費を抑えられる
災害の危険が比較的少ない
その場所にしかない自然や文化、仕事がある
といった条件を持つ場所です。
反対に厳しくなりやすいのは、生活に車が欠かせず、駅や病院から遠く、維持や修繕に費用がかかる大きな住宅です。
同じ浜松市内でも、場所や住宅の条件によって、不動産の将来は大きく分かれていくと思います。
地方には、お金だけでは測れない価値もある
私は浜松市天竜区の阿多古に古民家を持っています。
阿多古は市街地から見れば不便な場所です。不動産投資として考えれば、将来の値上がりを簡単に期待できる場所ではありません。
しかし、川や山、静けさ、広い土地など、都市では得られない価値があります。
大切なのは、資産価値と暮らしの価値を混同しないことです。
値上がりが期待できない不動産でも、本人がそこで過ごす時間に価値を感じるなら、所有する意味はあります。
ただし、「自然が豊かだから、いつか必ず高く売れる」と考えるのは危険です。
地方の不動産を購入するときは、将来の売却価格を期待するのか、自分が使うための費用として割り切るのかを、最初にはっきりさせる必要があります。
人口減少は、未来ではなく現在の問題
浜松市で50歳以上が半数を超えている現実を知り、地方から活気が失われている理由が少し分かった気がしました。
景気だけの問題ではありません。
若い世代が減り、住宅や車、家具、教育などへ大きくお金を使う世代が少なくなっているのです。
だからといって、50歳以上の人や地方に価値がないわけではありません。
これから必要なのは、かつての人口増加を前提とした街を無理に維持することではなく、人口が減っても暮らしやすい形へ少しずつ変えていくことだと思います。
大きさよりも、便利さ。
所有することよりも、無理なく使えること。
新しく広げることよりも、今あるものを大切に維持すること。
地方の未来は、昔の活気をそのまま取り戻すことではなく、人口減少時代に合った新しい豊かさをつくれるかどうかにかかっているのではないでしょうか。
【参考】国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」の浜松市における5歳階級別推計人口をもとに独自集計。割合は四捨五入しているため、合計が一致しない場合があります。



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