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経営から離れて、初めて気づいた「本当の豊かさ」

7月17日
読了時間: 5分

更新日:8月30日



19歳から55歳まで、私は長い間、会社経営に携わってきました。


当時は、毎日のように仕事のことを考え、売上や利益、人の問題、次に何をするかということに追われていました。


それが当たり前の生活でした。


ところが経営から退き、時間に追われない生活をするようになって、以前とは違うことを考えるようになりました。


「人間にとって、本当の喜びとは何なのだろう」

ということです。


お金があることと、幸せであることは少し違う

もちろん、お金は大切です。


お金があれば、生活の不安を減らすことができます。


行きたいところへ行ったり、欲しいものを買ったり、新しいことに挑戦したりする選択肢も増えます。


私自身、長く経営をしてきたからこそ、お金の大切さは十分に分かっています。


ですから、「お金は必要ない」と言いたいわけではありません。


ただ、時間に余裕ができて気づいたのは、

「お金によって得られる豊かさ」と「人間が感じる幸せ」は、必ずしも同じではない

ということでした。


幸せは、意外と身近なところにある

仕事から離れてみると、それまで気づかなかった小さなことが楽しく感じられるようになりました。


朝、時間を気にせず過ごすこと。


天気の良い日に外へ出ること。


好きなことをすること。


気の合う人と話すこと。


何でもない一日を、何事もなく終えること。


こうした喜びには、大きなお金は必要ありません。


そして、社会的な地位も必要ありません。


考えてみれば、こうした人間の根本的な喜びは、物が豊富になった現代でも、今ほど何もなかった昔でも、それほど変わっていないのではないでしょうか。


日本には昔から、食事の前に「いただきます」と言うように、身近なものに感謝する文化があります。


豊かになることも大切ですが、すでに自分の周りにあるものに気づくことも、同じくらい大切なのではないかと思うようになりました。


他人の価値観から少し離れてみる

経営をしている頃は、どうしても数字で結果を見ることが多くなります。


売上はいくらか。


利益はいくらか。


会社がどこまで成長したか。


社会からどう評価されているか。


もちろん、経営者である以上、それは必要なことです。


しかし、仕事から離れると、それまでとは違う物差しで人生を見ることができるようになりました。


高価だから価値がある。


有名だから素晴らしい。


人から羨ましがられるから成功している。


そうした基準から少し離れて、

「自分は、本当は何をしているときが楽しいのだろう」

と考えるようになりました。


すると、人生は意外と自由でした。


人から見れば価値がないことでも、自分が楽しいなら、それでいい。


誰かに評価されなくても、自分が満足しているなら、それも立派な豊かさです。


お金の世界には、どうしても競争が生まれる

金銭的な豊かさには、大きな力があります。


一方で、お金や地位を求める世界には、どうしても競争が生まれます。


誰かが成功すれば、羨ましく思う人もいる。


利益をめぐって意見がぶつかることもある。


立場や収入の違いから、人間関係が変わることもあります。


私は19歳から55歳まで、複数の会社経営に携わり、そうした世界の中で長い時間を過ごしてきました。


良い経験もたくさんしました。


失敗もしました。


多くの人に助けてもらい、経営をしたからこそ経験できたことも数え切れないほどあります。


ですから、経営してきた人生を後悔しているわけではありません。


むしろ、経験したからこそ分かったことがあると思っています。


振り返ると、私は経営者向きではなかったのかもしれない

そして今、少し離れた場所から自分の人生を振り返ってみると、面白いことに気づきました。


もしかすると私は、もともと経営という仕事そのものが好きだったわけではないのかもしれません。


経営を始めたのは19歳でした。


そこから長い年月を走り続けてきましたが、好きだからというより、目の前の問題を解決し、次へ進むことを繰り返しているうちに、結果として経営者を長く続けることになったようにも思います。


だから今、仕事に追われない生活をしてみると、

「ああ、自分はこういう時間が好きだったんだ」

と初めて分かることがあります。


これは経営をしていた頃には、なかなか気づけなかったことです。


本当の豊かさとは何だろう

若い頃の私は、前へ進むことばかり考えていました。


しかし今は、立ち止まることで見えてくるものもあると感じています。


お金があること。


時間があること。


健康であること。


好きな場所で過ごせること。


周りの人に感謝できること。


そして、自分の好きなことを自分の価値観で楽しめること。


どれか一つだけが「豊かさ」なのではないのでしょう。


ただ、人生の後半になって私が特に大切だと感じるようになったのは、

「自分の時間を、自分の意思で使えること」

です。


経営から離れたことで、ようやく私は、お金を増やすこととは別の豊かさを知ることができました。


振り返れば、経営をしていた36年間も、そのことに気づくために必要な経験だったのかもしれません。


今はそんなふうに考えています。


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