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5万円昇給しても、手取りは3万円台しか増えない?――給料アップの現実を調べてみた

9月6日
読了時間: 8分


結論――今回の試算では「月給35万円くらいまで」が比較的やさしい


今回は、極端に低い給与や高額所得ではなく、比較的多くの人がもらっている給与水準を想定して、月給15万円〜70万円までを5万円刻みで算出してみました。


計算してみると、ひとつ面白いことが分かりました。


月給15万円 → 35万円くらいまでは、額面給与が5万円増えると、手取りは約3.8万円増えています。

つまり、増えた5万円のうち約76%が手元に残る計算です。

ところが35万円を超えてくると、


35万円 → 40万円 +約3.6万円(72%)

55万円 → 60万円 +約3.2万円(64%)

65万円 → 70万円 +約3.0万円(60%)


と、同じ5万円の給与アップでも、実際に手元に増える金額が小さくなっていきます。

5万円給料が増えても、5万円生活が豊かになるわけではない。

今回の記事では、**「給料はいくらか」ではなく、「増えた給料のうち、実際にいくら自分に残るのか」**という視点から考えてみたいと思います。


なぜ、こんなことを調べようと思ったのか

前回、

「日本は、自分が30万円稼いだら、最終的にいくら分の物やサービスを買えるのか?」

という記事を書きました。


そこで月給15万円から70万円まで、社会保険料や税金を引いたあとの手取りを比較しました。


その数字を見ていて、私は別のことが気になりました。

それは、

「給料が5万円増えたら、その5万円のうち、実際にはいくら自分の手元に残るのだろう?」

ということです。

例えば月給30万円の人が35万円になれば、会社から支払われる額面給与は5万円増えます。


しかし、実際に使えるお金がそのまま5万円増えるわけではありません。


そこで今回は、給与の総額ではなく、「増えた5万円」に注目してみました。


① 給料が5万円上がったら、手取りはいくら増える?

前回と同じ条件で、月給15万円から70万円までを比較してみます。


給料アップ

実際に増える手取り

5万円のうち残る割合

15万 ~35万円で

+5万円

+3.8万円

76%

35万 ~ 40万円で

+5万円

+3.6万円

72%

55万 ~ 60万円で

+5万円

+3.2万円

64%

60万 ~ 65万円で

+5万円

+3.1万円

62%

65万 ~ 70万円で

+5万円

+3.0万円

60%

こうして全部を同じ5万円で比較すると、かなり分かりやすくなります。


② 月給35万円くらいまでは、比較的「増えた分が残りやすい」


今回の試算で特に目についたのがここです。

15万円 → 35万円

5万円アップ→ 手取りは約3.8万円増える

20万円 → 25万円

5万円アップ→ 約3.8万円増える

25万円 → 30万円

5万円アップ→ 約3.8万円増える

30万円 → 35万円

5万円アップ→ 約3.8万円増える


この給与帯では、増えた5万円のうち約76%が手取りとして残る計算になりました。


もちろん25万円と35万円では、実際の税金や社会保険料は同じではありません。


それでも今回の5万円刻みの概算では、35万円くらいまでは比較的、増えた給料が手元に反映されやすい結果になっています。


③ 35万円を超えると、少しずつ変わってくる


月給35万円を超えてくると、今回の試算では少し様子が変わります。

35万円 → 40万円

5万円アップ→ 手取り+約3.6万円

残る割合は**約72%**です。

さらに、

55万円 → 60万円

5万円アップ→ 手取り+約3.2万円

残る割合は約64%。

そして、

65万円 → 70万円

5万円アップ→ 手取り+約3.0万円

残る割合は**約60%**です。


つまり同じ5万円の給与アップでも、

15万 → 20万円では約3.8万円増える

のに対して、

65万 → 70万円では約3.0万円増える

という違いが出ました。


その差は月約8,000円。


単純に12か月で考えれば、年間約9万6,000円の差になります。


同じ「5万円の昇給」でも、その5万円の価値は給与水準によって違って見えるわけです。


④ なぜ給料が高くなると、増えた分が残りにくくなるのか

理由は、一つの税金だけではありません。

給与からは、

健康保険

介護保険

厚生年金

雇用保険

所得税

住民税

などが関係してきます。


さらに日本の所得税は累進課税です。


所得が高くなると、所得の一定部分に適用される税率も高くなります。

そのため、

「会社から5万円多くもらった=自分が自由に使えるお金も5万円増えた」

とはなりません。


ここは額面給与だけを見ていると、なかなか分かりにくいところだと思います。


⑤ だから「35万円以上もらわない方が得」という話ではない


ここは誤解のないようにしておきたいと思います。


今回の結果を見て、

「それなら月給35万円で止めた方が得なのか?」

ということではありません。


当然ですが、

月給35万円より40万円の方が、手取りそのものは多くなります。

今回比較しているのは、給料全体の多い・少ないではありません。

私が見たかったのは、

「追加でもらった5万円のうち、実際にいくら手元に残ったのか?」

です。


したがって、35万円を超えたら損をするという意味ではなく、

給与が高くなるにつれて、追加でもらった5万円が手取りに反映される割合が変わってくる

という話です。


また、35万円という数字そのものが税制上の特別な境界線というわけでもありません。

今回設定した条件と5万円刻みの概算で比較すると、35万円くらいまでが比較的やさしく見えるという意味です。


⑥ 健康保険は、たくさん払えば医療がその分豪華になるわけではない

ここも調べていて興味深いところです。


健康保険料は給与によって変わります。


基本的には、給与が高くなるほど負担する健康保険料も増えていきます。

しかし、

健康保険料を2倍払ったから、病院で2倍良い治療を受けられる

という仕組みではありません。


基本的な保険診療の仕組みは共通しています。


一方で、高額療養費の自己負担上限などには所得区分による違いがあります。


そのため「払う金額が違っても、すべての条件が完全に同じ」というわけではありません。


また、厚生年金については、支払う保険料が将来の年金額にも関係します。


ですから社会保険料をすべて単純に「取られるお金」と考えるのも正確ではありません。


それでも、現在の手取りという視点から見ると、給与が増えた5万円がそのまま5万円残るわけではないことは確かです。


⑦ 元経営者として見ると、会社側からはさらに違って見える


私は長年会社を経営してきたので、会社側の感覚もよく分かります。


社員の給料を5万円上げると、会社の負担も単純に5万円増えるだけではありません。

会社側にも社会保険料などの負担があります。

つまり、

会社側

「社員のために5万円以上、負担が増えている」

一方、


社員側

「給料は5万円上がったのに、手取りは3万円台しか増えていない」

ということが起こります。


これは会社と社員のどちらかが間違っているわけではありません。

どちらも事実です。


会社はかなり払っている。


しかし社員は、それほど増えたように感じない。


私は、この会社が負担する金額と、社員が実際に受け取る金額の差も、日本の賃金を考えるうえで重要なのではないかと思います。


⑧ 「月給はいくら?」だけでは分からない

給料について話すとき、


月給30万円

月給40万円

年収500万円

など、通常は額面給与で比較します。


もちろん、それも重要です。


しかし生活する側から考えるなら、

額面給与がいくら増えたのか

だけではなく、

その結果、実際に使えるお金がいくら増えたのか

も重要ではないでしょうか。


今回の数字をもう一度シンプルにすると、

15万 → 20万円+5万円 → 手取り+約3.8万円

35万 → 40万円+5万円 → 手取り+約3.6万円

55万 → 60万円+5万円 → 手取り+約3.2万円

65万 → 70万円+5万円 → 手取り+約3.0万円

となります。


こうして同じ5万円で比較すると、非常に分かりやすくなります。


最後に――「5万円の昇給」の価値は同じではなかった


今回、比較的多くの人がもらっている給与水準を想定し、月給15万円から70万円までを5万円刻みで比較してみました。

そこで私が一番興味深いと思ったのは、

給料がいくらかだけではなく、増えた給料のうち、実際にいくら自分の手元に残るのかを見る必要がある。

ということです。


今回の条件では、月給15万円から35万円くらいまでは、5万円の給与増に対して約3.8万円。

つまり約76%が手取りの増加として残るという結果になりました。


それが給与水準が上がるにつれて、

72%

64%

62%

60%

と、追加の5万円が手取りに反映される割合が小さくなっていきます。


だからといって、高い給料をもらわない方がよいという話ではありません。


給料が上がれば、手取り額そのものは増えます。


ただ今回、数字にしてみると、

会社が5万円多く払うことと、社員の生活が5万円分豊かになることは、まったく同じではない。

ということが、とても分かりやすく見えてきました。


私は元経営者として会社側の負担も知っていますが、働く側から見ても、この仕組みを数字で知っておくことには意味があると思います。


「5万円給料が上がったら、自分の手元には実際いくら増えるのか?」


給料を見るときには、額面だけではなく、こういう見方をしてみるのも面白いのではないでしょうか。


※今回の数値は、2026年の静岡県の会社員、40〜64歳、扶養なし、賞与なし、前年も同程度の給与があり住民税が発生している場合など、一定の条件を置いた概算です。

実際の手取り額は年齢、居住地、扶養状況、賞与、標準報酬月額、各種控除などによって異なります。


協同組合かけはし/KAKEHASHI  HUMAN  MONGOL  LLC  後藤友亮/GOTO YUSUKE 

静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル     公式サイト:https://www.kakehasi.biz/  

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