日本とモンゴルの税金比較──見えてきた「税率」にくわえ大きな日本の徴収密度の差
- 後藤 友亮

- 8月13日
- 読了時間: 3分
更新日:4 日前

「モンゴルの税金について、現地で実際に聞いた話とAIを使い公的データを照らし合わせてみました。すると、税率そのものよりも、日本との大きな違いは『どこまで実際に徴収されているか』にあるように見えてきました。」
日本とモンゴルの税金を比べるとき、最初は「所得税が何%」「社会保険料が何%」という単純な比較を考えていました。しかし調べていくと、本当の違いは税率そのものよりも、国がどこまで国民のお金を把握し、実際に徴収できるかにあるように見えてきました。
日本では2026年度の国民負担率は45.7%です。これは所得税だけではなく、住民税、消費税、法人税、固定資産税、自動車関係税などの税負担と、年金・健康保険などの社会保障負担を合わせ、それを国民所得に対して示した数字です。財政赤字まで将来負担として加えると、潜在的国民負担率は48.4%になります。
ただし、モンゴルと比較するときに45.7%をそのまま使うことはできません。日本の45.7%は対国民所得比だからです。同じ「対GDP」という基準に直すと、日本はおよそ32.7%。モンゴルは税収と社会保険料収入を合わせた概算で約23.5%となり、差は約9ポイントあります。
日本 約32.7%
モンゴル 約23.5%
※ともにGDP比で比較
ここまでは統計上の比較です。
しかし、実際にモンゴルで生活して現地を見ると、さらに別の違いがあります。
モンゴルにも所得税、VAT、社会保険、不動産税、自動車関連税など、多くの税制度があります。決して「税金のない国」ではありません。
一方で、個人商売、小規模店舗、自営業など、正式な給与所得者ではない働き方も多く、インフォーマル経済で働く人を正式な税・社会保障制度へ移していくこと自体が現在も政策課題になっているようです。ILOも、自営業者やインフォーマル労働者への社会保障拡大をモンゴルの課題として取り上げています。
しかも、電子決済が一般的です。
違うのは、
「決済の記録があること」と「その取引が税務・会計・社会保険まで完全につながっていること」は別
という点だと思います。
日本の場合は、
給与 → 銀行 → マイナンバー → 社会保険 → 税務 → 電子申告 → 消費 → 資産
と、社会のさまざまな仕組みがつながっています。
そのため、日本は単に「税率が高い国」というより、
“徴収できる社会”が完成している国
と考えると分かりやすいです。
一方モンゴルは、調べてみると
税率だけを見ると決して極端に低くない。しかし個人商売や小規模事業の末端まで、日本と同じ密度で税・社会保険を捕捉する社会にはまだなっていない。
ここが大きな違いだと思います。
そして面白いのは、日本の国民負担率が高い理由もここにつながることです。
日本では、
稼ぐ → 所得税・住民税・社会保険
使う → 消費税
家を持つ → 固定資産税
車を持つ → 自動車関係税
会社を経営する → 法人税・会社負担社会保険
資産を譲る→贈与税
資産を残す → 相続税

というように、人生の非常に多くの場面で負担を徴収できる仕組みがあります。
つまり、日本とモンゴルを比較して見えてきたのは、
「税率の差」以上に「徴収密度の差」
なのかもしれません。
日本は税金が高いだけではない。
国民の所得・消費・資産・雇用まで、末端まで把握して徴収できる社会が完成している。
モンゴルにも税制度はある。
しかし制度上の税率と、一般国民から実際にどこまで徴収できているかは別の話である。
そして、日本の国民負担を考えるとき、本当に議論すべきなのは、
「もっと徴収できるか」ではなく、その45%前後の負担によって、国民がそれだけ豊かになっているのか
というところではないか
というところではないかと思います。
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