日本は、自分が30万円稼いだら、最終的にいくら分の物やサービスを買えるのか?

私は長年会社を経営してきたので、会社が社員一人を雇うために、給与以外にも社会保険料などを負担していることはよく分かっています。
一方、働く側から見ても、
「30万円の給料なのに、どうしてこんなに手取りが少ないのだろう」
と感じることがあると思います。
そこで今回は難しい制度の説明から入るのではなく、
「自分が30万円稼いだら、最終的にいくら分の商品やサービスを買えるのか?」
という、とても単純なところから考えてみました。
まず結論から
社会保険料・所得税・住民税などを払い、さらに残ったお金をすべて消費税10%の商品・サービスに使ったと仮定すると、おおよそ、
30万円稼ぐ → 約21.6万円分
40万円稼ぐ → 約28.3万円分
50万円稼ぐ → 約34.8万円分
60万円稼ぐ → 約41.0万円分
70万円稼ぐ → 約46.6万円分
の商品やサービス本体を買える計算になります。
もちろん、実際には食料品の軽減税率8%や、住宅家賃など消費税がかからない支出もあります。
したがって、これはあくまで**「すべて10%課税の商品・サービスに使った場合」**の比較です。
① まず給料から税金・社会保険料が引かれる
2026年、静岡県の会社員、40~64歳、扶養なし、賞与なしなど一定の条件で概算すると、こうなります。

額面月給 | 手取り概算 |
10万円 | 約8.5万円 |
15万円 | 約12.3万円 |
20万円 | 約16.1万円 |
25万円 | 約19.9万円 |
30万円 | 約23.7万円 |
35万円 | 約27.5万円 |
40万円 | 約31.1万円 |
45万円 | 約34.7万円 |
50万円 | 約38.3万円 |
55万円 | 約41.9万円 |
60万円 | 約45.1万円 |
65万円 | 約48.2万円 |
70万円 | 約51.2万円 |
ここでは健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険、所得税、住民税などを考慮しています。
都道府県、年齢、扶養家族などによって実際の金額は変わります。

例えば月給30万円の場合、
額面30万円
↓
社会保険料・所得税・住民税など
↓
手取り 約23.7万円
となります。
さらに、この23.7万円をすべて消費税10%の商品・サービスに使ったと仮定します。
税込23.7万円の中に含まれる消費税相当額は約2.15万円です。
したがって、
30万円稼ぐ
↓
手取り 約23.7万円
↓
商品・サービス本体として買える価値 約21.6万円
となります。
つまり額面30万円に対して、最終的な税抜き購買力は**約72%**です。
③ 給料が増えるとどうなるのか
同じ考え方で並べてみます。

額面給与 | 手取り | 税抜き購買力※ | 額面に対する購買力 |
30万円 | 約23.7万円 | 約21.6万円 | 約72% |
40万円 | 約31.1万円 | 約28.3万円 | 約71% |
50万円 | 約38.3万円 | 約34.8万円 | 約70% |
60万円 | 約45.1万円 | 約41.0万円 | 約68% |
70万円 | 約51.2万円 | 約46.6万円 | 約67% |
※手取り全額を消費税10%対象に使った場合。
こうして見ると、「月給はいくらか」だけを見るのと、最終的にいくら分の物を買えるのかを見るのでは、ずいぶん印象が変わります。
④ では、実際に4人家族で生活したらどうなるのか?
ここからは消費税を一律10%として計算する方法はいったんやめます。
実際の家庭には、消費税がかかる支出、8%の支出、非課税の支出が混在するからです。
そこで、
夫婦+子ども2人
の4人家族を考えてみます。
さらに、
マイホームを購入している
車を1台所有している
という、ごく一般的な家庭をモデルにします。
例えば月々、

支出 | モデル金額 |
住宅ローン | 約10万円 |
車1台・維持費等 | 約5万円 |
電気・ガス・水道 | 約2.6万円 |
食費 | 約10.3万円 |
通信費 | 約1.5万円 |
日用品・衣類 | 約2.5万円 |
医療・保健 | 約1.4万円 |
子ども・教育 | 約3.3万円 |
合計 | 約36.6万円 |
と仮定します。
もちろん住宅ローン、車、子どもの年齢、公立・私立などによって大きく違います。
ここではあくまで比較するためのモデル家庭です。
先ほどの手取りと比較してみます。

額面月給 | 手取り | 生活費36.6万円を引いた残り |
30万円 | 約23.7万円 | ▲12.9万円 |
40万円 | 約31.1万円 | ▲5.5万円 |
50万円 | 約38.3万円 | +1.7万円 |
55万円 | 約41.9万円 | +5.3万円 |
60万円 | 約45.1万円 | +8.5万円 |
70万円 | 約51.2万円 | +14.6万円 |
ここまで来ると、かなり現実的な数字になります。
月給50万円、年収にすると単純計算で600万円。
それでも今回のモデルでは、
毎月残るのは約1.7万円
です。
車が故障したり、家電を買い替えたり、家の修繕が必要になったり、家族旅行へ行ったりすれば、決して大きな余裕があるとは言えません。

4人家族のモデル生活費を約36.6万円とすると、
36.6万円+貯金5万円=41.6万円
の手取りが必要です。
今回の試算では、
月給55万円 → 手取り約41.9万円
です。
つまり、
夫婦+子ども2人、マイホーム、車1台という家庭を1人の収入で支え、毎月5万円程度を貯金するなら、額面月給55万円前後が一つの目安になる。
という結果になります。
単純に12か月で計算すると年収約660万円です。

ここは元経営者として、もう一つ書いておきたいところです。
社員の月給が50万円だからといって、会社の負担が50万円で終わるわけではありません。
会社も社会保険料などを負担しています。
概算すると、
月給30万円の社員 → 会社負担 約34.7万円
月給40万円の社員 → 会社負担 約46.3万円
月給50万円の社員 → 会社負担 約57.9万円
月給60万円の社員 → 会社負担 約69.4万円
月給70万円の社員 → 会社負担 約81万円
ほどになります。
例えば月給50万円なら、
会社が負担する金額 約57.9万円
↓
社員の額面給与 50万円
↓
社員の手取り 約38.3万円
↓
すべて10%課税の商品・サービスに使うと
税抜き購買力 約34.8万円
となります。

私は長年会社を経営してきたので、この両方の感覚がよく分かります。
経営者からすると、
「一人の社員にこれだけのお金を使っている」
となります。
しかし社員からすると、
「会社からこれだけの給料をもらっているはずなのに、手元にはこれしか残らない」
となります。
これは、どちらかが間違っているわけではありません。
どちらも事実です。
月給50万円の例なら、
会社負担 約57.9万円
↓
額面給与 50万円
↓
手取り 約38.3万円
↓
10%課税品だけに使う場合の税抜き購買力 約34.8万円
そして4人家族のモデル生活費を払えば、
残り約1.7万円
です。
最後に
今回計算してみて、私が一番興味深いと思ったのは、
「年収はいくらか」だけでは、本当の生活の豊かさは分からない
ということです。
30万円稼いだ人が、30万円分の物を買えるわけではありません。
税金、社会保険料があり、その後の消費にも税金があります。
さらに実際に生活するには、住宅、車、光熱費、食費、教育費などが必要になります。
だから本当に見るべきなのは、
「いくら稼いでいるのか」ではなく、「全部払ったあと、実際にいくら残るのか」
なのではないでしょうか。
そしてもう一方では、企業も給与額以上のお金を負担しています。
会社も負担が重い。働く人も手取りが少ない。
この両方が同時に起きていることこそ、今の日本の賃金や生活を考えるうえで、とても重要な部分なのではないかと思います。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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