浜松市の人口減少と街づくり――郊外の大きな家から、街中のマンションへ――感じる「地価高騰と人口減少に備えた集中の動き」

浜松市の人口減少と街づくりから見えてくること
昨日、昔の得意先で役員を務め、今は引退されている方と長く話をしました。
以前は駅から離れた場所の大きな家に住んでいましたが、現在は浜松の街中にマンションを購入して暮らしています。
驚いたのは、そのマンションが購入してから10年ほどで、2倍以上の価格になったという話でした。
一方で最近は、同じ浜松市内でも、駅から離れた住宅は安くしてもなかなか売れないという話を耳にします。
この話を聞いて、以前から私が感じていたことが、もう一度頭に浮かびました。
人口が減っていく浜松では、これから人が住む場所が少しずつ集約されていくのではないか。
浜松市の人口減少と街づくりを考えると、これからは「どんな家に住むか」だけでなく、「どこに住むか」が今まで以上に重要になるのではないかと思います。
調べてみると、浜松市はかなり先を見て動いていた
ここまで私は、人口減少によって浜松でも人が住む場所が徐々に集約されていくのではないか、と自分なりに考えてきました。
ところが今回、改めて浜松市の取り組みを調べてみると、少し見方が変わりました。
浜松市も、人口減少や高齢化をただ待っているわけではありません。
むしろ、かなり前からその問題を想定し、高齢になっても暮らしやすい街、人口が減っても維持できる街へ変えていこうとしていることが分かりました。
浜松市は2019年に「立地適正化計画」を策定し、2026年3月にも見直しを行っています。
その目的として市自身が掲げているのが、人口減少・少子化・超高齢社会に対応した「コンパクトでメリハリの効いたまちづくり」です。
さらに市の基本的な考え方を見ると、かなり明確です。
市民が住むエリアを公共交通の結節点や道路・鉄道沿線へ誘導し、人口密度をある程度保つことで、店舗や病院などが成り立ちやすい環境をつくる。
そして、それぞれの拠点を交通ネットワークで結んでいく。
私が今回考えていた方向と、かなり重なっていました。
高齢者対策も、思っていた以上に進めている
高齢者への取り組みについても調べました。
浜松市では、2020年に28.2%だった65歳以上の高齢化率が、2050年には37.8%になると見込んでいます。
そのため「地域でともに支え合い 安心していきいきと暮らすことのできるまち 浜松」を基本理念として、生活支援、住まい、予防、医療、介護を一体的に提供する地域包括ケアを進めています。
もちろん、これですべて十分だという意味ではありません。
特に私が前に書いたように、高齢になって車の運転が危険になった後の移動手段については、まだ考える余地があると思います。
実際、浜松市は以前行っていた高齢者へのバス・タクシー券などの一律交付を2016年度末で廃止し、その財源を地域包括支援センターの強化、認知症予防、介護人材確保などへ振り替えています。
私はここについては、これから高齢者がさらに増えることを考えると、公共交通への支援をもう一度強化してもよいのではないかと思っています。
バスの無料化や低料金化も、その一つの案です。
常葉大学、そしてスズキも駅南へ
そして興味深いのが、浜松駅南側の動きです。
常葉大学は、現在浜名区都田にある浜松キャンパスを、2028年4月に浜松駅南口から徒歩7分の寺島町へ移転する予定です。
大学自身も、少子高齢化を見据えた将来構想としてこの移転を進めており、交通利便性を高めるとともに、地域産業や企業との連携、地域経済の活性化につなげる考えを示しています。
さらにスズキも、中央区海老塚二丁目の自社所有地に「駅南事務所棟」を建設する計画を公表しています。
現在の高塚町の本社敷地では、約4万1,000平方メートル、地上7階の新しい事務所棟を建設し、2029年に稼働する予定です。そのうえで、浜松駅南の海老塚にも別の事務所棟を計画しているという形です。
それでも、常葉大学という大きな教育機関に加え、浜松を代表する企業であるスズキが駅南に新しい業務拠点を計画していることは、注目してよいと思います。
浜松駅だけに集めるのではない
そして私は、浜松市の計画で一番評価したいのはここです。
単純に「全部浜松駅周辺へ集めればいい」という計画ではありません。
浜松市が目指しているのは、「拠点ネットワーク型都市構造」です。
つまり、浜松駅を大きな中心としながら、鉄道駅や各地域の拠点周辺にも人や生活機能を集め、それらを公共交通で結んでいく考え方です。
これは、私が感じている
「最終的には鉄道が重要になる」
という考えとも非常に近いものがあります。

天竜川駅や、隣の磐田市にある豊田町駅のように、浜松駅から鉄道なら浜松駅まで短時間で、比較的時間を読みやすく移動できるメリットがあります。
遠州鉄道沿線についても同じです。
大切なのは浜松駅から何キロ離れているかではなく、
「歩いて駅へ行けるか」「車なしで生活できるか」「時間を読んで中心部へ行けるか」
なのではないでしょうか。
私も、浜松駅から何キロ離れているかより、車を使わずにどれだけ無理なく行き来できるかが、今後は重要になると考えます。
ただし、「駅があること」と「生活に使いやすい鉄道があること」は、分けて考えたいところです。
浜松駅から離れていても、鉄道の駅に近ければ話は変わる
これからの日本の住まいを考えるうえで、大きな差になると感じているのが『鉄道』です。
中心部から離れた場所だから、すべてが衰退するわけではありません。
実際、私の目には、天竜川駅や豊田町駅の周辺は、むしろ住宅地として発展を続けているように見えます。
時刻表を確認しても、天竜川駅から浜松駅までは約4〜5分、豊田町駅からも約8分で行ける列車があります。
乗車時間だけで見れば、浜松駅はすぐ近くです。もちろん、自宅から駅までの徒歩時間や、電車の待ち時間は別に考える必要があります。Yahoo!乗換案内
天竜川駅の周辺では、駅から徒歩2分という立地を打ち出した新築マンションも販売されています。これは地域全体の人口や地価が上がり続けている証明ではありませんが、駅への近さが住宅の魅力として前面に出されている例です。【公式】クレアホームズ天竜川駅前
中心部からの距離が離れていても、鉄道で短時間につながっていれば、暮らしのうえでは「遠い場所」とは限らない。
ここが重要だと思います。
遠州鉄道の駅周辺にも、同じことが言える
この視点で見ると、遠州鉄道の駅周辺も、浜松駅から離れているという理由だけで、住まいの候補から外す必要はないと思います。
遠州鉄道の現在掲載されている公式時刻表では、日中はおおむね12分間隔で運行しています。
新浜松駅までの乗車時間は、上島駅から約10分、浜北駅から約22分、西鹿島駅から約32分です。遠鉄グループ
新浜松駅とJR浜松駅の間も、公式案内では徒歩5分です。
中心部へ出るだけでなく、そこからJRへ乗り継ぐこともできます。遠鉄グループ
駅まで無理なく歩ける場所なら、浜松駅のすぐ近くに住まなくても、車に頼らない移動手段を持てます。
普段の買い物は近所で済ませ、街中に用事があるときには電車を使う。そうした暮らし方も、十分に選択肢になるのではないでしょうか。
私が注目するのは、「中心部に住むこと」だけではなく、「中心部とのつながりを失わない場所に住むこと」です。
「車で行ける」と「車なしで行ける」は違う
車を運転している間は、駅から離れていても、それほど不便を感じないかもしれません。
しかし、自分が運転しなくなったとき、同じ家でも暮らしやすさは変わります。
例えば、同じ「街中まで20分」でも、自分で運転しなければ行けない20分と、徒歩と電車で行ける20分では、意味が違います。
家族に送迎を頼まず、自分の都合で出かけて帰ってこられる。毎回、駐車場を探す必要もない。
そして、私自身が大切だと感じるのが、予定を立てて、その時間に合わせて移動できることです。
鉄道にも遅延や運休はありますから、絶対に時間どおりというわけではありません。
それでも、日常の移動を時刻表に沿って組み立てられることは、住まいを選ぶうえで大きな安心材料になると思います。
駅に近い家は、単に移動に便利な家ではなく、運転をやめても自分で行動できる可能性を残しておける家でもある。
年齢を重ねたとき、この違いは今以上に大きく感じられるのではないでしょうか。
ただし、「駅があるだけ」では十分ではない
一方で、鉄道の駅に近ければ、どこでもよいとは思いません。
電車の本数が少なく、行きたい時間に使えなければ、生活の自由度は限られます。
今の運行が将来も同じように続くと、無条件に考えることもできません。
また、地図では駅に近くても、途中に急な坂や歩きにくい道路があれば、年齢を重ねたときの負担になります。
私なら、駅までの距離だけでなく、実際に安全に歩けるか、使いたい時間に電車があるか、近くにスーパーや診療所があるかを、まとめて見ます。災害リスクも別に確認したいところです。
鉄道へのアクセスと、身近な生活施設。その両方がそろって、初めて車に頼りすぎない暮らしが成り立つのだと思います。
人口減少で見直されるのは、「車なしでも暮らせる場所」
私は、人口が減っていくからこそ、人が集まる場所と、そこへつながる交通の意味が大きくなると考えています。
すべての人が浜松駅の周辺に住む必要はありません。鉄道で結ばれたそれぞれの駅周辺に、暮らしの拠点があってもよいはずです。
もちろん、暮らしやすさが評価されることと、不動産価格が必ず上がることは別です。
それでも、これから住まいを見るときには、「中央区だから」「浜名区だから」、あるいは「浜松駅から遠いから」という区分だけでは、判断しきれなくなると思います。
これから重視されるのは、「車があれば便利な場所」だけではなく、「車がなくても暮らしを続けられる場所」。
私には、その条件を支える大きな軸の一つが、鉄道になるように感じられます。
私は浜松の将来を少し見直した
今回いろいろ調べてみて、浜松市に対する私の見方は少し変わりました。
人口減少や高齢化という大きな問題は避けられません。
しかし浜松市は、それを何もせずに待っているわけではありません。
人が住む場所を公共交通の周辺へ少しずつ集める。
病院や店舗などが維持できる人口密度をつくる。
鉄道やバスでそれぞれの拠点を結ぶ。
高齢になっても地域で暮らせる医療・介護・福祉の仕組みを整える。
そして浜松駅周辺には、大学や企業など新しい人の流れを生み出す機能が集まり始めています。
こうして一つ一つを見ると、人口が増えていた時代の浜松をそのまま維持するのではなく、人口が減った後でも暮らしやすい浜松へ、少しずつ街を作り替えているように見えてきます。
私は、この方向は間違っていないと思います。
あとは鉄道の駅から住宅地までをどう結ぶのか。
バスをもっと使いやすくできないか。
高齢になって車の運転が危険になった人でも、自分の力で買い物や病院へ行ける街にできるか。
ここまでできれば、
「車がなければ生活できない浜松」から、「車がなくても暮らせる浜松」へ。
人口減少と高齢化が進む地方都市の中でも、浜松は住みやすさを維持できる街になれる可能性があるのではないか。
今回調べてみて、私はむしろそう感じるようになりました。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





コメント