ロボットにエンジンは非効率――車がロボットになる時代、EV化は一気に進む
更新日:9月4日

AI・ロボット時代にはEVが急速に進む可能性がある
ここまでの世界市場を見る限り、トヨタがEV一本化を急がず、ガソリン車、ハイブリッド、PHV、EV、水素という複数の選択肢を残した判断は正しかったと思います。
しかし、これからも同じ速度でよいとは限りません。
AIとロボット技術の発達によって、自動車そのものが、人間の操作する「機械」から、自ら判断して動く「ロボット」へ変わろうとしているからです。
人間が運転する時代と、AIが運転する時代
自動車が人間の操作する機械である間は、ガソリンエンジンでも大きな問題はありません。
人間がアクセルやブレーキを操作し、エンジンや変速機を動かすことを前提として、現在の自動車は長い時間をかけて発達してきました。
しかし、自動車が自ら周囲を認識し、判断して移動するロボットになるほど、EVの方が合理的になります。
分かりやすく時代を二つに分けると、次のようになります。
人間が運転する時代=エンジン車も合理的AIが運転する時代=EVの方が合理的
エンジン車は、複雑な機械を動かしている
エンジン車には、主に次のような装置が必要です。
エンジン
変速機
燃料タンク
排気装置
冷却装置
潤滑装置
多数の機械部品
AIがエンジン車を動かす場合、こうした複雑な機械装置を細かく制御しなければなりません。
それに対してEVは、主に電池、モーター、インバーターを電子的に制御します。発進、停止、前進、後退、速度調整も、AIからの電気信号によって直接制御しやすい構造です。
つまり、次のように表現できます。
エンジン車は、AIが複雑な機械を操作する車。EVは、AIがモーターを直接動かす車。
自動運転はエンジン車でも実現できます。しかし、AI、センサー、ソフトウェア、電池、モーターを一体化することを考えれば、EVの方が将来の自動車に適した構造だと思います。
ロボットにエンジンは非効率
人型ロボット、無人配送車、工場ロボット、ドローン、家庭用ロボットの多くは、電池とモーターで動いています。
将来、自動車も自ら判断して移動するロボットになるのであれば、自動車だけが複雑なエンジンを搭載し続ける方が、むしろ不自然になっていく可能性があります。
分かりやすく言えば、
ロボットにエンジンを搭載するのは非効率です。
EVは単に、エンジンをモーターへ交換した車ではありません。AIやロボット技術と非常に相性のよい「走る電子機器」なのです。
AI・ロボット化がEVを加速させる理由
AI・ロボット時代にEVが有利になる理由として、次の点が考えられます。
電子的に制御しやすく、自動運転との相性がよい
車内外のセンサー情報をAIが継続的に処理できる
ソフトウェア更新によって機能を追加・改善できる
部品が比較的少なく、自動生産を進めやすい
自動運転タクシーや無人配送車へ展開しやすい
車、家庭、電力網を一つのシステムとして制御できる
人型ロボットと電池、モーター、AI技術を共有しやすい
特に大きな変化は、車の価値が機械性能からAIとソフトウェアへ移っていくことです。
これまでは、エンジン、変速機、走行性能、耐久性などが、自動車メーカーの重要な競争力でした。
しかし今後は、
「どの車がよく走るか」から、「どの車が最も賢く、安全に自動で動くか」へ
競争の中心が変わる可能性があります。
車は「移動するロボット」になる
将来の自動車は、単に自動運転をするだけではありません。
自分で充電場所や充電時間を判断する
故障の兆候を事前に見つける
乗員の健康状態を監視する
家庭用蓄電池として電力を供給する
配送や送迎を無人で行う
所有者が使わない時間に仕事をする
人型ロボットや家庭のAIと連携する
ここまで進めば、車は単なる乗り物ではありません。
人や物を運び、自ら判断して働く「自律走行型ロボット」になります。
トヨタにも次の転換点が来る
自動車がまだ人間の運転する乗り物である現在までは、トヨタのマルチパスウェイ戦略は非常に合理的でした。
しかし、自動車が自律して動くロボットになる時代には、最終的にEVが中心になる可能性が高いと思います。
そのため、トヨタが今後も勝ち続けるには、次の技術を一体化させる必要があります。
EV用電池
車載OS
AI
自動運転
ロボット
データサービス
車と家庭の電力連携
需要が大きく動き始めてから転換したのでは、テスラや中国メーカーに追いつけなくなる可能性があります。
一方で、需要を読み違えて先行投資を急ぎすぎれば、欧州メーカーと同じように、既存事業とEV事業の両方で重い負担を抱えることになります。
これまでの正解と、これからの正解は違う
これまでは、トヨタの慎重なマルチパスウェイ戦略が正しかった。
しかし、これからAIとロボットの時代が本格的に始まれば、EVの普及速度が突然変わる可能性があります。
したがって、トヨタのマルチパスウェイ戦略は最終的な答えというよりも、エンジン車の時代から、EV・AI・ロボットの時代へ移るための、非常に合理的な橋渡し戦略なのかもしれません。
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