採用しても人が集まらない本当の理由――若者の奪い合いでは人手不足は解決しない

採用しても人が集まらない本当の理由は、若い働き手の減少
採用しても人が集まらない本当の理由は、企業の努力不足ではなく、若い働き手そのものが減っていることにあります。
会社を守る政策が、日本の産業成長を止めている
私は経営者として、本当に人手不足が深刻になったと感じたのは2019年頃からでした。
浜松市では、外国人を含めた50歳以上の割合が、次のように上昇しています。
2008年:41.1%
2019年:46.3%
2026年:50.6%
2026年には、若手の外国人を含めても市民の半数以上が50歳以上になりました。

問題は、50歳以上の人が増えたこと自体ではありません。企業が採用し、技術や事業を引き継いでもらいたい若い世代の絶対数が減っていることです。
採用できても、人手不足は解決していない
若い働き手が少ない以上、ある企業が採用に成功しても、別の企業や業界から人が移っただけです。
地域全体で見れば、人手不足は解決していません。
企業は成長のための投資よりも、採用活動、賃上げ、離職防止、教育に時間と資金を取られ続けます。ようやく育てた人が、より条件の良い企業へ移れば、また採用と教育のやり直しです。
これでは新しい事業や技術開発に集中できず、成長どころではありません。
建設業は、さらに厳しくなる
建設業では、50歳を超えても多くの人が現場で活躍しています。しかし、10年後、20年後まで技術や事業を継承するには、若手から50歳未満の人材を確保する必要があります。
ところが、その世代は製造業、物流、介護、サービス業など、あらゆる業界から必要とされています。
若手の外国人を含めても、働き手そのものが足りません。
特に建設業は、屋外作業や身体的負担があり、技術習得にも時間がかかります。
現場作業を完全に海外へ移したり、いまのところ自動化したりすることもできません。
会社や工事の数だけを維持すれば、限られた技術者が多数の会社に分散します。
その結果、仕事はあっても施工する人がいない、受注しても現場を組めない、技術を教える前に熟練者が引退するという問題が起きます。
なぜ会社の形を守り続けるのか
ところが日本の政策は、働く人よりも、今ある会社や業界の形を守ろうとする傾向があります。
補助金や助成金で赤字事業を延命する
人手不足を外国人材で埋め、低賃金構造を維持する
廃業を避けること自体を政策目的にする
転職や職業移動より、現在の雇用維持を優先する
価格転嫁できない企業まで一律に守ろうとする
短期的には倒産や失業を防げます。
しかし長期的には、人材、資金、設備が生産性の低い企業に固定され、成長分野へ移動しません。その結果、賃金も上がらず、人手不足も解消せず、補助金だけが増えていきます。
外国人材の受け入れも必要ですが、低賃金の穴埋めとして利用すれば、企業が仕組みを変える時期を先送りするだけです。
守るべきなのは会社ではなく、働く人
低賃金のまま人を確保できない企業が退出することは、必ずしも悪いことではありません。
若い人材が、より生産性が高く、高い賃金を払える企業へ移ることは、産業の正常な新陳代謝です。
介護、物流、農業、建設、地域交通など、社会に不可欠な仕事については、単純に消滅させることはできません。
しかし、その場合も低賃金企業をそのまま延命するのではなく、企業の統合、価格改定、共同化、自動化、公的サービス化など、仕組み自体を変える必要があります。
守るべきなのは、会社ではありません。
そこで働く人の生活と、次の仕事へ進むための再出発です。
企業の退出や統合は認めながら、従業員の再教育、転職、所得を支援する。限られた人材を、将来性があり、高い賃金を払える企業や産業へ移していく。
若者の奪い合いを続けても、日本全体の人手不足は解決しません。
少ない人数でも高い賃金を払い、事業を継続し、成長できる産業構造へ変えられるかどうか。
日本に必要なのは、企業の数を守ることではなく、この根本的な転換だと思います。
※人口割合は浜松市公表の年齢別人口資料を基に算出。2026年は4月1日現在。
2026年9月21日現在
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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