マレーシアもモンゴルも活気がある──海外から戻って感じた、今の日本
- 後藤 友亮

- 8月11日
- 読了時間: 4分

ウランバートルから日本へ戻り、成田空港で偶然、以前から知っている会社経営者の方と会いました。
その方もちょうど海外から帰国したところでした。
少し話をすると、最初に出てきたのが、
「向こうは凄く活気があった」
という言葉でした。
そこから自然と、今の日本で会社を経営する難しさについての話になりました。
税金や社会保険をはじめとする会社側の負担、人手不足、せっかく採用しても人が入ったり辞めたりを繰り返す難しさ、そして年々増えていくさまざまな制度やルールへの対応。
話を聞いていると、これまでと同じ経営のやり方では難しくなってきている、ということなのだと思います。
そして、私が特に考えさせられたのは、その方の会社が決して商売に苦戦している会社ではないことです。
むしろ業界では非常に人気があり、多くのお客さんから支持されている会社です。
それほど商売がうまくいっている会社であっても、人手不足や人材の定着、税金や社会保険、さまざまな制度への対応など、抱えている悩みは一般的な中小企業とそれほど変わらない。
ここに、今の日本の経営環境を象徴するものがあるように感じました。
「売れないから苦しい」のではなく、「売れていても経営が楽にならない」。
売上が伸びれば人が必要になる。
人が増えれば、採用や教育、労務管理、社会保険などの負担も増える。
利益が増えれば税負担も増え、会社が大きくなるほど、本来の商売以外に経営者が考えなければならないことも増えていきます。
そこで私も、
「モンゴルはどうだった?」
と聞かれました。
私は迷わず、
「凄い活気ですよ」
と答えました。
私は現在、第一線の経営からは退いています。
それでも日本にいると、どこか息苦しさを感じることがあります。
一方、モンゴルは日本より不便なこともたくさんあります。
それなのに、不思議なくらいその息苦しさを感じません。
街には新しい建物が次々と建ち、人が動き、商売が生まれ、「これから国が大きくなっていく」というエネルギーがあります。
今回、たまたまテコンドーの国際大会を見る機会もありました。
そこでも各国から来た人たちの勢いや熱気を目の当たりにし、逆に日本からは以前のような勢いをあまり感じられなかったことが、私には印象的でした。
もちろん、日本には日本の素晴らしさがあります。
治安、インフラ、サービス、技術力。
そして海外へ出て改めて感じるのが、「日本」という名前が持つ信用の大きさです。
私自身も長く会社を経営してきましたが、外の世界を知れば知るほど、日本だけで売上を増やし、会社をどこまでも大きくしていくことが、本当に正解なのだろうかと引退前に考えていました。
だからといって、日本を捨てればいいという話ではありません。
むしろ、
日本法人は小さくても残し、「日本企業」という信用やブランドを大切にする。
その一方で、新しい投資や事業、成長については海外にも目を向ける。
そんな考え方があってもいいのではないでしょうか。
日本の信用は、世界に出れば大きな武器になります。
だから、「日本の信用は残す。しかし、成長する場所まで日本だけに限定しない」という選択です。
海外から帰ってきた経営者と、モンゴルから帰ってきた私。
成田空港で偶然会って話してみると、違う国を見てきた二人が、同じように日本との「活気の差」を感じていたことが、とても印象に残りました。
繰り返しになりますが、その方は商売がうまくいっていない経営者ではありません。
人気があり、お客さんにも支持されている会社の経営者です。
それでも、小さな中小企業と同じような悩みを抱えている。
私は、この現実こそ今の日本を考えるうえで重要なのではないかと思います。
日本は今でも豊かで、安全で、便利な国です。
しかし、
国が豊かであることと、そこに「活気」があることは、必ずしも同じではありません。
今の日本に必要なのは、単に経済の数字を良くすることだけではなく、
「頑張れば、これからもっと良くなる」
と経営者や若い人たちが自然に思える空気なのかもしれません。
これは特定の経営者の考えを紹介したり、日本を批判したりするための話ではありません。
成田空港での何気ない会話をきっかけに、海外と日本の両方を見てきた私自身が、改めて感じたことです。
日本を捨てるのではなく、日本の信用を大切にしながら、世界の活気も取りに行く。
これからは、そんな生き方や経営の形が、一つの選択肢になっていくのではないでしょうか。




コメント