AI時代とモンゴルの経済成長――私が以前から期待してきた5つの理由

私は以前から、モンゴルの経済成長とAIの拡大期が重なるのではないかと考えてきました。
私がモンゴルの将来に期待しているのは、今、街が発展しているからだけではありません。
銅や金といった資源があり、国内のエネルギー資源がある。太陽光と風力にも開発の余地があり、冷涼な気候も持っています。
そして、これらの条件が、世界でAIの利用が広がる時期に、これまで以上の意味を持つのではないかと考えています。
モンゴルの資源開発が進む時期と、世界がAIを支える設備を増やす時期が重なる。
私が注目しているのは、このタイミングです。今回は、確認できる計画や資料と、そこから私が期待していることを分けながら、五つの理由をまとめます。
モンゴルの経済成長とAIの拡大期が重なる可能性
1.最大の理由は、銅の資源国であること
私が一番重視しているのは、モンゴルが銅の資源国であることです。
AIというと、ソフトウェアや半導体に目が向きます。しかし、そのAIを動かすには、データセンターだけでなく、大量の電気を供給する設備も必要になります。
国際エネルギー機関(IEA)も、データセンターに必要な材料として銅を挙げています。AIに加え、送電網の整備や社会全体の電化も、銅が使われる分野です。
モンゴルでは、オユトルゴイ鉱山の開発が進んでいます。運営するリオ・ティントは、露天掘りと地下鉱山を合わせ、2028~2036年に年間平均約50万トンの銅を生産する計画を示しています。
世界で必要とされる資源を持ち、実際に供給を増やす計画が進んでいる。
ここに、私は大きな強みを感じます。
もちろん、銅の価格や需要はAIだけで決まりません。それでも、世界の設備投資を支える側として、モンゴルが関わる余地は大きいと思っています。
2.金が、外貨を稼ぐ力を支えている
二つ目は、金の資源国でもあることです。
金は、銅と同じようにAI設備の増加に直接結び付けて考えているわけではありません。
私が評価しているのは、外貨を獲得し、国の経済を支える資源を持っていることです。
モンゴル中央銀行は、国内で採掘された金を買い取り、外貨準備の運用に活用しています。
銅には産業を支える役割があり、金には国際的に取引される資産としての役割があります。
価格変動や採掘費用の影響はありますが、異なる役割を持つ資源があることは、モンゴルの将来を考えるうえで心強い材料だと感じています。
3.太陽光と風力にも、大きな開発の余地がある
エネルギーについて、石炭とともに注目したいのが、太陽光と風力です。
世界銀行が2026年9月に公表した報告でも、モンゴルの太陽光・風力発電には大きな潜在力があるとされています。
一方、その力を生かすには、送電網の近代化や、投資を呼び込める電力契約の仕組みが必要だと指摘されています。
地下の資源に加えて、地上の太陽や風も、将来の電力を生み出す材料になる。
これは、電力を必要とする産業を育てるうえで、重要な可能性だと思います。
ただし、太陽光や風力は、時間帯や天候によって発電量が変わります。
常に動くデータセンターに使うなら、蓄電池やほかの電源、送電網を組み合わせる必要があります。
住んでみて実感した、日照時間の長さ
実際にモンゴルで暮らしてみて、私が感じたことの一つが、日照時間の長さです。
これは、現地で生活する中で気づいた、モンゴルの自然の豊かさでもあります。
私は、この日差しを太陽光発電にも生かせるのではないかと感じています。
資料を確認すると、モンゴルエネルギー省の2024年の資料でも、晴天の日は年間270〜300日、日照時間は年間約2,250〜3,300時間と紹介されています。
暮らしの中で感じていたことには、こうした裏付けもありました。
地下にある銅や金だけでなく、日々降り注ぐ太陽の光も、この国の強みになる。
発電設備や送電網、蓄電池などの整備が進めば、こうした自然条件が、産業や将来のデータセンターを支える力にもなるのではないか。現地で暮らしているからこそ、私はその可能性を身近に感じています。
4.冷涼な気候が、データセンターの強みになる可能性
四つ目は、気候です。
モンゴルの厳しい寒さは、暮らしの面では負担にもなります。
しかし、熱を出す設備を冷やすという視点では、その寒さを利用できる可能性があります。
データセンターでは、サーバーを適切な温度で動かすために冷却が必要です。
IEAも、冷却設備がデータセンターの電力消費の一部を占めることを示しています。
外気を生かした設計ができれば、冷却に必要なエネルギーを抑えられるのではないか。私は、そこに注目しています。
ただ、モンゴルにも夏があり、季節や地域による気温差は大きいため、「一年中寒いから最適」とまでは言えません。
大容量の電力、信頼できる通信回線、設備の保守体制、冷却方式に応じた水の確保なども必要です。
暮らしの中では厳しさにもなる寒さが、AI時代には産業を支える強みになるかもしれない。私は、その可能性に期待しています。
それが、将来のデータセンター立地としての可能性を左右すると考えています。
5.石炭を国内で確保できること
五つ目は、石炭の資源国であることです。
国内で燃料を確保できれば、電力や暖房を供給する際に、その資源を活用できます。
燃料調達の選択肢を自国に持つことには、意味があると思います。
ただし、石炭が豊富だから、電気料金を自由に安くできるわけではありません。
採掘や輸送、発電所の建設・維持、送電、環境対策にも費用がかかります。
世界銀行も、モンゴルの電力・暖房料金制度や設備投資の課題を挙げ、送電網の容量と供給の信頼性を改善する事業を支援しています。
私が評価しているのは、国内にエネルギーの原料があり、それをどう使うかという選択肢を持っていることです。
石炭の利用に伴う大気汚染や排出の課題にも対応しながら、太陽光・風力などを組み合わせていく。その整備が進めば、生活だけでなく産業を支える力にもなると期待しています。
資源開発の時期と、AIの成長期が重なるとおもっていた
これらを並べてみると、私がモンゴルに期待する理由が、よりはっきりします。
IEAの更新された見通しでは、世界のデータセンターの電力消費は、2025年の485TWhから2030年には950TWhへ、ほぼ倍増すると予測されています。
これは実績ではなく、将来の見通しです。
一方、オユトルゴイの銅生産も、2028年以降に大きな規模を目指しています。
世界がAIを動かすための設備を増やす時期に、モンゴルは、その設備に必要な資源の供給を増やしていく。
私は、この重なりに可能性を感じています。
国内への大規模なデータセンター誘致には、まだ整えるべき条件があります。
それでも、資源の供給を通じて、世界のAI向け設備投資と関わる道はあります。
さらに、電力と通信の整備が進めば、国内で新しい産業を育てる可能性も広がるのではないでしょうか。
私が見ていきたいのは、資源が暮らしの豊かさにつながるか
資源を持っているだけで、国の成長が約束されるわけではありません。
得られた収入を、モンゴル政府が道路や電力、教育、人材育成にどうつなげるか。
国内の企業や働く人に、どれだけ機会が生まれるか。
その点も大切だと思います。
それでも、銅、金、石炭、太陽光と風力、そして冷涼な気候を持つモンゴルには、AI時代に生かせる条件があると私は考えています。
モンゴルの成長期と、世界のAIの拡大期が重なるのではないか。
これが、私がこの国の将来に期待している理由です。
これからも現地で感じる変化と、公表される計画や実績を照らし合わせながら、その可能性を見ていきたいと思っています。
番外編――私が最初にモンゴルに注目した理由
私が最初にモンゴルへ目を向けた理由には、安全保障への見方がありました。
「戦争に直接巻き込まれる可能性が、比較的低い場所なのではないか」
そう考えたことが、私にとって大きな出発点でした。
どれほど資源が豊富でも、経済成長が期待できても、安心して暮らしや事業を続けられることが、その土台になります。
モンゴルは、中国とロシアとの関係のバランスを取りながら、日本などの「第三の隣国」とも関係を広げる外交方針を取っています。
日本の外務省も、この方針をモンゴル外交の基本として説明しています。
こうした外交姿勢は、私がこの国の将来を考えるうえで、注目している点です。
もちろん、この外交方針だけで、戦争に巻き込まれる可能性の低さが証明されるわけではありません。また、直接戦場にならなくても、周辺国の情勢によって貿易やエネルギー供給が影響を受ける可能性はあります。
それでも、戦争に巻き込まれるリスクをできるだけ避けたいという視点が、私がモンゴルに注目した最初の理由でした。
そのうえで、銅や金、エネルギー資源、気候などを見ていくと、AI時代と重なる成長の可能性にも期待するようになったのです。
※本記事は、2026年9月27日時点で確認した資料をもとにした、筆者個人の見立てです。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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