家は本当に資産なのか――人口減少時代に変わる住宅の資産価値

モンゴルの大草原の土地とウランバートルのマンションで考える
もともと私は、家を「資産」として考えたことがほとんどありませんでした。
日本では、家は住むためのもの。
そんな感覚の方が強かったからです。
海外では、家や不動産を資産として考える国も多くあります。
その背景には、子どもの頃から投資や資産形成について触れる機会が比較的多いことも、一つの理由なのかもしれません。
私自身は、そうした教育を受けてきませんでした。
だから若い頃は、家を資産として見るという発想そのものが、ほとんどありませんでした。
しかし、自分で投資を始めてから考え方が変わりました。
「そもそも資産とは何なのか?」
そう考えるようになったからです。
私は今、資産の価値とは、国や市町村が決めた評価額でも、不動産会社が提示する査定額でもないと思っています。
大切なのは、
その金額で、実際に買ってくれる人がいるかどうか。
最終的には、そこだと思います。
たとえば現金なら、100万円は基本的に100万円として使えます。
では、車はどうでしょう。
新車で買って5年後には大きく価値が下がってしまう車もあれば、希少性が高く、5年乗ったあとでも買った時とほとんど同じ金額で売れる車もあります。
仮に500万円で買った車に5年間乗り、その後500万円で売れたとします。
もちろん税金や保険、整備費などは別にかかります。
しかし、車そのものの購入費だけを見れば、
その5年間に乗っていた費用は実質ほぼゼロだった
と考えることができます。
私は、これが資産価値を考えるうえで、とても分かりやすい原理だと思っています。
そして家も、基本的には同じです。
たとえば4,000万円で家を購入し、10年間住んだあとに4,000万円で売ることができたとします。
修繕費、税金、ローン金利などは別として、売買価格だけを見れば、その10年間に使った購入費は実質的にかなり小さかったことになります。
逆に、3,000万円で買った家が10年後に1,000万円でしか売れなければ、2,000万円分の価値が失われたことになります。
だから私は、住宅についても、
「いくらで買うか」以上に「将来いくらで売れるか」
が重要だと考えるようになりました。
私自身、投資を始めるまでは、家をこうした「資産価値」という視点で考えたことはありませんでした。
しかし投資を始めてから、
「買った時の価格」ではなく、「使ったあとにいくらで売れるのか」
を見るようになりました。
その考え方を住宅にも当てはめてみると、家の見え方が大きく変わったのです。
たとえば駅の近くの土地やマンションを見て、
「高いな」
と感じることがあります。
一方、郊外へ行けば、同じ予算でも土地は広くなり、大きな家を建てることができます。
購入時だけを見ると、郊外の方が得に見えるかもしれません。
しかし本当に大切なのは、その先です。
駅に近く、車がなくても生活でき、病院やスーパー、学校、商業施設などがそろっている場所であれば、20年後、30年後にも「住みたい」と思う人が残っている可能性があります。
一方、人口が減り、生活に車が必要で、周囲から店や病院、公共交通まで減っていく場所では、家そのものが立派でも、買い手が見つからなくなる可能性があります。
そうなると、最初に安く買ったつもりでも、最終的にはそちらの方が大きな損失になることがあります。
もっと分かりやすく言えば、
モンゴルの大草原に無料同然の広い土地をもらって大きな家を建てるか、ウランバートルにマンションを買うかという話に近いかもしれません。
大草原の土地は広く、建てられる家も大きくできます。しかも土地代がほとんどかからなければ、最初はとても得に見えるでしょう。
しかし、将来その家を売ろうと思った時に、そこに住みたい人がどれだけいるのかは別問題です。車がなければ生活しにくく、病院や店、学校、仕事の場からも遠ければ、立派な家を建てても買い手は限られます。
一方、ウランバートルのマンションは、購入時の価格だけ見れば高く感じるかもしれません。それでも、人が集まり、仕事があり、生活の利便性が高い場所であれば、将来も「そこに住みたい」と思う人が残る可能性があります。
つまり重要なのは、
最初に安く手に入るかどうかではなく、最後に欲しいと思う人がいるかどうか。
家の価値は、広さや豪華さだけで決まるのではありません。その場所に、将来も住みたい人がいるかどうか。そこが、これからの時代にはますます重要になってくるのだと思います。
つまり、
駅の近くは高いから損なのではありません。
高く買っても、その価値が残り、将来同じような価格で売れるのであれば、結果として損失は小さくなる可能性があります。
逆に、郊外で安く買っても、将来ほとんど売れなくなれば、結果としてそちらの方が高い買い物になるかもしれません。
極端な話、0円でもらった土地なら、多少価値が下がっても購入価格という意味での損失はありません。
しかし、これから日本で何千万円という金額を払って家を買うのであれば、話はまったく違います。
そして、この視点で考えると、海外の大都市でマンションや集合住宅が多いことにも、少し納得できる部分があります。
もちろん、人口密度、土地価格、都市計画、交通事情など、理由は国や都市によって違います。
ただ、資産価値という視点から見ても、駅や商業施設、学校、病院などが集まる便利な場所に、多くの人が住めるマンションが建っていることには合理性があります。
便利な場所であれば、将来売却する時にも次の買い手を見つけやすいからです。
一方、一戸建ては広い土地を必要とします。
便利な都市部で一戸建てを持とうとすれば、当然価格も高くなります。
国や都市によっては、中心部の一戸建てに住んでいる人は比較的裕福な層が多く、一般家庭はマンションや集合住宅を選ぶという構造も見られます。
日本では長い間、
「家を持つなら土地付き一戸建て」
という考え方が強かったように思います。
しかし人口が減る時代では、
土地が広いことよりも、将来もその場所を欲しいと思う人がいるかどうかの方が重要になるのかもしれません。
郊外の大きな一戸建てよりも、駅や生活施設に近い比較的小さなマンションの方が、結果として資産価値を保ちやすい場合もあります。
そして、もう一つこれから重要になると思うのが、
「家にどこまで個性を出すか」
という問題です。
これも車で考えると分かりやすいです。
車を自分好みにドレスアップするのは楽しいことです。
しかし、あまりに個性的に改造してしまうと、売る時には買い手が限られ、思ったほど値段が付かないことがあります。
自分にとっては価値が高くても、次に買う人にとって価値があるとは限らないからです。
住宅も同じではないでしょうか。
注文住宅で、自分の生活に合わせて間取りや設備、デザインに強い個性を出すことがあります。
住んでいる間は、それでいいと思います。
しかし、将来売却する可能性まで考えるのであれば、
「自分が欲しい家」だけではなく、「次の人も欲しい家か」
という視点も必要になります。
特殊な間取り。
極端に大きな家。
維持費のかかる設備。
好みの分かれる外観や内装。
こうしたものは、建てた本人にとっては理想でも、売却時には買い手を狭める可能性があります。
車で言えば、純正の状態なら多くの人が買えるのに、強いドレスアップをしたことで買いい人が限られてしまうのと似ています。
つまり住宅も、
個性を出すほど資産価値が上がるとは限らない。
むしろ人口が減り、買い手そのものが少なくなる時代では、
「多くの人が使いやすいこと」
も大きな価値になるのかもしれません。
これから住宅を建てる人にとっては、
立地だけでなく、建物そのものの「売りやすさ」まで考える。
これも今まで以上に重要になってくると思います。
そして、よく聞くのが、
「家賃を払い続けるくらいなら、家を買った方がいい」
という考え方です。
もちろん、これも一つの考え方だと思います。
しかし私は、家を「家賃の代わり」として買うのであれば、むしろ今まで話してきた資産価値の考え方が、さらに重要になると思っています。
たとえば、
「今の家賃が月7万円だから、住宅ローンも月7万円くらいなら同じだ」
と考える人は多いでしょう。
しかし、本当に比較するべきなのは、毎月の支払額だけではありません。
最後にその家がいくらで売れるのかです。
仮に月7万円を20年間払えば、
7万円×12か月×20年で、単純計算では1,680万円です。
しかし、その住宅に20年間住んだあと、高い金額で売ることができれば、最終的に戻ってくるお金があります。
その売却額を差し引いて考えれば、
「毎月7万円払っていたつもりだったけれど、結果的な実質住居費は月1万円程度だった」
ということも、条件によってはあり得ます。
もちろん現実には、住宅ローンの金利、固定資産税、管理費、修繕費、購入・売却時の諸費用などもあります。
それでも考え方として重要なのは、
表面上の毎月の支払額ではなく、最後にいくら残ったかまで含めて考えることだと思います。
逆に、同じ月7万円を払っていても、最後にほとんど値段が付かなければ、実質的な住居費は大きくなります。
だから、
「家賃がもったいないから家を買う」
という考え方をするのであれば、なおさら、
「その家を最後に誰が、いくらで買ってくれるのか」
まで考えるべきだと思います。
住宅ローンを払い終えたからといって、その家に購入時と同じ価値が残っているとは限りません。
ここでも重要なのは、
「いくら払ったか」ではなく、「最後にいくら残るか」です。
そして、家には車にはない、さらに大きな問題があります。
それは、
売れないからといって簡単に捨てることができない
ということです。
車なら、値段を下げれば売れる可能性があります。
最悪の場合でも、買取業者や廃車という選択肢があります。
しかし家は、売れないからといって簡単に手放すことはできません。
所有している限り、固定資産税、草刈り、修繕、管理、場合によっては解体費までかかります。
建物が老朽化すれば、近隣への影響も考えなければなりません。
そして自分が亡くなれば、その問題が子どもや孫へ引き継がれる可能性もあります。
そう考えると、家は資産になるどころか、場所によっては
大きな「負の遺産」になる可能性がある商品
でもあります。
これが、これからの日本では特に大きな問題になると思っています。
人口が増え、若い世代が多く、住宅需要が拡大していた時代と、これからの日本では、家を購入するリスクそのものが違います。
これからは高齢者が増える一方で、住宅を新たに買う若い世代は減っていきます。
つまり、
「売りたい家」は増えるのに、「買いたい人」は減っていく。
この構造を考えずに、
「家を買えば最後には資産になる」
と考えるのは、これからの日本ではかなり慎重になった方がいいのではないでしょうか。
特に、これから何千万円という住宅を購入する人は、これまでの日本とはまったく違う時代に家を買うことになります。
私は今、住宅を見る時に、広さや新しさだけではなく、
「自分が住み終わったあと、次に誰が欲しがるのか」
を考えるようになりました。
高い家が損なのではありません。
安い家が得なのでもありません。
広い家が得なのでもありません。
注文住宅で個性を出せば価値が上がるとも限りません。
そして、月々の住宅ローンが家賃と同じだから得とも限りません。
重要なのは、
最後まで価値が残る場所を買えるかどうか。
多くの人が使いやすい家なのか。
自分が売りたいと思った時に、実際に買いたい人がいるのか。
そして、
最後にいくら残るのか。
そこまで考えて初めて、本当の意味での住宅の価値が見えてくるのではないでしょうか。
家だから資産なのではありません。
誰かが欲しいと思うものだから、資産になる。
私は投資を始めてから、そのことに気づきました。
これからの人口減少社会では、
「どんな家を建てるか」
だけではなく、
「どこに建てるか」
「次の人も欲しいと思う家か」
「最後に売れる家なのか」
そこまで考えて家を選ぶことが、これまで以上に重要になっていくのではないでしょうか。
協同組合かけはし/KAKEHASHI HUMAN MONGOL LLC 後藤友亮/GOTO YUSUKE
静岡県浜松市/モンゴル・ウランバートル 公式サイト:https://www.kakehasi.biz/





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