「最後は小さな借家でいい」――そう思っていた私が、高齢者は家を借りられないと知った

高齢者は家を借りられない時代になった
高齢者の方から、賃貸住宅を借りるための保証人を頼まれることがあります。
なぜ保証人が必要なのか聞いてみると、「高齢であることを理由に、なかなか家を貸してもらえない」というのです。
「高齢者は家を借りられない」という話は、決して一部の人だけの問題ではありません。
日本では、65歳以上の人口が3,619万人、総人口に占める割合は29.4%となり、過去最高を記録しています。
すでに日本人の約3割が65歳以上です。
これほど高齢者が多くなっているにもかかわらず、高齢者が安心して借りられる住宅は十分に用意されていません。
65歳以上の約3人に1人が入居拒否を経験
しらべてみると確かに65歳以上で実際に賃貸住宅を探した経験のある人を対象にした民間調査では、約3人に1人が「年齢を理由に入居を断られた経験がある」と回答しています。
これは65歳以上の全員が断られるという意味ではありません。
実際に賃貸住宅を探した高齢者の中で、約3人に1人が断られた経験を持つということです。
それでも、年齢だけで選べる住宅が大幅に少なくなる現実はあります。
大家が高齢者に貸したくない理由
大家が高齢者への貸し出しをためらう大きな理由は、室内で亡くなる可能性が若い人より高いと考えるからだということです。
特に一人暮らしの場合には、
室内で亡くなっても発見が遅れる
特殊清掃や大規模な修繕が必要になる
次の入居者が決まりにくくなる
家賃が滞納される可能性がある
室内に残された荷物の処分問題が起きる
といったことを、大家側が心配します。
そのため、家賃を払えるだけでは足りず、保証人や緊急連絡先、さらに日常的に見守ってくれる人まで求められることがあります。
要するに、「亡くなった後まで責任を持って対応してくれる人がいない高齢者には貸しにくい」ということなのでしょう。
大家側にも事情がありますが、すでに高齢者が人口の約3割を占める社会で、このままでよいのかという疑問も残ります。
高齢者向けの住宅は費用が高い
知り合いの不動産業者にも、この問題について聞いてみました。
高齢者を受け入れるために用意された賃貸住宅もあるそうですが、見守りや安否確認、生活相談などのサービスが付くため、一般的な賃貸住宅と比べて費用が2倍、条件によってはそれ以上になることもあるといいます。
もちろん、すべての高齢者向け住宅が2倍になるわけではありません。地域や設備、サービス内容によって費用は異なります。
しかし、高齢になれば収入の中心は年金になります。
普通の賃貸住宅は借りにくく、高齢者向け住宅へ入れば費用が高くなる。これは今後さらに大きな社会問題になると思います。
私も最後は小さな借家で暮らすつもりだった
私自身も、モンゴルにも住居があるため、いずれは所有している日本の不動産を整理し、日本での最後の住まいはコンパクトな借家でよいと考えていました。。
大きな家や広い土地は、若いうちは楽しむことができます。しかし、年齢を重ねれば、建物や庭の管理が負担になります。
50歳を過ぎれば、住宅は必ずしも大きなものである必要はありません。
住むために必要な広さがあり、病院や買物に困らず、管理が簡単なら、それで十分だと思うようになりました。
ところが、高齢になってからでは、その小さな借家さえ借りられない可能性があります。
資産や家賃を支払う能力があっても、「高齢だから」「室内で亡くなる可能性があるから」という理由で断られるかもしれません。
この話を聞き、賃貸住宅だけを老後の選択肢にするのは少し危険だと感じました。
阿多古の古民家も、ある程度のところで売却する
浜松市天竜区阿多古に、古民家と約4,500坪の土地を所有しています。
川や小川、畑、山林があり、自然の中で暮らすには非常に魅力的な場所です。
元気なうちは、自分で手を入れながら、この場所での生活を楽しむつもりです。
しかし、阿多古を最後の住まいにするとは決めていません。
ある程度の年齢になった段階で、売却することも考えています。
ただし、約4,500坪もある特殊な土地ですから、希望する時期に買い手が見つかるとは限りません。
当初は、どうしても売れなければ、残された家族に相続放棄してもらうことも考えていました。
しかし、改めて考えると、この土地の大部分は山林です。
山林は普段ほとんど手がかからず、固定資産税も非常に安く抑えられています。
それどころか、敷地内にある電柱の土地使用料収入の方が、固定資産税より多くなっています。
そのため、建物を維持する必要がなくなれば、土地そのものは必ずしも大きな負担にならないかもしれません。
売却できるなら売却する
売れなくても山林として所有を続ける
古民家だけ売却する
なお、しらべてみると阿多古の土地だけを選んで相続放棄することはできません。
相続放棄をすれば、預金や有価証券、貴金属、ほかの不動産なども含め、原則としてすべての相続財産を放棄することになるようです。
また、妻や子どもが相続放棄すると、親や兄弟姉妹など、次の順位の相続人へ相続権が移る可能性もあります。
したがって、「売れなければ相続放棄してもらえばよい」というほど単純ではありません。
土地の維持費がほとんどかからず、電柱収入の方が多いのであれば、無理に相続放棄する必要がない可能性もあります。
基礎付きの小さな平屋なら安心なのか
賃貸住宅を借りられない可能性があるなら、小さな土地を買って、コンパクトな平屋を建てる方法も考えられます。
しかし、基礎付きの住宅内で所有者が亡くなると、その後の売却が難しくなることがあります。
法律上、病気や老衰などによる自然死は、原則として必ず告知しなければならない事故物件には当たりません。
それでも、亡くなってから発見されるまでに時間がかかり、特殊清掃や大規模な修繕が必要になった場合には、実際の市場では敬遠される可能性があります。
土地と建物が一体になっているため、建物だけを簡単に処分することもできません。
最終的には、残された家族が売却や解体を引き受けることになります。
コンテナハウスという方法
そこで最初に考えたのが、コンテナハウスです。
小さな土地にコンテナハウスを置けば、基礎付きの住宅より簡単に撤去できるように思えます。
しかし、建築確認や用途地域などの規制を受け、簡単には移動できない状態であれば、亡くなった後にも建物として残ります。
コンテナハウスだから、必ず簡単に撤去できるとは限りません。
トレーラーハウスなら住居部分を撤去できる
次に考えたのが、トレーラーハウスです。
トレーラーハウスであれば、私が亡くなった後に住居部分を移動または撤去し、土地だけの状態へ戻しやすくなります。
基礎付きの住宅より、残された人の負担を小さくできる可能性があります。
私は過去に大型トレーラーハウスを購入した経験があるため、購入や移動にかかる費用についてもある程度分かっています。
もちろん撤去や輸送には費用がかかりますが、状態の良いトレーラーハウスであれば、それほど大きな問題にはならないと思います。
中古品として売却できる可能性もありますし、「無料で差し上げる代わりに、撤去と輸送は引き取る人が負担する」という条件にすれば、トレーラーハウスの価値と撤去費用を相殺できる可能性があります。
古くなって全く価値がなくなる前に譲渡できる状態を保っておけば、残された家族が高額な撤去費用を負担する可能性も低くできます。
ただし、トレーラーハウスなら何でもよいわけではありません。
車輪や牽引部分が実際に使用できる
電気、水道、排水を容易に切り離せる
敷地から道路へ搬出できる
移動可能な車両としての状態が維持されている
といった条件を満たしておく必要があります。
名前だけがトレーラーハウスでも、土地に固定され、実際には移動できない状態なら、建築物として扱われる可能性があります。
最初から将来の搬出まで考えて設置しておけば、亡くなった後にはトレーラーハウスだけを譲渡・撤去し、土地を売却することもできます。
この「住居と土地を分けて処分できる」という点が、基礎付き住宅との大きな違いだと思います。
建物の種類より、発見を遅らせないことが重要
もう一つ重要なのは、亡くなった後の発見を遅らせないことです。
自然死そのものより、長期間発見されず、特殊清掃や大規模修繕が必要になることが、住宅の価値を大きく下げる原因になります。
そのため、最後の住まいには、
室内の人感センサー
電気や水道の使用状況による安否確認
冷蔵庫や玄関の開閉確認
一定時間動きがない場合の自動連絡
緊急通報装置
見守りサービス
撤去や清掃に必要な費用の確保
などを用意しておく必要があります。
亡くなった後に周囲へ大きな負担を残さない仕組みまで準備することが大切です。
私が考える最後の住まい
現時点で考えられる選択肢は、大きく二つあります。
一つは、健康で審査にも通りやすい60代前半までに、最後まで住めるコンパクトな賃貸住宅を確保する方法です。
もう一つは、病院や買物に困らない場所に小さな土地を確保し、そこへ移動・撤去可能なトレーラーハウスを置く方法です。
高齢になってから住まいを探すのではなく、元気なうちに最後の住まいと、その後の処分方法まで決めておく。
これが重要なのだと思います。
阿多古の古民家は、今を楽しむための場所です。
売却できれば売却し、売れなくても維持費がほとんどかからない山林として残せる可能性があります。
一方、最後に暮らす場所は、便利で小さく、管理しやすく、亡くなった後の片付けも簡単な場所にする。
高齢者が人口の約3割を占める日本で、「最後にどこで暮らすのか」は、本人だけの問題ではありません。
残された家族や周囲の人に、できるだけ負担を残さないことまで含めて、元気なうちに考えておく必要がある時代になったのだと思います。
2026年9月22日
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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