外国人を増やしても日本の不動産は救えない――空き家900万戸、超人口減少時代の結論
日本の不動産と人口減少――これから何が起きるのか――人口動態から見えた日本の住宅市場の現実

※この記事は2026年9月16日現在の公表資料と、外国人雇用に長年関わってきた私自身の実体験をもとにまとめています。将来の外国人人口については、政府の公式予測ではなく、現場感覚を踏まえた独自試算です。
日本の不動産を考えるうえで、人口減少は避けて通れない問題です。外国人が増加しても、全国の住宅需要が一律に回復するとは限りません。
モンゴルの人口ピラミッドを見て、日本の現実が分かった
モンゴルの人口ピラミッドを見ると、若い世代の多さが一目で分かります。
若い世代は、これから結婚し、子どもを持ち、住宅、車、家具、家電、教育などにお金を使います。人口が増える国では、住宅需要だけでなく、生活に関わる幅広い消費が生まれます。

一方、日本は正反対です。
総務省の人口推計によると、2026年3月時点の総人口は約1億2,281万人で、前年同月から約61万人減少しました。15歳未満は約1,332万人、65歳以上は約3,620万人です。65歳以上が人口の約29.5%を占めています。
また、2025年には出生数約69万人に対して死亡数が約161万人となり、自然減は約92万人に達しました。総務省「人口推計2026年8月報」
日本の人口ピラミッドは、住宅を新しく買う世代より、住宅を維持・修繕し、最終的には手放す世代が多い形になっています。
65歳を超えると、住宅へのお金の使い方が変わる
もちろん、65歳以上になっても住宅への支出はあります。
屋根や外壁、水回りの修繕、バリアフリー化、断熱工事などです。しかし、若い世代のように、これから住宅ローンを組み、新築住宅を購入し、家具や家電を一式そろえる人は少なくなります。
私自身も、50歳を過ぎてから、住宅に対する考え方が変わりました。
資産価値が上がる不動産であれば、資産として所有する意味があります。
しかし、値上がりが期待できず、維持費や修繕費だけがかかる不動産なら、「安心して住むことができれば十分」と考えるようになりました。
なぜなら、価値が下がり続ける住宅は、人生で最大の買い物であると同時に、人生の自由を最も奪う買い物にもなり得るからです。
長期の住宅ローンを抱えれば、仕事を辞めることも、収入を減らすことも、別の地域や海外へ移ることも難しくなります。
完済した後も、固定資産税、保険料、修繕費、解体費などは残ります。さらに、今後の日本では売りたいときに買い手が見つからなければ、所有していること自体が負担になります。
若い頃は「家を持つことが安心」だと考えます。しかし年齢を重ねると、本当の安心とは、大きな家を所有することではなく、住む場所や働き方を自由に選べることではないかと思うようになりました。
今後、人口減少と不動産の二極化が進めば、このような考え方をする人は増えていくのではないでしょうか。
すでに日本の空き家は900万戸
2023年の住宅・土地統計調査では、日本の空き家は過去最多の900万戸、空き家率は13.8%となりました。
静岡県の空き家率は16.6%で、全国平均を上回っています。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
それでも新築住宅は建てられています。
人口は減っているのに住宅数は増え続けている。この需給のずれを考えれば、すべての不動産が将来も価値を維持できるとは考えにくいでしょう。
地価上昇というニュースだけでは実態が見えない
2026年の公示地価では、全国平均の住宅地、商業地ともに上昇しています。しかし、上昇しているのは主に次のような地域です。
東京・大阪などの都市中心部
駅、病院、商業施設に近い生活利便性の高い地域
工場や物流施設など、安定した雇用がある地域
半導体工場など大型投資が行われた地域
インバウンド需要の強い観光地
移住者や子育て世帯が集まる一部の地域
国土交通省も、地価上昇には地域や用途による差があると説明しています。国土交通省「令和8年地価公示」
全国平均が上昇しているからといって、人口が減少する山間部や、仕事・病院・買い物場所から遠い地域まで上昇しているわけではありません。
日本の不動産は、全国一律に上がったり下がったりする段階ではなく、必要とされる場所と、必要とされなくなる場所に分かれ始めています。

円安は住宅所有者にも厳しい
日本は木材、金属、燃料、住宅設備など、多くの資材を海外に依存しています。
円安が進めば、新築費用だけでなく、屋根、外壁、水回り、給湯器などの修繕費用も上昇します。人手不足による工賃上昇も重なります。
建築費の上昇は、都市部の新築マンション価格を押し上げます。しかし、地方の中古住宅まで同じように値上がりするとは限りません。
売却価格は上がらないのに、維持費だけが上がる地域も増えるでしょう。
外国人が増えれば、不動産需要は支えられるのか

2025年末の在留外国人数は約412万5,000人で、1年間に約35万6,000人増加しました。出入国在留管理庁「令和7年末の在留外国人数」
仮にこの増加が毎年続けば、単純計算では2050年ごろに在留外国人が約1,300万人に達する可能性があります。
さらに私は、技能実習生や特定技能外国人の仕事に実際に関わってきました。その経験から、技能実習や特定技能1号で来日した人のうち、将来的に半数程度が帰国せず、特定技能2号、配偶者資格、永住などを通して日本に残る可能性があると考えています。
ただし、これは政府の公式予測ではありません。あくまでも、外国人雇用の現場を見てきた私自身の独自試算です。
外国人は地方全体ではなく、仕事のある場所に集まる
外国人が増えれば、賃貸住宅の需要は増えます。
しかし、その需要は全国に均等には広がりません。
外国人が集まりやすいのは、工場、建設現場、物流施設、介護施設、農業法人、観光業など、実際に仕事のある場所です。また、同じ国の人が暮らし、食料品店や交通手段がそろっている地域に集中する傾向もあります。
そのため需要が期待できるのは、工場周辺のアパート、雇用先に近い低価格住宅、交通手段が確保された地域などです。
山奥の空き家、仕事のない集落、車がなければ生活できない地域の土地まで、外国人増加によって価値が上がるとは考えにくいでしょう。
外国人を増やせば地方不動産全体が救われる、という考え方は現実的ではありません。
受け入れによる行政・地域負担も考える必要がある
外国人労働者は、人手不足の介護、建設、製造、農業などを支えています。家賃や生活費を支払い、税金や社会保険料を負担する人もいます。この点は正しく評価する必要があります。
一方、短期間に受け入れ人数を増やせば、日本語教育、学校、医療通訳、住宅、生活ルール、行政手続、治安維持などの負担も増えます。
外国人事件について、警察庁は以前から、言葉の違い、身元確認、関係者の所在確認、海外に及ぶ証拠収集などにより、捜査が難しくなる場合があると説明しています。
逮捕後、起訴を判断するまでの身柄拘束には原則として限られた期間しかありません。その間に、通訳を介した事情聴取、調書の翻訳、身元確認、海外の証拠収集まで行う必要があります。
私が外国人と関わる仕事をしてきた経験から見ても、現在の期間内ですべての証拠を揃えることは難しい事件があると感じます。
国会では、外国人事件の起訴率が2003年の69.8%から2023年には41.6%まで低下している一方、詳しい不起訴理由は制度として明らかにされていないことも指摘されています。衆議院法務委員会
だからといって、「外国人だから犯罪をする」と一括りにするべきではありません。
しかし、受け入れ人数だけを増やし、日本語教育、雇用管理、悪質な仲介業者の排除、警察や自治体の体制整備が追いつかなければ、犯罪や地域トラブルが増える可能性は無視できません。
起訴件数や有罪件数だけを見て、治安への影響はないと判断することにも無理があります。
これからも価値が残る不動産
今後の日本では、「不動産だから価値がある」のではなく、「その場所を必要とする人がいるから価値がある」という、当たり前の原則がより強くなると思います。
価値が残りやすいのは、次のような不動産です。
駅、病院、スーパーなどに近い
若い世代や働く世代が流入している
工場、物流、医療、観光などの雇用がある
災害リスクが比較的低い
維持管理費が高すぎない
高齢者でも生活しやすい
売却だけでなく、賃貸や事業にも利用できる
反対に、ズバリ厳しくなりやすいのは、生活に車が欠かせず、駅や病院、スーパーから遠い地域にある、修繕費のかかる大きな住宅です。
今後は「家が建っているから価値がある」のではなく、「その場所に住みたい人がいるか」で不動産の価値が決まります。買い手が減る一方で維持費だけが増える住宅は、資産ではなく負担になる可能性があります。
私の住む天竜区阿多古の不動産をどう考えるか
阿多古は浜松市街地から山間部へ入る入り口にありますが、生活環境としては奥地に近い部分があります。
一般的な住宅地として、値上がりを期待する場所ではないと思います。
しかし、阿多古川、山、広い土地、古民家、静かな環境など、都市部にはない利用価値があります。固定資産税が低く、自分で修繕し、別荘、事業、自然の中での生活に使うのであれば、売却価格とは別の価値が生まれます。
つまり、阿多古の不動産は「値上がりを期待する金融資産」ではなく、「自分で価値を作って利用する実物資産」として考える方が合っています。
結論――外国人増加は、日本の人口減少を完全には埋められない
外国人が増えれば、働く世代と一部地域の住宅需要は補われます。
しかし、日本人の自然減は年間約90万人に達しています。外国人が年間30万~40万人増えても、日本全体の人口減少を完全には止められません。
さらに、外国人の住宅需要は雇用のある都市や工業地域に集中します。人口が減り続ける地方や山間部の不動産まで救うことはできません。
これからの日本の不動産は、
「日本の人口がどうなるか」
だけではなく、
「その地域に働く世代が残るのか」「若い世代や外国人が実際に住む理由があるのか」「高齢者になっても生活できる場所なのか」
によって、大きく明暗が分かれます。
浜松市(地方政令指定都市)の人口構成 2025年と2050年

全国平均の地価や外国人人口の増加だけを見て、不動産はまだ大丈夫だと考えるのは危険です。
人口動態を基本に、その地域の雇用、生活利便性、維持費、災害リスクまで見なければ、これからの不動産価値は判断できないと思います。





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