モンゴルの給料は本当に低い?――平均給与だけでは分からない「成長国の収入」

モンゴルで生活していると、以前から私が不思議に感じていたことがあります。
それは、聞いている給与水準と、実際に街で見る人々の生活が、どうも一致しないように感じることです。
私が現地の人たちから聞いた話では、一般的にどこかの会社などへ勤めた場合、給料は日本円にすると月10万円〜13万円くらいという話をよく聞きます。
日本人がこの数字だけを見ると、
「その給料で、どうやって生活しているのだろう?」
と思うのではないでしょうか。
私も最初はそう思いました。
しかし実際にモンゴルで生活し、現地の人たちと話しているうちに、日本人が考える「給料」と、モンゴルの人たちの「実際の収入」は、少し分けて考えた方がいいのではないかと思うようになりました。
モンゴルの給料だけを見ると、街の生活と数字が合わない
まず、ウランバートルには驚くほど多くの車が走っています。
渋滞が大きな問題になるほどです。
もちろん全員が車を所有しているわけではありませんし、ローンで購入している人もいるでしょう。
それでも、月10万円〜13万円程度という給料だけから想像する街の姿とは、少し違って見えます。
住宅についても同じです。
地方へ行けば、モンゴル国民が一定の条件のもとで土地を取得できる制度があります。
一方、ウランバートルのマンションは、私自身が実際に購入して感じたように、決して安いものではありません。
それでも新しいマンションが次々に建設され、実際に購入する人がいます。
私が購入したマンションについても、販売関係者から聞いた話では、購入者の約9割がモンゴル人とのことでした。
外国人投資家ばかりが購入しているわけではなく、現地の人たちがかなりの割合を占めているわけです。
そこで私は、
「一般的な勤め人の給料が月10万円〜13万円くらいだとすれば、決して安くないマンションや車を、どうやって購入しているのだろう?」
と疑問を持つようになりました。
「会社からの給料=その人の収入」とは限らない
モンゴルの人たちと話していて感じるのは、会社から受け取る給料以外にも収入を得ることが、それほど特別ではないということです。
副業をする人もいる。
小さな商売をする人もいる。
家族単位で収入を作ることもある。
そして、事業へお金を出して収入を得る人もいます。
ここは日本人の感覚とは少し違うように感じます。
日本では会社員なら、
「会社からもらう給料がその人の主な収入」
という考え方が比較的強いと思います。
そのため私たちは、外国の平均給与を日本円に換算して、その国の生活水準まで想像してしまいがちです。
しかし、それでは見えないお金があります。
私が実際に見聞きした「成長国の副収入」
では、どのように給与以外の収入を作るのでしょうか。
ここからは、私自身がモンゴルなどで実際に見聞きした話です。
例えば、友人が新しい店を始めるとします。
その時、
「今度こういう店を始めるので、一緒に出資しないか?」
という話が出てくることがあります。
そこへ、自分がそれまで貯めてきたお金の一部を出資する。
感覚としては、その店の株を一部持つようなものです。
そして店が利益を出せば、出資割合や契約に応じて、毎月配当のような形で収入を受け取る。
こうした話は現地でよく聞きますし、私自身もタイやベトナム、モンゴルで何度か出資の話をもらったことがあります。
そのため、これはモンゴルだけで見た特殊な仕組みというより、私がタイ、ベトナム、モンゴルという成長過程にある国々で共通して見てきた、お金の動きの一つだと感じています。
もちろん、正式な株式投資なのか、共同出資なのか、利益分配契約なのかは事業によって違います。
ただ、お金の流れとしては、
「自分で働いて給料を増やす」だけではなく、「成長する商売へお金を出して収入を増やす」
という考え方です。
実は25年ほど前のタイでも同じものを見た
私にとって、この光景は初めてではありません。
今から25年ほど前のタイでも、非常によく似たものを見ました。
経済が大きく成長している時期には、新しい店や会社、サービスが次々に生まれます。
そして、その成長にうまく乗ることができた人には、会社からの給与とは別に収入を作る機会が生まれます。
私は現在のモンゴルを見ていて、当時のタイで感じたものと似たところがあるように感じています。
成長国だから成立しやすい理由
なぜ、このようなことが成長国では起きやすいのでしょうか。
私は一つの理由として、商売の利益率が高くなる余地が大きいことがあると思っています。
経済そのものが成長していれば、消費も増えていきます。
新しいマンションが建つ。
店が増える。
会社が増える。
新しい商品が入ってくる。
これまでなかったサービスへの需要も生まれる。
つまり、市場そのものが大きくなっているわけです。
もちろん失敗する店もあります。
出資したお金が戻らない可能性もあります。
しかし成長している市場では、うまく需要をつかんだ商売が急速に大きくなることもあります。
利益が十分に出れば、
店を経営する人にも利益が残る。
そして、
出資した人にも利益を分配できる。
こうした循環が成立しやすくなるのだと思います。
大当たりしたら、持分を売って次の商売へ
さらに面白いのは、その先です。
出資した店が大きく成功すると、自分が持っている持分を、最初に出資した時よりも高い価格で売却できる場合があります。
そこで得たお金を、今度は別の新しい店や事業へ出資する。
つまり、
貯めたお金
→ 友人の店へ出資
→ 利益の分配を受ける
→ 店が成長する
→ 持分を売却する
→ 次の新しい事業へ出資する
という流れです。
私は、このような**「身近なところに投資先が生まれてくる環境」そのものが、成長国の特徴の一つではないか**と思っています。
ベトナムでも同じ疑問を持った
実は私は以前、ベトナムでも同じような疑問を持ったことがあります。
公表されている平均的な給与を見ると、日本と比べればかなり低い。
ところが実際に街へ行くと、多くのバイクや車が走り、飲食店や商業施設には人が集まり、不動産も活発に動いている。
「この給料だけで、本当にこの生活ができるのだろうか?」
と思いました。
ベトナムについては、私は実際に自分自身で確認する機会があり、給与として表に見えている金額だけでは、その人や家庭の実際の収入を捉えきれないケースがあることを知りました。
一方、モンゴルについては、私が一人ひとりの収入を確認したわけではありません。
現地の人たちから聞いた話や、実際に生活する中で見てきたことが中心です。
ここは区別して考える必要があります。
それでも、ベトナムとモンゴルを見ていて、私は共通するものを感じます。
経済成長そのものが「収入を増やす機会」を作る
ベトナムもモンゴルも、経済が成長してきた国です。
経済が成長すれば、会社員の給与が上昇するだけではありません。
新しい商売が生まれます。
土地や不動産の価値が上昇することもあります。
投資する場所が増えます。
そして、そこで成功した人が次の事業へ投資する。
つまり経済成長とは、GDPの数字が増えるだけではなく、個人にとって「給与以外からお金を得る機会」が増えることでもあるのではないかと思います。
もちろん、誰もがその恩恵を受けられるわけではありません。
むしろ格差が広がることもあるでしょう。
しかし、うまく経済成長の波に乗ることができた人にとっては、本業の給与以上に、副収入や資産価値の上昇が大きくなることもある。
私は実際に、そういう人たちを見てきました。
では、日本人の給料は本当に高いのか
ここまで考えると、私は逆に日本について考えてしまいます。
平均給与だけを比較すれば、日本の方がモンゴルやベトナムより高いでしょう。
例えば、
日本で月30万円の給料をもらう人。
モンゴルで月12万円の給料をもらう人。
給与だけなら2倍以上の差があります。
しかし、本当に比較すべきなのはそこだけでしょうか。
日本はすでに成熟した経済です。
成長国のように街そのものが急速に拡大し、新しい店、新しい会社、新しい不動産、新しいサービスが次々に生まれる環境とは違います。
そのため日本の会社員が本業以外から収入を作ろうとしても、経済全体が急成長している国で成長の波に乗る場合ほど、簡単ではないのではないかと私は昔から感じています。
日本人の給与は数字だけなら高い。
しかし、給与以外の収入を増やす機会まで含めて考えた場合、本当にそれほど大きな差があるのでしょうか。
私はここに興味があります。
比較するなら「月給」ではなく「一年間でどれだけ豊かになったか」
だから私は、国の生活水準を考える時に、平均給与だけを比較することに以前から違和感があります。
本当に比較するのであれば、
給与+ 副収入+ 商売からの収入+ 配当などの収入+ 資産価値の増加− 税金・社会保険− 住宅費・光熱費などの生活費
まで見た方が、実態に近いのではないでしょうか。
つまり私が知りたいのは、
「毎月いくら給料をもらったか」ではなく、「一年間で実際にどれだけお金や資産が増えたのか」
です。
この考え方で日本、モンゴル、ベトナムを比較したら、平均給与だけを並べた時とは、かなり違った景色が見えるのではないかと思います。
平均給与だけでは、その国の豊かさは分からない
私は、「モンゴル人の方が日本人より豊かだ」と言いたいわけではありません。
それを証明できるデータを持っているわけでもありません。
成長国では成功する人がいる一方で、成長の恩恵を受けられない人もいます。
出資には当然、失敗するリスクもあります。
それでも、モンゴルで実際に生活していると、
月10万円〜13万円くらいと聞く給与。
街にあふれる車。
決して安くないマンション。
私が購入したマンションでは約9割がモンゴル人購入者だと聞いたこと。
そして、
給与以外にも商売や出資から収入を得ている人たち。
これらを見ていると、平均給与という一つの数字だけで、その国の人たちの生活水準を判断することは難しいと感じます。
そして、モンゴル、ベトナム、25年ほど前のタイを見てきて、私が特に感じるのは、
成長国の本当の面白さは「給料が上がること」だけではなく、「給料以外から収入や資産を増やせる機会そのものが増えること」なのではないか。
ということです。
だから私は今でも、海外の平均給与を見る時には、その数字だけでは判断しません。
「その国の人たちは、給料以外にどんな方法でお金を増やしているのだろう?」
そこを見る方が、その国の本当の経済や生活を理解するうえで、ずっと重要なのではないかと思っています。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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