若者を奪い合う日本――移民で埋めるか、国を小さく作り直すか、選択の時期

日本で採用しても人が集まらない背景には、単なる企業努力では解決できない人口構造の問題があります。この記事では、人手不足の本当の原因と、日本に残された選択肢を考えます。
現在の形を維持するなら、数千万人規模の外国人が必要になる可能性
人手不足の本当の原因――日本に残された二つの選択肢
日本が現在の企業数、自治体、集落、学校、病院、道路、公共サービスを、これまでと同じ形で維持しようとするなら、将来的には数千万人規模の外国人を受け入れる議論が必要になる可能性があります。
しかし、それだけの外国人を受け入れるには、住宅、学校、医療、日本語教育、家族帯同、永住、社会保障まで含めて、国の形そのものを変えなければなりません。
外国人も日本で暮らし続ければ、いずれ高齢になります。低賃金労働者として若い時期だけ受け入れる方法では、問題を次の世代へ先送りするだけです。
日本は今、大きく二つの選択肢の前に立っています。
50歳以上が半数の衝撃――日本は今の形を維持できない
現在の企業数や地方の形を維持するため、大規模な移民国家へ転換する
人口減少を受け入れ、企業・地域・インフラを人口に合わせて整理する
私は、外国人であらゆる人手不足を埋め、今の日本をそのまま維持する方法には無理があると思います。
必要なのは、人口が増えていた時代につくられた国の形を、人口減少に合わせて小さく組み直すことです。
人口が減るのに、なぜ企業も地方も減らさないのか
企業を整理する
低賃金のまま人を確保できない企業を、補助金や外国人材で無条件に延命するべきではありません。
企業の廃業、合併、事業承継、共同化を進め、限られた人材や資金を、生産性が高く、十分な賃金を払える企業へ移していく必要があります。
特に建設業では、会社の数を維持するほど、限られた若手や技術者が分散します。
企業統合、共同受注、機械化を進め、少ない人数でも高い賃金を払いながら事業を継続できる構造へ変えるべきです。
地方をすべて維持することはできない
地方を整理する
人口が減っているのに、すべての集落、道路、水道、学校、病院、行政施設を、これまでと同じ形で維持することはできません。
現在、全国の自治体が、移住支援、子育て支援、住宅補助、企業誘致などによって、若い世代を呼び込もうとしています。
しかし、若者の総数が減っている以上、ある地域の人口が増えても、別の地域から人が移っただけです。企業同士の採用競争と同じで、地域同士で若者を奪い合っても、日本全体の人口減少や人手不足は解決しません。
人口が減っている国で、すべての自治体が人口を維持したり、増やしたりすることは不可能です。
必要なのは、すべての地域に成長を求める地方創生ではありません。将来も医療、教育、行政、交通、産業を維持する拠点と、段階的に規模を縮小する地域を、国全体で整理することです。
地域の集約とは、自治体同士で若者を奪い合うことではありません。移転を希望する住民が、生活を損なうことなく地域の中心部へ移れるよう、住宅、医療、交通、仕事を整えることです。
日本の場合、東京だけに人口を集めるのではなく、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡などの大都市と、浜松のような地域中核都市を生活拠点とする多極型が現実的です。
一方で、人がほとんどいなくなった地域まで、多額の税金を使って道路、水道、学校、病院を維持し続けることはできません。
人がいなくなった土地は、無理に開発や維持を続けるのではなく、森林、農地、草原など、本来の自然へ戻していけばよいのです。
企業間で人を移すだけでも解決せず、地域間で人を移すだけでも解決しません。
若者を奪い合うのではなく、若者が減っても成り立つ地域と国へ作り直す必要があります。
人口約350万人のモンゴルでも、多くの人や企業をウランバートルへ集中させることで、都市には大きな活気があります。そして都市を離れれば、広大な草原が残っています。
人口が少ないこと自体が、必ずしも衰退を意味するわけではありません。限られた人口をどこに集めるかが重要です。
守るべきなのは会社や地域の形ではない
企業や地域の整理は、人を切り捨てることではありません。
国が守るべきなのは、今ある会社や集落の形ではなく、そこで生活している人です。
企業の退出や地域からの移転を認めながら、住宅、所得、転職、再教育、医療、交通を支援する。
必要な仕事や生活機能がある場所へ、安心して移れる仕組みをつくることが重要です。
介護、物流、農業、建設、地域交通など、社会に不可欠な仕事については、単純に消滅させることはできません。
しかし、その場合も低賃金企業をそのまま残すのではなく、統合、価格改定、自動化、公的サービス化によって、仕組み自体を変えるべきです。
日本が選ぶべき道
日本が選ぶべきなのは、大量の外国人によって現在の形をすべて維持する道ではありません。

人口減少を受け入れ、企業、地方、インフラを整理し、必要な場所へ人材と資金を集中する。そのうえで、AI、ロボット、機械化を進め、どうしても不足する分野には、外国人材を日本人と同じ待遇で受け入れるべきです。
人口が減ること自体が最大の問題ではありません。
人口が減っているのに、何も減らさず、何も選ばず、すべてを維持しようとすることが問題です。
この決断から逃げ続ければ、人材も資金も全国へ薄く分散し、地方、企業、公共サービスが共倒れになります。
日本が今やるべきことは、無計画な衰退を待つことではありません。
残す企業、地域、産業を決め、人口に合わせて国の形を整理することです。
それが、少ない人口でも豊かに暮らせる日本へ変わるための、最も現実的な道だと思います。
モンゴルに見る、人口を集中させるという自然な流れ
人口が少なくても、必ずしも国や都市に活気がなくなるわけではありません。

その分かりやすい例が、私が実際に1つの拠点として住んでいるモンゴルです。
モンゴルの人口は約350万人ですが、その半数近くが首都ウランバートルに集中しています。
行政、企業、大学、病院、商業施設、住宅、建設投資が一つの都市へ集まることで、人口規模の小さな国とは思えないほどの活気があります。
現在のウランバートルでは、高層住宅、オフィス、ホテル、商業施設の建設が続いています。働く人、消費する人、投資する人が同じ都市に集中するため、新しい事業も成立しやすくなります。
一方、ウランバートルを離れれば、広大な草原が広がっています。
人口の少ない地域まで、都市と同じ密度で道路、建物、商業施設を整備しているわけではありません。人が集まる場所には都市機能が集中し、それ以外の土地には自然や遊牧生活が残っています。
これは、国土全体を均等に発展させようとするのではなく、人の移動に合わせて都市と自然の役割が分かれていった結果とも考えられます。
もちろん、ウランバートルへの急速な一極集中には、大気汚染、交通渋滞、住宅不足などの問題もあります。そのまま日本がまねをすればよいという話ではありません。
それでもモンゴルから学べるのは、人口が少なくても、人材、資金、行政、医療、教育、産業を必要な場所へ集中させれば、都市の活力を生み出せるということです。
反対に、限られた人口や資金を国土全体へ薄く分散すれば、どの地域も人手不足となり、病院、学校、交通、商業施設を十分に維持できなくなります。
日本は、すべての地方自治体に人口維持や地方創生を求めています。しかし、若者の総数が減っている以上、自治体同士で若者を奪い合っても解決しません。
モンゴルの大草原のように、人がいなくなった土地は無理に開発や維持を続けず、自然へ戻すという選択があってもよいはずです。
日本も、人口が減ることに逆らって国土全体を維持するのではなく、生活機能を残す地域へ人材と資金を集中し、それ以外の土地を自然へ戻していく必要があります。
人口減少時代に重要なのは、全国を同じように残すことではありません。
人が暮らす場所と、自然へ戻す場所を明確に分けることです。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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